「シン・シティ」 05米 評価4(5点満点) メジャー度4
監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー、(クエンティン・タランティーノ)
出演:ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ブルース・ウィリス、イライジャ・ウッド、ベニチオ・デル・トロ、ジェシカ・アルバ等
法の規制の及ばない無法地帯であるシン・シティを舞台に繰り広げられる3つの物語から成る。1話目は超人的な体を持つ大男(ミッキー)が、自分を頼りに一夜だけ夜をともにしたのち殺された娼婦の敵をとるというもの。2話目は顔を整形してシン・シティに舞い戻った男(クライヴ)がかつての恋人で、今はシンシティの娼婦街のボスである女と娼婦街の秩序を守るため一肌脱ぐというもの。3話目は8年前の11歳時に命を救ったナンシーに危機が訪れているため、これを護ろうとする老刑事(ブルース)の話。
まず、原作コミックの絵にそれを演じる俳優の名前を刻んだオープニングや、モノクロに赤や黄色のパートカラーを配した映像など、今までの映画の概念にない作り方に驚かされる。しかし、内容的にはかなりハードボイルドでその面だけ捉えれば昔の男臭い映画に似てなくもない。違うのは舞台があまりに精神的にゆがんだ世界であり、主人公たちも善人ではないところだ。
展開が速くわかりやすい。また、一話目が超人的な大男の活躍(というか大暴れ)っぷりが爽快だし、二話目には額に銃が突き刺さったまんまのオスカー男優ベニチオなど、ギャグがそこかしこに転がっている。三話目が純粋なハードボイルド物としっかり色分けされていて映画としてとても楽しめる出来だ。
しかし評価が4なのは、やはり舞台が無法地帯というのが現実離れしているのと、主人公のうち二人は殺人犯(鬼ともいえる)であるため、容易に感情移入できないこと、元々血がおびただしく映像に映るのが嫌いな私(「羊たちの沈黙」はアウト)にとって、白黒画面だから耐えられるものの、カラーだったら途中で間違いなく気持ち悪くなっていたほどの残忍でグロテスクな展開が要因である。そういうこともあって、好き嫌いは大きく分かれる映画だと思う