「パットン大戦車軍団」 70年米  評価3(5点満点) メジャー度3

監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:ジョージ・C・スコット,カール・マルデン他

 第二次世界大戦中活躍したアメリカの将軍パットンの戦時中の人生を描いた作品。類まれな軍才を持ちながら,政治的な思考の欠如,短気で頑固な性格ゆえ,次第に軍からうっとうしがられる存在になっていく。

 アカデミー作品,監督,主演男優賞等7部門を受賞しただけあって,堂々たる大作である。しかし,「大作」であろうとしたため,退屈な場面が多いことも否定できない。また,パットンその人の人柄も描き切れていない。アフリカ戦線の雄大な風景,壮大な戦闘シーン等見所があるが,それだけでは作品の質は上がらない。

 現在この作品の評価は決して高くないが,当時,ニューシネマ(現実に起こりえることをありのままに描く)の波が訪れてきていたアメリカで,その波に反撥するように映画関係者がハリウッド映画らしい大作にアカデミー作品賞を授けたのだろうと今では考えられる。しかし,結局はそのニューシネマの波に飲み込まれてしまうのだが…。

 同じ第二次世界大戦,アフリカ戦線を描いた大作に「アラビアのロレンス」があり,こちらは壮大な中でも,ロレンスの人物像がしっかりと描き出されており,どこをどう取っても名作である。「ロレンス」と「パットン」のこの大きな違いは,作り手がイギリス人であったか,アメリカ人であったかを虚実に示しているともいえよう。