「ウォルター少年と、夏の休日」 03年 米 評価4(5点満点) メジャー度2
監督:ティム・マッキャンリーズ
出演:マイケル・ケイン、ロバート・デュヴァル、ハーレイ・ジョエル・オスメント 他
男癖の悪い母親から疎ましがれた少年ウォルターは、遠い親戚で、田舎に住むハブとガースのマッキャン老兄弟の元に連れてこられる。しかしこの兄弟、何で稼いだかわからないが巷では大金持ちとの噂が絶えない。老兄弟は次第に少年と打ち解け始め、自分らの過去の話を少年にし始める。兄のハブは1914年からフランスの外人部隊に所属し、数々の武勇伝を残し、悲しくも幸福な恋愛を経て今に至っていたのだ。
老人のかつての武勇伝を若い者が聞き、それが真実かどうか疑いながらも自身も何かを感じていくという内容は、同年製作の『ビッグ・フィッシュ』と良く似ている。そのような話は好きなので(『ビッグ・フィッシュ』の評論参照)、期待して観た。
なんと言っても老兄弟を演じた名優マイケル・ケインとロバート・デュヴァルに味があるし、かっこいいことこの上ない。話の流れも申し分ないのだが、『ビッグ・フィッシュ』の点に及ばないのは、ウォルター少年がただの都合の良い狂言回しでしかないからだ。老兄弟と出会ったばかりのウォルターはろくに笑顔も作れないひねくれた少年であった。設定的には12,3歳だと思うが、それまでそのように育てられたのに、わずか数ヶ月で老人の心まで動かせるピュアな少年に変わるのがうそ臭い。とっても良い少年になってしまうのだ。それは脚本によるものでもあるし、俳優(ハーレイ)の個性によるものでもあるだろう。