「エリザベス」 98年英 評価4(5点満点) メジャー度3
監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ他
新教と旧教の対立激しい16世紀のイングランド。新教聖徒で、前王ヘンリー8世の次女であるエリザベスは、現在の女王であるヘンリーの長女で旧教聖徒のメアリー一世から迫害を受けていた。しかしなぜかメアリーから死刑の宣告を受けることはなく、メアリーの死によって王位を受け継ぐことになる。しかし当時のイングランドは国内の宗教対立だけでなく、財政難、疲弊した兵力、フランス、スペインといった隣国の強国からの圧力で壊滅状態。エリザベスはどのようにして他の強国の支配下になることなく国を建て直したのか、その初めの部分を描いた映画である。
決して美人ではないケイトがこの映画のあと売れっ子になったとおり、その演技が素晴らしい。また脇も各国の名優が固めておりコスチュームものの伝統に沿って硬質な出来である。それでいて、国の建て直しに着手する様が非常にサスペンスフル(その手段はまさに「ゴッド・ファーザー」を連想させる)であり、古典的要素と現代的ストーリー展開がうまくマッチした内容となった。
私は、いわば日本の時代劇であり、時代背景がわからなければ魅力が半減するコスチューム物は基本的に余り好きではない。この映画は現代的な展開を取り入れたことで評価は高いが、イギリスでは当たり前である時代背景の説明がないため(なぜエリザベスが淫売の娘といわれているのか、なぜエリザベスの警護にあたるウォルシンガム卿がスコットランドのメアリー女王と酒を飲んでいるのか等々)、時々???となるシーンがあったのは否めない。それについてはインターネットで関連サイトを調べ、なるほどと思った次第である。