「〜〜♪ 〜〜〜〜♪」
初音島名物『枯れない桜』の下で舞い散る桜の花びらをバックに、歌う少女が一人たたずむ。
彼女の名は白河ことり、
つい先日、この島にある二つの中学校の内の一つ『西初音島中学校』を卒業し
明日から先年度より新設された高校『初音島学園』に入学し、通うことになった女の子である。
―――――私立初音島学園
それは高校が置かれていなかった初音島に作られた才者による才者のための才者によって作られた学校である。
この世界では人口の約5パーセントに才(スキル)という特殊能力を持つ才者(スキルズ)と呼ばれる人間が存在する。
才者は一般の人間に比べ、能力発動の際身体能力が飛躍的にアップするという特徴をもつ。
よって、社会ではともかく学生時代には才者は異端とされ特別な目で見られることが多い。
特に初音島では十代の若者に才者が多く問題視されていたのである。
そこで立ち上がったのが初音島が誇る世界ナンバーワンの才者こと芳乃静(よしのしずか)であった。
彼女は自分の持つ影響力と財産をフルに使い初音島に学校を一つ作り上げ、その学校の校長になったのである。
そして学校近くに学生寮も作り全国の若い才者がこの学校に来れるようにしたのであった。
「〜〜♪ ……ふぅ」
どうやら解説を入れている間に歌い終わったらしい、ことりは軽く息を吐くと背後の桜の木に寄りかかる。
「明日から高校か……けど、みっくんもともちゃんもいないんだよね……」
そう呟いて憂鬱そうな表情をすることり。
ちなみにみっくん、ともちゃんなる人物はことりの幼なじみにして親友である二人の名である(もちろんあだ名)
二人は才者ではないため初音島学園には進学できず、島外の高校へ行ってしまったのだった。
ことりとしては二人と一緒の高校でも良かったのだがそれでもあえて初音島学園に進学したのには理由がある。
その理由とは初音島学園創始者にして校長である芳乃静だった。
彼女はことりにとって恩人といえる存在なのであった。
それはことりがまだ幼い頃のこと、
ことりは才者の中でも珍しいとされる二つの才を持つ双才者(ダブルスキルズ)だった。
そしてその二つの才の内の一つ『表心(サイト)』は他人の心を読むことができるという能力であり、
幼かったことりはその力を制御することが出来ず勝手に流れ込んでくる他人の思念に悩み苦しんでいた。
しかし、それを制御できるようにして彼女を救ったのが静なのである。
その自分の恩人である静の経営する学校にどうしても通いたかったことりは長年の友人と別れる決心をしたというわけである。
「よしっ、一度決めたことをいつまでも悩んでいてもしかたないよね、
みっくん達はいないけどあの学園にはお姉ちゃんたちがいるし、
それに友達ならまた新しく作ればいいもんねっ」
そういってことりは自分の顔を両手でぺちぺち、と叩く。
どうやら気合を入れたらしい。
「ふぁいとっ! おーーーーっ♪」
なんとも可愛らしいかけ声を自分にかけその場をあとにすることり。
彼女が去った後も桜の花びらは綺麗に舞い散っていた
それはあたかもことりのこれからの高校生活を祝福するように
ことりの新たな大切な人との出会いを予見するように
静かに、穏やかに
まるで踊っているかのように
桜は咲き乱れていたのだった―――――
あとがき
ダカーポではことりが真のヒロインと疑わないSS作家taiです。最近は怪しいもんですが(苦笑
さて、この『桜咲く未来〜恋夢〜』は設定を読んでわかる通り能力者もの半ファンタジーなお話です。
といってもラブコメをメインにしたいと思ってますんで違うのを期待した方はすみません。
ちなみにこれは水夏ともクロスしているのでお馴染みのあのキャラもでてくると思います。
才や人物については登場次第登場人物の欄に追加します。
また、D.C.P.Sからの追加ヒロインも出るかと思われます
あと、執筆再開とプロットの大幅変更何気にタイトル変更しました。
アニメ版DCのオープニング曲をパクったんですが(w