「セブン」 95米 評価4(5点満点) メジャー度4
監督:デイヴィッド・フィンチャー
出演:モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、ケヴィン・スペイシー他
あと一週間で定年という殺人課の刑事サマセットの管轄の中で連続殺人事件がおきる。一人目はとんでもないデブが12時間食べさせ続けられたあとに窒息死、二人目は悪徳弁護士が腹の肉を1ポンド分切り取られて殺害。そしてそれぞれの殺人現場には「食欲」「強欲」というキリスト教の七つの大罪に見立てられた言葉が書いてあった。サマセットは新しく配属されてきたミルズと調査に乗り出すが、第3(怠慢)、第4(肉欲)の事件がおきる。
ミルズ役のブラピ、その妻役にグィネス・パルトロウ、犯人役がケヴィンと、今思えば贅沢な配役。それぞれが主役を張れる個性ながら、奇才デイヴィッドは全体的に暗い映像のなかで病んだ世界を中心にすえることで話に纏まりをもたらした。サスペンスとしても一流であるとともに、もうすぐ定年という一人身のサマセットの人生観、南部から越してきて、その病んだ都市になじめないミルズの妻の苦悩(これがラストに効いてくる)なども巧みに織り交ぜ、ドラマとしても一流である。内容的におどろおどろしいものなのだが、芸達者の役者を配することで短いシーンの中に普通の人間の悲哀を表現できたことがこの作品の成功のポイントだ。