「トーク・トゥー・ハー」 02スペイン 評価4(5点満点) メジャー度2
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス等
ある病院に植物状態の二人の女性がいた。一人は交通事故で昏睡状態となったバレリーナを夢見る若い娘アリシア。もう一人は競技中の事故によって昏睡状態となった女闘牛士リディア。アリシアには、眠り続ける彼女の髪や爪の手入れから生理の世話まで、4年もの間介護を続ける看護士のベニグノがいる。一方リディアの傍らには恋人であるアルゼンチン人ライターのマルコが、突然の事故に困惑し、ふさぎこんでいた。二組は向の部屋になり、次第にベニグノとマルコの間には厚い友情が生まれていく。数ヵ月後、リディアを残し長期に仕事に出かけていたマルコは、アリシアが妊娠し、ベニグノが強姦罪で投獄されたことを知るのだった。
入院し約半年後に死んでしまうリディアに対し、4年間、常にベニグノが相手の好きだったことを話し、通常の日常会話をしていたアリシアは奇跡的に回復を見せる。ここに映画の主題があるのだが、問題はベニグノがストーカーじみていることだ。ずっと母親の介護を続けてきたベニグノは働きに出たことも女性関係を持ったこともない。母が死に、向かいのダンス教室に通う、若く美しいアリシアに恋をし、彼女の交通事故を機に看護士となった。植物状態の彼女に対し4年間彼のしていた行為は愛にあふれた素晴らしいことではあっても、強姦し、結婚したいという気持ちは決して許されるものではないだろう。
張り詰めた雰囲気、堅実な演技と、久しぶりに良質のヨーロッパ映画を観たという感じ。しかし、女優二人は魅力的(特にアリシア役のワトリングが美しい)だが、男優二人は地味で映画向きではないので、テレビドラマみたいな小作っぽい雰囲気になってしまった。また、どうしてもベニグノの行為自体には共感できなので評価的にはこれくらいになってしまう。