「スパルタカス」 60米 評価3(5点満点) メジャー度2

監督:スタンリー・キューブリック
出演:カーク・ダグラス、ジーン・シモンズ、ローレンス・オリビエ、トニー・カーティス等

 キューブリックの一般公開作品としては4作目にあたる、彼の作品群の中では異色のハリウッド大作映画っぽい作品。

 紀元前のローマ帝国時代。奴隷のスパルタカスは不屈の精神と屈強な体を認められ剣闘士の養成所に入れられるが、そこの仲間たちとともに反乱を起こし、ついにはイタリア国中の奴隷解放を目指して快進撃を続けていた。しかし、圧倒的な兵力をもつローマ軍に破れ、結局は十字架にはりつけられて死んでいく。

 出演者も豪華だし、物凄い数のエキストラを動員したと考えられる戦闘シーン、3時間を越える長編と、数年前に大ヒットしたベンハーを髣髴とさせ、また、それと比べても引けをとらないできである。ただし、元来別の監督で撮っていたが、それを首にし、キューブリックを採用した製作総指揮カーク・ダグラスのワンマン映画とも言え、キューブリックはこの前に「現金に体を張れ」「突撃」という小品ながら才能を感じさせる作品を送り出していたが、ここでは一気の大作、大スターたちに囲まれて、本来の持ち味はあまり感じられない。それでも今までと全く違う環境でありながらこれほどの作品を作ってしまうのだから、やはり並外れた才能なのだとは思うが。

 映画としては、スパルタカスの快進撃が2/3、その後の話が1/3という構成であり、戦闘自体ではなく、スパルタカスの人間性やカリスマ性の描写に主眼が置かれており、その演出にはさすがと思わせるものがあるが、何の予備知識を持たずに見ればキューブリック作品とは気づかないほど、個性は感じられない。