「ラスト・サムライ」 03米 評価4(5点満点) メジャー度5
監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ、渡辺謙、小雪、真田広之他
明治維新直後の日本ではさまざまな分野での西洋化が進められ、軍隊も例外ではなく、アメリカ南北戦争の英雄であるネイサンを雇い入れた。しかしネイサンは政府の性急な西洋化に反発する勝元率いる侍集団との戦いの中、捕らえられてしまう。囚われの身となったネイサンは勝元ら侍たちの生き方に触れ、その武士道に魅了されていく。しかし、機関銃などの武器を輸入して強力になっていく政府軍はついに侍たちとの対決に挑む。
久しぶりに見た壮大なチャンバラと侍の(かなり美化されているが)清い生き様。黒澤亡き後、今の日本の資本ではこれほどの規模の時代劇は、悲しいかなもう作れまい。ちょっと寂しさを感じるが、つまり、それほど日本的なハリウッド映画でもある。話はほとんど日本国内で収束し(そのため、ネイサンの米国で経験した背景が希薄ではあるが)、その2時間半という長尺の中で、ネイサンの視点を借りて、日本独特の“間”を表現するなど、日本を描いた外国映画としては秀逸なできである。
勝元が流暢な英語をしゃべることや、なぜネイサンを捕らえたままにしていたのか、勝元自害の際の政府軍の土下座、とらわれの地であった山郷に帰るネイサンなど、ちょっと演出過剰で、展開もハリウッド的であることは否めないが、全体的なできは決して悪くはなく、久しぶりに日本男児の男気を感じさせてくれた、ちょっと懐かしくもある良作である。