「ミスティック・リバー」 03年 米 評価3.5(5点満点) メジャー度3

監督:クリント・イーストウッド
出演:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン他

 マンハッタンの下町で育ったジミー、ショーン、デイヴ。11歳のときデイヴは中年の二人組みに4日間監禁され、性的暴行を受けた。26年後、挨拶を交わす程度の関係になっていた3人だったが、ジミーの19歳の娘が殺され、刑事となったショーンはこの事件を担当し捜査を進めるうち、デイヴが容疑者の一人として浮上してくる。デイヴがジミーの娘を殺害したのか?何のために?それともほかの誰かが?

 上手い三人がメインなので、ドラマとして非常に見ごたえがある。ワルで今でも街を影で牛耳るジミー、幼いころの暴行をトラウマとして精神的に不安定なデイヴ、毎日かかる逃げられた妻からの無言の電話に話かけるショーン。荒廃した国の上流ではない階級の病的な一面をそれぞれの人物ににじませ、26年の空白の間に各人がどのような人生を歩んできたかを脚本と演技で表現していく。26年後、その状況は劇的に変わることはない。長年積み重ねた年輪、育った境遇は現代社会ではどうにも変わらない部分が多いという現実は、「ミリオン・ダラー・ベイビー」でもイーストウッドが描いた主題である。また、ここでも同様に物語の答えはない。

 しかし、ジミーの娘の殺人事件の結末が「えっ?」という感じである。アメリカではそんな些細なことで人殺しが起こるのかもしれないが、日本人の感覚ではちょっと強引に感じてしまう。その分、ミステリーとしては消化不良のままで終わってしまうので評価はこんなものに落ち着いてしまう。