「チャーリーとチョコレート工場」 05米 評価3.5(5点満点) メジャー度4

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア他

 天才的なお菓子の発明家ウィリー・ウォンカは自社のチョコレートの中に5枚のゴールドカードを入れ、それを当てた5人を自社の工場に招き、そのうちの一人にはとてつもないプレゼントをするという企画を立ち上げる。その5枚は、さまざまな問題を持った子供たちに渡り、ウォンカはこの5人を工場に招くが、彼の本当の目的は後継者を見つけることだった・・・

 ちょっときわもの系の映画だし、内容的にどうかと思っていたが、これがどうして面白い。バートン&デップのコンビはこれまでにも「シザーハンズ」などで息のあったところを見せていると共に、実際相思相愛の仲でもあるため、デップのはじけ方が半端でなく、また、楽しんで演じているのがありありとわかり、それ自体が映画の楽しさを倍増している。

 ただ一人、ごく普通の少年で家族の愛に恵まれているチャーリーのハッピーエンドに終わることは最初からわかっているのだが、その他の4人の子供が徹底的に憎らしく描かれ、それが面白おかしく後継者選びから脱落していく様が容赦なく、ユーモアをたぶんに含めながら徹底的にゆるぎなく行われているので、非常にわかりやすいと共に、変に教養ばったところもないので気持ちがいい。それが徹底的なので、ウォンカの内在するトラウマ、実際の苦悩の解決というラストとのコントラストが見事で、子供が観ても十分楽しめる映画だと思う。

 また、随所で過去の名作(「2001年宇宙の旅」「サイコ」など)のパロディがちりばめられており、これも映画ファンにはうれしい。そして、この映画の成功のもっとも重要なポイントは、映画全体、特に出演者たちがかもし出すヨーロッパ的な雰囲気。主人公チャーリーをはじめ,その母にヘレナ・ボナム=カーター、ウォンカの父にクリストファー・リーなど、とてもハリウッド的ではないため、紙一重で能天気な馬鹿映画になってしまうところをうまく回避している。