「宇宙戦争」 05米 評価3(5点満点) メジャー度5

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス等

 港湾労働者のレイは、別れた妻から週末だけ息子と娘を受け取り一緒にすごしているが、すでに子供たちと心を通わすことは出来ない。そんな週末に強力な落雷が起こり停電、電気製品の使用不能という異変が世界的に起こっていた。レイの住むアメリカ東部の町にもその落雷が起こり、直後、地中から侵略者の操縦する巨大な三本足の兵器が姿を現し、人間を手当たり次第に駆除し始めた。レイは子供たちをつれ、安住の地を求めるが、侵略者はあらゆる場所の地中から兵器を出現させ、地球を乗っ取ろうとしていた。

 原作の小説はとても面白いが、53年のオリジナル版ともども私の評価は高くない。というかこの原作は映画にするにはとても難しいと思うのだ。なぜなら、侵略者は人間の努力でもなんでもなく、地球上の微生物や細菌にやられて死ぬ(実際問題としては、体当たり攻撃やコンピューターウイルスで強大な侵略者をやっつける子供だまし映画「インデペンデンス・デイ」なんかよりとても現実的な設定であるが)ので、どう侵略者をやっつけるかというスペクタル性がなく、パニック映画になるしかないのだから。

 そういう観点では、パニック性に現代的な家族のあり方を絡ませる前半部分はスピルバーグらしい人間模様の描写があり上出来である。また、強力な侵略者の兵器がかもし出すとてつもない恐怖も見事な表現である。しかしなに分、侵略者が急に全滅していくので終末があっけない。もう少し微生物や細菌がどのように侵略者を滅ぼしていったのかというところを見せれば面白かったかな。それと大幅減点なのが、そりゃないだろうと合点がいかないところが2点あり(元妻の家に隠れていた時、近くに侵略者の作った落雷があったのに自分たちの車は問題なく動いたこと、侵略者と戦うと言って丸腰で軍隊に混ざった息子がぴんぴんして生きていたこと)、どうにも記憶に残らない、残したくない作品となってしまった。