「座頭市」 03年 日 評価4(5点満点) メジャー度3

監督:北野武
出演:ビートたけし、浅野忠信、ガダルカナル・タカ、大楠道代他

 日本を代表する現代の映画監督といえば宮崎駿と北野武であることに異論を挟む余地はないだろう。私は初監督作品「その男、凶暴につき」(89)、「あの夏、いちばん静かな海。」(91)だけを観たことがあるが、とても漫才師出身とは思えない出来であった。ただ、どぎつい描写が多いイメージがあるので、なかなか好んで観ようとは思わず、2本しか観ていなかったのである。そんな北野武が、敬愛する勝新太郎の十八番の座頭市を自ら演じ、娯楽に徹した痛快作。

 盲目で居合いの達人である座頭市はふと寄った宿場町で庶民が悪党に牛耳られ生活に窮している様子を感じ取り、またあるものの敵を取るのに片棒を担いで、悪党一味と凄腕の用心棒を次々と殺していく。

 話は非常に単純なので、いかに気持ちよく観せるかというのが重要なポイントとなるが、テンポはいいし、殺陣も見事だし、ユーモアもあり、音楽の使い方も、意外なダンスシーンも総てひっくるめて理屈じゃない楽しさにあふれている。血なまぐさいところもあるので万人にどうか、というのはあるが、大部分の人には素直に楽しめると思う。北野武の違った一面を感じられるとともに、確かに一流の映画監督であることも認識させられる一本。