「隠し剣、鬼の爪」 04日 評価3.5(5点満点) メジャー度3
監督:山田洋次
出演:永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小澤征悦、田畑智子他
西洋式軍隊への変貌期にあたる江戸時代末期の東北、海坂藩の平侍、宗蔵は、母と妹、少女のときから雇っている女中のきえと暮らしていた。やがて志乃ときえは嫁入りしていったが、ある日宗蔵は、きえが嫁ぎ先でこき使われ寝込んでいることを知り、やつれ果てたきえを背負い連れ帰る。その頃、江戸で謀反を起こし、地元の山奥の牢に入れられていた、かつて宗蔵と同じ剣の師範に学んだ弥市郎が逃亡し、師の一番弟子だった宗蔵は藩から弥市郎を切るように命じられる。
時代、舞台となった土地、藩の命で謀反者を切ることになり、また×いちの娘と結婚することになる主人公、と2年前に同監督で製作されたの「たそがれ清兵衛」と似ている設定、話の展開が多い。俳優も映画自体の質も落ちてはいないのだが、何しろここまで似ていると先に製作したほうが良いと思ってしまうのは致し方ないもの。
評価が下がる要因は主に2点。1つは謀反者を切る話を持ちかけたときに一度は断るのだが、この理由がいまいち共感を得ない。「たそがれ」では自分にとっての生きがい、愛するものと放れたくないという理由からだが、本作は明らかに切る相手が悪いことをしたのに、昔の兄弟弟子という理由で固辞する点。2つめが最後に題名にもなった隠し剣で家老を暗殺するのだが、殺す必要があるほど悪いことをしたのか、これも共感できない。