「ALWAYS 三丁目の夕日」 05日 評価4(5点満点) メジャー度5

監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、三浦友和、もたいまさこ、薬師丸ひろ子他

 昭和33年。東京タワーに程近い都内の自動車修理工場の鈴木オート家を中心に、そこに集団就職で青森からくる若い娘、向かいの駄菓子屋を経営しつつ、売れない小説を書いている茶川、その町に小さな酒処を開店する元踊り子のヒロミらのエピソードを重ね、古き良き時代の日本をノスタルジックに描いた大ヒット作。日本アカデミー賞を総ナメした。

 いくつかのエピソードの積み重ねであり、話に大きな筋があるわけではないので、小品という印象を受けてしまうのはいたし方あるまい。また、昭和33年は私の生まれる10年前で、私に駄菓子屋とかの記憶がある20年も前の話だから、あまり懐かしいと思わないのも正直なところだ。その代わり、映画全体に昭和30年代の活気、人としての暖かさがあふれていて、非常に安心できる雰囲気が漂っている。そのような安心しきって観れる中で、べたであるが泣かせるエピソードが積み重なるので、ついつい涙腺も緩くなってしまう。ちなみに私が特に印象に残ったのは、戦争で妻と娘を亡くしながらまじめ働いている医者が酔って見る夢のエピソード(私も家庭人になったなぁ)。

 あと、この映画の良いところは子役。近代の日本映画の子役の配役は可愛くって大人を泣かせる演技が出来ることに主眼を置いているが、そんなガキはうそ臭くってしょうがない。本作の主人公級の二人は、可愛いということもなく生意気で小汚くて、それが似合う子役にしているところは感心した。逆に1点気になるのは、青森から来た六子の方言で、どう考えても津軽弁じゃないだろう。青森県に4年間住んだだけで詳しいというわけではないが、自分のことを「おら」とは言わんでしょ。「わー」か少なくとも「わし」だろう。また、文末に「けろ」はつけんでしょ。

 続編が作られるそうだが、やめりゃいいのに。この映画の最大の売りは”あの時代“の暖かい雰囲気であり、続編では多分茶川とヒロミの行く末だとか、飛びぬけて可愛い六子の恋愛なんかが描かれるものと思うが、そのような俗的な事を描いてはこの映画の魅力は激減してしまう。