「戦場のピアニスト」 02ポーランド・仏・英・独・和蘭 評価4(5点満点) メジャー度3

監督:ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ、エミリア・フォックス、トーマス・クレッチマン他

 第二次世界大戦時のポーランド。ユダヤ系ポーランド人ピアニストのシュピルマン(ブロディ)はナチスドイツの侵攻と共に、家族ともどもユダヤ人ゲットーに強制移住させられる。様々な迫害を受けながら、彼は何とか終戦まで一人生き延びる。実話を基にした物語で、カンヌ映画祭グランプリを受賞。アカデミー賞でも監督、脚本、主演男優賞を受賞した。

 監督自身ユダヤ系ポーランド人で、第二次世界大戦中、ユダヤ人としての迫害を受けてきたこともあり、淡々と理不尽に繰り返される虐殺の場面はまさにいつでも被りえる恐怖として描かれていて、強烈な印象を残す。これまであまりぱっとした映画を作っていない監督であるが、本作では上記の緊張感が約140分間持続する。

 話としては題名から受ける「戦場の中でピアニストとしてどう生きてきたか」ではなく、「ピアニストがどう逃げ、生き延びたか」という視点で描かれ、映画の出来として非常に高質であるのだが、ピアニスト自身が強制収容所に送られる家族と離れ離れになりただ一人逃げていくこと、同志たちが蜂起で戦っては殺されていくことを目の当たりにする中で、どのような苦悩があったかという描き方がほとんどされないため、何を糧に、何を思って生き延びているのかがわからない。別に実話を基にしているので感動的な演出や展開を期待しているわけではないが、このため、主人公に感情移入しづらく、評価はこんなものになる。