「ユリシーズの瞳」 95年 仏・伊・ギリシャ 評価1(5点満点) メジャー度2

監督:テオ・アンゲロブロス
出演:ハーヴェイ・カイテル、マヤ・モルゲンステルン他

 アメリカから、35年ぶりに北ギリシャに帰郷した映画監督A(H・カイテル)。自作の上映に出席するほかに、ギリシャで最初の映画を撮ったマナキス兄弟の失われた3巻のフィルムを探す目的があった。そのフィルムを探す道程で、見知らぬ博物館員の女性と一緒になったり、途中自身がマナキス弟になったり、子供のころの自分になったり、不思議系のわけのわからない映画。

 1時間で降参しました。話の筋が飛ぶというか、全く根拠のない飛ばし方をするので、不思議系というしかない。昔からヨーロッパの一部の映画に良くありがちの芸術性を重んじることで話の筋、面白さをないがしろにする、最近の代表的な映画。しかし、カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。カンヌはグランプリを受賞したからといって面白い映画というものではない。評論家しか受けないような映画も受賞するわけで、この映画もその範疇に入る。どうも映像が素晴らしいとか、激動のヨーロッパの絶望感とかが圧倒的とかいう感想を目にするが、ヨーロッパ史をよほど勉強していないとそのことはわからんし、映画は映像だけを見ているわけではない。

 私は数多くの映画を見ているが、あくまで映画は面白いことが基本になくてはならないと考えており、グランプリを受賞し評論家に認められていようが、つまらないものを、映像がいいとか、長回しが個性的とか、演劇的手法がどうとか本質でないところを褒め上げていい映画というほど自尊心はない。