「シッピング・ニュース」 01年 米 評価3.5(5点満点) メジャー度2

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ケヴィン・スペイシー、ジュリアン・ムーア、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ピート・ポスルスウェイト他

 ラッセ・ハルストレムといえばなんといっても85年の傑作「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」で、この1作で私にとっては名前だけで映画を観る監督となった。その後93年の「ギルバート・グレイブ」でも良い仕事をし、ドラマ部門において堅実に良作を作り続けているが、その彼の現在(2006年)における最新作。

 遊び人の妻が浮気相手と事故死して、すっかり落ち込んでしまった新聞社のインク係のクオイルは、父の妹である叔母に導かれ、娘と共に祖先の地である雪と嵐に閉ざされたニューファンドランド島に移住する。クオイルはそこで地元新聞社の港湾担当の記者として働き始めると共に、そこに住む人たちと心を通わせながら人間として成長していく。

 どの人間も皆心に傷を負って生きており、その傷を癒しながら新しい人生を受け入れていくという、暗いけれど前向きなテーマを扱っているが、如何せん、話の展開に起伏がなさ過ぎ。いくつかのストーリーがあるが特に目新しいものも、感動的なものもなく、しばらくすると忘れられてしまうような映画であるといわざるを得ない。

 しかし、ご覧のように素晴らしい俳優陣で、挙げた5人総てがアカデミー賞ノミネート経験者、うち3人が受賞者。俳優たちの演技は素晴らしく、演技としては非常に見ごたえのある映画である。それだけは、それだけでも十分観る価値はあるだろう。特に、意外な役を演じるケイト・ブランシェットが印象的。本当にこの人は演技が上手いし、雰囲気のある女優だ。