「というわけで、そうだなぁ……よし、基本的に平日はアカデミー終了の一時間後から、 休日は昼過ぎからってとこでいいか?駄目なら遠慮なく言ってくれ。俺としてはいつでもいいからな」
「いえ、それでかまいません。私としても結果を早く見てみたいですから」
彩は意味ありげな表情で祐一を見た。
内心を想像するなら、『あなたがどれくらいの時間で諦めるか』を見てみたい、といったところか。
祐一はそれに対して、できるだけの不遜な笑みで答えた。
二人の視線がぶつかり合い、見えない火花が散る。
先に視線を逸らしたのは彩だった。
そのまま祐一に背を向け、下へと向かう。
祐一はそれを無言で見送り、
「さて、飯にするか。名雪達のところは……また大量に食わされそうだから止めとこう。修練中に吐きたくないし。食堂だな」
しばらくした後自身も下へと戻った。
永久の螺旋を断ち切る者
第14話
修練と異形の獣
時間は進みアカデミーの終了からちょうど一時間後、祐一がものみの丘の麓に着くとそこには既に彩が待っていた。
彩は何をするでもなく立ちすくんでいたが、祐一の姿を確認すると無言で歩み始めた。
祐一はそれに小走りで追いつき隣に並ぶ。
「早いな、ひょっとして遅れたか?」
「いえ、今がちょうど時間です」
「そうか。じゃあ行くぞ。こっちだ」
祐一は彩が進んでいたのとは違う方向に歩を進めた。
彩が進んでいたのは妖狐の領域の外れ、カノンの街とは正反対の位置に向かうコース。
対して祐一が進もうとしているのは領域の中心部、妖狐族の里に向かうコースである。
それが分からぬ彩でもなかろうが、それでも祐一に問いかけた。
「何処へ行くんですか?」
「白仙殿の、里の長のところだよ。お前も早く来い」
祐一は答えはやはりというべきものだった。
彩の表情に影が差し込む。
「なぜです」
「なぜって、一応断っとかなきゃまずいだろ。他の妖狐に注意も促して欲しいし」
「いえ、それは分かります。私が聞いているのは、なぜ私も行かなければならないのかということです」
言外に、自分は適当なところで待っているから一人で行け、と言っていた。
しかし、祐一としては受け入れることはできない
「お前も一緒にやるんだから当然だろう。無断で里の領域を侵すと失礼にあたる」
言葉のとおり、顔も見せずに他人の領域を使用させてもらうなど非礼に当たるからだ。
おそらく、白仙は領域の使用許可をくれるだろう、先日の天魔剣に対しての対応からも予想できる。
同じく、立会人として彩を連れることも許してくれるだろう、かなりの確立で彩が顔を見せなくとも。
「ほら、こっちだ」
だからといってそれに遠慮なく甘えるほど、祐一は厚顔無恥ではなかった。
視線で強く促し、彩が諦めたように頷くのを確認してから、祐一は再び歩を進めた。
「そろそろだ」
無言のまましばらく進み、もうそろそろ異界の入り口、というところで祐一が口を開いた。
それは彩に言ったというよりもなんとなく口から出た、というのが正直なところだったのだが、
意外にも彩は反応してきた。
「言われなくとも分かります」
もっとも、口調はぞんざい極まるものだったが。
だが、祐一とて彩のそんな口調には慣れたものである、返事が来たのを幸いと間をあけずに語りかける。
「そういえば、お前はここらに来たことあるのか?」
「いえ、普通に過ごしていれば立ち入ることはない場所ですから」
「普通……ねぇ」
意味ありげに横目で顔をうかがうが、彩は完全に無視である。
再び沈黙が訪れるかと思われたが、唐突な、祐一にとっては覚えのある声によってそうはならなかった。
「そこで止まられよ」
先日と同じく、気配のみで姿を見せずに黒曜の声が響く。
祐一は気配を辿ってみたが、途中で完全に途切れ、位置を把握することは出来なかった。
彼らの領域であるということを差し引いても、かなりのものである。
「ようこそいらっしゃいました、祐一殿。そちらの方は?」
黒曜の視線が彩の方へ移った。
徒人なら姿無き視線と声に動揺しそうなものだが、やはりというべきか平然としている。
ついでに言うと、自分で名乗る気は全くない様子である。
このままだと時間が無駄になりそうなので、心中でため息をつきながら彩を紹介する。
「その声は黒曜さんか。彼女の名前は月代彩、一応俺の生徒だ」
「なるほど。して、何用でしょうか?」
「彼女と一緒に白仙殿に謁見願いたいんだが、可能か?」
白仙の思惑はともかく、祐一自身の立場は単なる真琴の同居人(あるいは恩人)だ。
一人ならともかく同伴ありでは渋られるかもしれない、とも思っていたが意外なことに黒曜は即答した。
「祐一殿であるならばおそらくは大丈夫でしょう。一応用件を教えていただけますか」
「剣のこと。それで通じるはずだ」
端的に、しかし白仙には確かに伝わる言葉を告げる。
これは祐一自身が明かしたくないということと、白仙への配慮だ。
黒曜もその程度のことは察するに容易い、意味はわからなかっただろうが追求することはなかった。
「承知しました。私は白仙様にその旨を伝えてまいりますので、そのままお進みください」
「分かった」
祐一が言い切ると同時に黒曜の気配が去った。
言葉のとおり白仙の元へと向かったのだろう。
とりあえず許しは得たことであるし、祐一は軽くあたりを見回してから歩を進めた。
そこからしばらく進むと、珍しいことに彩から祐一の声をかけた。
「相沢さん、やはり私は遠慮した方が……」
「もう遅いな」
振り向きもせずに答えると同時に世界の雰囲気が入れ変わった。
目に見える景色すら入れ替わり、別世界、妖狐の里へと入ったことを如実に示す。
彩が控えめなため息を漏らした。
たしかに、ここまできてはもう戻ることはできないだろう。
入って即座にユーターンなどかなり失礼なことであるし、なにより、
彩が祐一の横に視線を移す。
「ようこそ、祐一殿、月代殿」
そこには笑みを浮かべる黒曜の姿があった。
当然ながら祐一も気づいていたため慌てることはない。
「……昨日と微妙に入り口の場所が違うな。日、というよりも星辰やらなんやらで変わるのか」
「その通りです。流石の卓見でございますね」
言葉面だけだと単なる見え透いたおべっかだが、黒曜の表情に暗いものはない。
本当に感心しているのだ。
それが分かった祐一は照れ隠しの咳払いとともに話題を変えた。
「急な来訪ですまなかったな」
「いえ、かまいません。どうぞ、白仙様がお待ちです」
いうと黒曜は里の方へと歩みだした。
その直後に祐一が続き、数瞬の逡巡の後に彩もその後へ続く。
三人はそのまま特に会話もなく進み、間も無く白仙の待つ部屋の前へとたどり着いた。
「白仙様、祐一殿達が参られました」
閉じられた襖の前で黒曜が言う。
さほど大きな声でなく、普通なら向こうに届くか疑問だが、そこは相手は妖狐族、聴力も人の比ではない。
即座に返答が返ってきた。
「お通ししなさい。それと、祐一殿の剣を預かる必要はありません」
白仙が剣のことにあえて言及したのは、当然話の中心が天魔剣であることが分かっているためだろう。
祐一や彩にしてみれば当然のことであるし、黒曜も祐一が席巻の目的を『剣のこと』といったことから
想像がついていたのだろう。
本来なら一度は危険性を訴えるべき立場にいながら、何の反応も示さなかったのだから。
あるいは、祐一は思った、黒曜は自分より事情を知っているのかもしれない、と。
白仙の側近であるらしいし、二度目の邂逅である祐一ですら立ち振る舞いや言動から能力の高さが分かる程の男だ。
むしろなにも知らないという方が不自然かもしれない。
祐一がそんな思索に耽っている中、
「承知いたしました」
白仙の指示に頷き、黒曜は静かに襖を開けた。
祐一は思索を中断し部屋の奥へと進む。
その後に彩が続くと、黒曜は静かに襖を閉じた。
それと同時に足音が遠ざかっているのが聞こえる。
そして黒曜の足音が完全に聞こえなくなったあたりで、白仙が穏やかに口を開いた。
「お久しぶり、というほどではありませんね、祐一殿」
「はい」
祐一は答えるが、白仙からの返事はなく、部屋にはしばらく沈黙が訪れた。
祐一が不審に思って白仙の視線を追うと、そこには俯いたまま微動だにしない彩がいた。
静かに、しかししっかりと彩を見つめる白仙と、それを完全に封殺している彩、一切の音はない静寂ながら
そこには確か緊迫感があった。
思いもよらない状態に祐一も一瞬息を呑むが、さすがにこのままずっといるわけにはいかない。
なぜこのような状態になるかも非常に気になるが、今は自分の用件を済まさねばならないのだから。
「白仙殿?」
祐一が声をかけても白仙は数秒沈黙を続け、しばし目を閉じたかとおもうと、唐突に口を開いた。
祐一にたいしたときとまったく同じに聞こえる、穏やかな声音で、しかし明言できない何かを感じさせながら。
「そちらの方を紹介していただけますか? あなたの教え子ということでしたが」
「はい。彼女は「月代彩、と申します」……!」
祐一の声を遮る様に彩が名乗る。
祐一はその声音に一瞬背筋が凍る思いを感じた。
あまりに平坦、無感情すぎるのだ。
確かに彩は常から感情を表に出さない、表層だけ見れば先ほどの声と普段の声の違いなど分からないだろう。
しかし、幸か不幸か祐一は彩のことを多少なりとも知っていた。
故に声の違いに気づくことができた。
この声は、今までのものとは、祐一に向けられてきたどの声ともまったく異質のものだった。
彩と白仙、傍目にはどちらも何もしていないように見えても、この二人のかもし出す雰囲気は 常人なら気を失いかねないほどに凄烈だった。
(どういうことだ……? この二人は初対面のはずだ。それでなんでこんな雰囲気になる……?)
二人の態度を見て、祐一の心中に疑惑が生まれた。
その対象の一人は言うまでもなく彩、これまでに感じてきたものに更に上乗せされる形で彼女への疑惑と興味が増す。
そしてもう一人は当然白仙だが、ある意味においてはこちらの方が重いかもしれなかった。
その理由は、白仙が人間という種族とは一線を隔する妖狐の長老であるからだった。
妖狐族、あるいは霊狐族は現在亜人か魔物かで議論が割れているが、実際はそんな生ぬるい存在ではないことを祐一は知っていた。
若い時こそ生身の体を持ってはいるが、永く生きるほどそのあり方が精霊などの高次存在寄りとなり力も跳ね上がる。
文献を見てみても、古の大妖『金毛白面九尾』や、千年以上を生きた結果神格を獲得し天に通じるとされる『天狐』、
天狐がさらに二千年以上を生き完全に神と化した最上位『空狐』など、まさしく神霊級の存在に達し得る種なのだ。
古の大戦において「神」あるいは「悪魔」と真に呼称される存在が去りしこの世界において、その存在は希少極まる。
「彩殿、ですか……」
思わず思索に耽っていた祐一を白仙の声が現実に呼び戻した。
いつの間にか二人がかもし出していた圧迫感は消え、そこにはあくまで表面上でではあるが至って平穏な空気が流れている。
祐一は密かに安堵した。
何はともあれ、とりあえずではあるだろうが、考えるのも嫌な最悪な事態は免れたらしい。
「彼女が、なにか」
祐一はこの空気を変えないように、静かに、それこそ王に臣下が機嫌を伺うかのような調子で言う。
本音を言うと触りたくない、しかし触らないと明らかに不自然な流れになってしまう問いを。
「いえ、良い名前ですね」
「ありがとうございます」
答えた白仙は見た限りではもう完全に元の調子に戻っているように見えた。
実際にはそのようなことはないだろうが、少なくとも今はこれ以上場を荒げる気はないようだった。
それは彩も同じらしく、彼女の声も平素のものへと戻っていた。
白仙は彩から視線をはずし、祐一に向き直る。
「して、天魔剣のことでお話があるとのことでしたが、何用でしょうか」
白仙の言葉に、祐一は心中で『やっと本題に入れる』と思った。
正直なところ、さっさと切り上げてこの場を去りたかったのだ。
「はい。剣の操作の訓練を始めようと思ったのですが、 その場所に妖狐族の領域周辺を使わせてはもらえないでしょうか」
「なるほど。通常の空間ではあの剣の力は目立ちすぎますからね」
白仙は軽く頷き、そのまま間をおかずに答えた。
「いいでしょう。ただし、周辺などといわずとも中でかまいません。無論集落周辺は困りますが、 それ以外でしたら多少は暴れても問題のないところは幾つかありますので」
白仙の答えは祐一の予想通り肯定、しかも修練の場所については予想以上に厚遇だった。
そのことについて祐一は数瞬思案するが、せん無きことかと放棄した。
仮に白仙に何かしらの考え――例えば里の中のほうが監視がしやすい――などがあっても、
ありがたいことには変わりないからだ。
それでも一応は探りをかねて伺いを立てる。
「それはこちらとしてはありがたいのですが、かまわないのですか」
「無論です、私から言い出したことなのですから」
「ありがとうございます。それでどの辺りなら妖狐の方々への迷惑が最小になるでしょうか」
一瞬の迷いもなく即答され、祐一はそれ以上探りを入れるのをあきらめた。
元々『化かす』ことが得手とされる妖狐に相手の土俵で勝てるとは思っていないし、
繰り返しになるが結局のところ祐一にとっても好都合だからだ。
「そうですね、集落から北に行ったところに荒野があります。そこならば皆も近づきませんし、 木々などにも被害は出ません。黒曜に案内させましょう」
「重ね重ねありがとうございます」
「いえ。先日も言いましたが、祐一殿には孫を、真琴を救われているのです。 この程度のことでは恩を返せるなら何程のこともありません。無論この程度で返しきれるとは思っておりませんが」
そういう白仙の表情は孫を思う祖母のもので――無論外見は姉妹で通るほど若いが――
少なくともその言葉が嘘ではないことを示していた。
だから祐一も、これまでの疑問は一時横に置き自分の思いを伝える。
「白仙殿。俺も言いましたが、そんな礼を返されるようなことではありません」
「いえ、そうはいきません」
「だから……やめましょうか」
互いに苦笑し、『この話はここまで』と目で確認しあう。
どちらもある意味正しいし、だからこそどちらも譲らない、
ゆえに気の済むまで言い合っていれば平行線のままになるのは確実だからだ。
「では、失礼いたします」
会話を切り上げ退出の意を示すと、白仙は頷いた。
そのまま告げる。
「はい。後日からはここに来られなくともかまいません、領域に来られれば察せられますから」
「分かりました」
やはり監視はされてるみたいだな、と思いつつ祐一は頷いた。
もっとも、その言葉で一番安堵したのはもう白仙と彩の修羅場を見ないですむということだったが。
「それから真琴は明後日の夕刻にはそちらへ戻れる予定です。秋子殿にそうお伝えください」
「はい」
続く言葉にもあっさりと頷いた。
その日は御馳走になるかもなぁ、などどのんきに考えていると、白仙は思ってもみなかったことを口にした。
「それと、これは完全な私情なのですが……真琴の好物だという、確か肉まん、でしたか。 そればかり食べないように見ておいて欲しいのです。秋子殿はしっかりと栄養を考えてくださっているというのに あの子ときたら、この集落ですら食べたがる始末。先日などそれを買うために祝宴を抜け出そうとしたのですよ。 こまったものです」
「わ、分かりました」
完全に想定外の内容に祐一の声と顔が思わず引きつった。
突発的に笑いの発作がこみ上げてくるのを精神力で押さえ込む。
それでもたりず、そういえば肉や魚を絶って霊格を浄化するなんて風習もあったかなぁなどと思考をそらしてやっと成功した。
それが切れない内にと彩を伴ってやや早足で退出する。
去り際おいおい真琴、それはないだろう、と思わず心中で突っ込みを入れた。
もっとも、真琴が肉まん好きになった理由は祐一にあるのだから、ある種の責任転嫁とも取れなくはないが。
祐一たちが退出し、白仙ひとりとなった広間に、彼女の声が小さく響く。
「……本当にこの程度で恩を返せるとは思っていません、それにあの剣に関しては……」
その言葉を聞くものは彼女のほかになく、意味を知るものは彼女と……だけだった。
「しかし……月代彩……あの感じは……人の、いえ……我らの業ですね」
白仙の下を去ってからすぐに、祐一と彩は黒曜の案内で里の中の森を進んでいた。
やや早足のペースで歩を進めること十数分、唐突に木々が切れ草一本生えていない荒野が視界に現る。
かなりの広さであり、魔力で強化していなくとも良好な視力を持つ祐一でも
同じ殺風景な景色が続いているようにしか見えなかった。
「ここか」
「左様です。もう少し進めば余程のことをしない限りは里に被害はありません」
立ち止まっての祐一の言葉に、黒曜が言わずもがなのことを口に出す。
しかし祐一はそんなことより気になることがった。
「のようだな。しかし、ここは一体なんなんだ? 草の一本も生えてない上に、うまく言えないがなんか妙な感じがする」
この荒野に足を踏み入れてから妙に気が張ってしまうのだ。
緊張しているというよりも警戒心が湧き出してしまう、そう、
いうなれば戦闘前の気構えに無意識に近くなってしまうのである。
理由は分からなかった、魔法で探査してみてもまったく異常は見つからず、傍目には単なる荒野にしか見えない。
しかし、違和感は感じられる、理由、原因の分からない何かが纏わりついているように感じられて、
祐一は無意識に顔をしかめた。
同時に思う、なるほど、人の俺でこれならより鋭敏な感覚を持つ妖狐族が近寄らないというのは当然だ。
だがその鋭敏な感覚を持つであろう黒曜は、傍目には一切変化を感じさせずに淡々と説明を続ける。
「残念ながら私も理由は存じません。ただ、過去に、私が生まれるよりも遥か古き過去に起こったことが 原因と聞き及んでおります。詳細を知るは今となりては白仙様をはじめとする里の長老方のみです」
「んな大昔かよ……」
祐一は黒曜の齢など知らないが、少なくとも人間の寿命を軽く超えているのは想像がつく。
その彼が知らない、おまけに知るのは長老級のみときたら、確実に数百年以上前の因縁だろう。
あるいは伝え聞く古の大戦期か。
過去に何があっても別にかまわないが、それが未だにこれだけ残留しているの言うのは尋常ではない。
仮に瘴気で悉く侵し尽くしたとしても、清浄な霊気の満ちるこの領域ならニ〜三百年で浄化されるはずである。
「はい。無論のこと害はございませんのでご安心を」
「わかった。案内ありがとう、助かった。ちょっと派手なことするから離れてくれると助かる」
「承知いたしました。帰りの道は大丈夫でしょうか」
「ああ、位置関係は問題ない」
ここが屋内なら祐一は迷子になるかもしれないが、亜空間とはいえ屋外の括りであるためその心配はない。
祐一の言葉に黒曜は一礼し
「では、失礼いたします」
里の方へと戻っていった。
去っていく黒曜の姿が森の奥に消えるのを見送り、祐一は道中一言も発しなかった彩に向き直ると
ニヤリ、と特に意味なく笑い、
「さて。月代、はじめるぞ」
右手を差し出すが、彩はそれを完全に無視した。
それどころか祐一のほうを見ようともせず、あたりを見回しながらつまらなさそうにしている。
だが祐一が視線をはずさないに気がつくと、ため息をつきながら思い切りどうでもよさそうに調子で口を開いた。
「どうぞご自由に」
「冷めてんな、おい」
「私の役目は失敗したあなたの治療ですので。私の動くところが見たいならどうぞ失敗してください」
歯に衣着せぬ、どころではない物言いに思わず頬が若干引きつるが、ここで落ち込んでいてはこの先やっていけないと思い返し 何とか口を開く。
「ご免こうむるよ」
もっとも、そのときの表情はまさに出来損ないの苦笑だったが。
「さてと」
気を取り直すようにつぶやくと、祐一は懐から見た感じ何かの革でできた手袋を取り出した。
そのまま両手にはめ、指を動かして調子を確かめる。
満足したのか、最後に両手をパンッと打ちつけた。
「なんです、それは」
そんな様子を何とはなしに見ていた彩が、珍しいことに自分のほうから祐一に声をかけた。
祐一は『ああ、これか』といいながら手を差し出す。
「魔力付与した手袋だ。生身のままでやると昨日の二の舞だからな」
「一応考えてはいるんですね。しかし、並大抵のものでは無意味だと思いますが」
「こいつはこう見えてもリーフで名の通った錬金術師の作でな、対物理、対魔力防御共にけっこうなもんだぜ。 その気になれば、並の魔力剣程度ならこのまま受け止められる」
実は原材料に下級とはいえ竜族の皮膚を用い、触媒にも高価極まりないものが多いため、けっこうなものなどというレベルではない。
もし仮に同じものを作ってもらうとすれば、平民が一生で手にする平均金額を軽く凌駕する報酬を要求されるだろう。
なぜそんなものを祐一が持っているかというと、対価の過半は必要経費つまりは、原材料費であり、祐一はリーフにて
それらの収集を依頼され、それをこなした際に多めに持ってきたために報酬が現物払いになったためである。
などなどの事情があったりするのだが、わざわざ言うことでもないので割愛する。
「それはそれは」
自分から言い出したことであるのに、彩は興味なし、という風に祐一の説明を軽く流した。
その態度に軽く肩をすくめ、直後祐一は表情を真剣なものへと変えた。
雑談はこの程度、そろそろ修練開始である。
祐一は天魔剣を掲げ、静かに息を止め目を閉じる。
そのまま数秒がたち、わずかに風が吹いた瞬間、
「開放・聖」
目を見開くと同時に呟いた。
柄の宝玉が青く染まり、刀身に同色を帯びた聖なる魔力が纏われる。
その光景をやはり数秒凝視した後、
「開放・魔」
再び静かに呟いたその刹那、魔力が暴発した。
「ぐっ……っ……!」
柄の宝玉は紅と蒼の二色に交互に染まり、それに呼応して魔力が吹き荒れる。
その勢いは尋常ではなく、剣を手にした祐一どころか若干とはいえ離れたところにいる
彩すら巻き込みかねなかった。
理由は不明だが、前回よりも明らかに放出される魔力の量が跳ね上がっている。
「相沢さん!」
自分に向かって飛来する威力十分の魔力を防ぎながら彩が叫ぶ。
祐一が普段の調子なら、その手際のよさと技能の高さに目を見張っただろうが、生憎とそんな余裕はかけらもなかった。
どうにか制御しようとしているが、一向に成果が上がらず完全に爆発するのを防ぐので精一杯だ。
だが、やがてそれにすら限界が訪れる。
「ちいっ……!」
もう抑えているのすら不可能になる刹那、祐一は渾身の力を振り絞って天魔剣を放り投げた。
祐一の手から放れると同時に魔力は暴発し、主に刃の向いている方向に開放される。
同時に祐一は来るであろう衝撃をいなすため自分で後ろに飛ぶが、
そんな行動をあざ笑うかのような勢いで祐一を襲った魔力に吹き飛ばされた。
もし手にしていたままだったら、至近でその猛威を浴びた祐一はただではすまなかっただろう。
「……はあっ……はぁっ……」
魔力の余波で吹き飛ばされた祐一は、そのまま大地を削りながら数メートル進んだところでようやく止まった。
そこが彩の立っているところの近くだったのはお約束というものだろう。
どうにか身を起こした祐一を、彩は冷ややかな目で見つめていたが、おもむろにくちを開いた。
「意識を失わなかっただけ進歩しましたね、とでも言えばいいですか?」
相変わらずの厳しい言葉を。
その言葉を聴いて祐一はプッ、と吹き出した。
そのまましばらく顔を俯かせ肩を振るわせる。
どうやらこの状況で放たれた常の変わらない言い方がつぼに入ったらしい。
そのまましばらく笑い続けていたが、どうにかとめると改めて自身状況を確認し始めた。
「あーあ、どうにか損傷は軽微だけど、こりゃ後何回かやると修復不能レベルになるな」
前回よりも装備に気を配っていたおかげか、怪我らしい怪我はしていない。
強いて言うなら、地を転がった際に頭を打ってこぶができたくらいだ。
今回一番の問題は言葉のとおりその装備、特に魔力をもろに浴びた手袋だった。
さすがというべきか、裂けていたり等の大きな損傷はないが細かい傷は数えられないほどできていた。
次回、あるいはその次くらいまでなら持つかもしれないが、それ以降となると厳しいだろう。
修復をしなければならないが、生憎と完全なハンドメイドの為そこらの職人では手も足も出ない。
完全に直せるとしたらリーフにいる製作者だけかもしれない。
それをおもい、祐一は力なく肩を落とした。
だが、彩にとってはそんなことはどうでもいいことである。
むしろ彼女は祐一が挫折することを望んでいるのだから。
彼女にすれば”無駄なこと”をしている祐一に対し、冷たい言葉をかけることに躊躇はない。
「その様でよく使いこなすなどといえますね」
「そう簡単に使いこなせるものじゃない、ってのはお前も知ってるはずだがな」
「いつになるのや、ら……」
祐一に向かって再び何か言おうとした彩の言葉が唐突にとまる、いやつまる。
「どうした? ……なに」
不振を覚えた祐一が顔を上げ、光と同じように硬直する。
「浮いている、だと……?」
その視線に移るのは祐一が自身で放り投げた天魔剣だ。
すでに魔力の暴走は収まり、わずかに土が付着している以外にはその名残は見られない。
だが問題は、祐一の言葉通りそれが宙に浮いているということだ。
もし天魔剣がいまだに魔力を放出し続けていたり、あるいは宝玉が点滅していたりなどの異常が見られたならば、
宙に浮いていようが大地に潜ろうが納得はできただろう。
だが、いま宙に浮いている天魔剣からはなんの力も感じられない。
そのことが逆に異常性を示していた。
「それに、歪みが」
言葉を失っていた祐一だが、ポツリと呟かれた彩の言葉にわれに返った。
慌てて探査の範囲を剣そのものから周りへと移すと、なるほど、確かに空間に歪みが生じていた。
そして、その歪みは徐々に強くなっていっていた。
「なんだ」
ゆっくりと立ち上がり、なにかが起こったときに備える祐一。
だが、次に展開された事態に祐一は完全に凍りついた。
「な……!?」
歪んでいた空間に唐突に亀裂が走り、そこから明らかに通常の動物ではないモノが這い出してきた。
だが、祐一を驚愕させたのはその現象自体ではない。
空間を跳躍する魔獣や精霊が存在することは周知のことであるし、祐一は実際に目にしたこともあった。
あれだけ派手に魔力を暴発させたのだ、変に空間が歪められてそれらのものが影響を受けた可能性もある。
問題は這い出してきたモノだった。
狼ほどの体躯の四足獣、体毛は漆黒、双眸は真紅、特徴を挙げれば単なる犬型の魔獣に過ぎない。
しかしそれの発する気配は異常というより他はなかった。
魔獣のそれとも、幻想種のそれとも、アンデットのそれとも、精霊のそれとも異なる、形容し難き気配。
あえて言うなれば、本能的な違和感。
そんなモノを放つ存在を、祐一は寡聞にして知らず、一瞬にして完全に呑まれていた。
獣はそんな祐一を尻目に体を大きく震わせて――その姿を消した。
「相沢さん!」
「っ!?」
刹那、彩の絶叫とそれに被さるように鈍い音が響いた。
音の発生源は祐一、正確にいえば、瞬時に祐一に飛び掛った獣の牙と爪と、
それに辛うじて反応した祐一が構えた魔力を纏った右腕だった。
「ぐっ……!」
祐一の右腕を切り裂かんと獣は力を込め、祐一はそれを防ぐためにさらに魔力を込めて硬度を強化する。
そのまま数秒至近での攻防が続き、
「どけっ!」
祐一が絶叫と共に獣ごと腕を振るうことで距離が離れた。
ただし、獣は吹き飛ばされたのではない、祐一の腕の動きに合わせて自ら後ろに跳んだのだ。
その姿を片目で確認しつつ、もう一方の目で右腕を省みると、 皮膚こそ薄皮一枚切られただけで出血もないが、代償として纏っていた衣服はズタズタに切り裂かれていた。
「一発でこれかよ……こいつは一体」
大袈裟というなかれ、今祐一が纏っている衣類は、先の手袋と同じ製法で、しかもより精密に
――すなわち強力に――作られているのだ。
常の状態でも生かな板金鎧を遥かに凌ぐ強度を誇り、先程のように祐一の魔力と呼応すれば一級の霊装に匹敵する。
それがいくら先ほどの天魔剣の暴走でダメージを負っていたとはいえ、
ただの一撃で無力化された上僅かとはいえ生身に到達した、その威力は推して知るべきであろう。
気を引き締めなおす祐一に対し、彩は呆然と立ち尽くしたままであった。
その姿は、これまで何度か祐一によって動揺させられたときよりも遥かにか弱げに見えた。
「これは……この気配は……そんな……」
呆然と何事かをつぶやく彩、その姿に祐一が意識をやった瞬間、視界の片隅から獣の姿が再び消えた。
「月代!」
今度は祐一の絶叫と鈍い音が響く。
しかし、先ほどとは決定的な相違点があった。
彩は防御行動を全くとらず、獣の爪を無防備な状態で受けてしまったのだ。
彩の同年代の者達と比較しても小柄な体があっさりと中空を舞い、受身もとらずに地に落ちる。
それを追撃しようと獣が再び跳躍するが、
「大地よ我が意に従え、天を射ぬけし槍を成せ、アース・ランサー!」
反射的に祐一が紡いだ詠唱魔法――大地を隆起させ複数の土の槍を形成する魔法――と正面衝突した。
並の相手なら即座に百舌の速贄となる魔法だというのに、傷一つ負っていないあたり頑強さが伺えた。
だがしかし、それでも勢いは殺され、槍からただの土塊へと戻った土に脚をとられ動きは止まった。
「月代! おい、月代!!」
その隙に慌てて祐一が駆け寄りその身を助け起こすが、いくら体を揺らしても何の反応もない。
見れば右肩を切り裂かれかなり出血している。
致命傷になるような部位でなかったのが幸いだが、このままでは失血死してしまうだろう。
だが、今暢気に回復魔法を使っている時間はない。
力を失いぐったりとしている姿に、祐一の心が締め付けられた。
「っの、やろぉ」
歯軋りと共に獣を睨み付ける。
獣はそんな祐一の視線を気にもせずに、まとわりついた土を全身を震わせて払っていた。
その姿を見た瞬間、祐一の頭の中が熱くなり、即座に冷えた。
師の言葉――怒りは思考と動きを短絡にし敗北の要因となる――が思い起こされる。
そうだ、ここで俺が切れて、結果負けてしまえば最悪の事態を招いてしまう。
自分と彩が死ぬばかりか、妖狐族にも、下手をすればカノンの街にも被害が出てしまう。
そんなことは絶対に許されない。
大きく息を吸い、吐き、静かに立ち上がる。
同時に刻印を描き彩を覆う防御結界を形成。
それを確認した後大きく跳んだ、目標は――ゆがみの消滅とともに再び地に落ちた天魔剣。
先ほどの、けして強力ではないが軽くもない土の魔法を蚊ほどにも感じていないこの獣に生かな魔法は効かないだろう。
だが大きな魔法を使っている余裕はない。
ならば、速さと威力双方で魔法を凌駕する切り札を切るのみだ。
獣が祐一を防ぐかのように動き始めるが、その前に再び刻印を描き火球を放つ。
やはり毛一本焦がすことができなかったが、爆風で後ろに弾き飛ばされた。
獣が着地したとき、祐一は既に天魔剣を手にし、その宝玉を真紅に染めていた。
先ほどの試行の際よりも遥かに強いその輝きの元、紅の魔力が放出される。
祐一は剣をまるで儀式のように眼前で中空に向け叫ぶ。
「猛き力よ、集いて刃を成せ!」
その言葉に従い、放出される魔力が刀身より紙一重外側に収束し、実際の刃を覆う第二の刀身を形成する。
次に、祐一は剣を大きく横に振りかぶった。
その動作に呼応するように、魔力の刀身がその長さを大きく――祐一の身長の数倍に――増す。
それは巨人をも容易く両断するであろう、強烈無比な『力』の顕現だった。
事実、祐一はこれから振るう『技』でもって強大な幻獣をも屠ったこともあるのだ。
純粋な力で構築された巨大な刃、単純明快ではあるが、だからこそ強い、祐一の奥の手の一つであった。
全ての前動作を完了させ、祐一はその奥義を放つ。
「紅牙破軍閃!」
叫びと共に剣を大きく横に振るうと、それに呼応し紅き閃光が迸った。
迸る閃光は空間を裂き、大地を抉りながらも一瞬の停滞すらなく真一門を描く。
無論、その半ばにいた獣をも含めて、である。
剣を振り終えると同時に、どさり、という重いものが落下したような音が響く。
それは完全な平面で両断された獣の半身がずり落ちた音であった。
紅き一閃を受け、獣は断末魔の叫びを上げる暇すらなく瞬断されたのだ。
ちょうど首の付け根辺りから横に切断された獣は、
それでも顔のついている方はしばらく動いていたが、強く痙攣したかと思うと動かなくなった。
それを見届け、祐一は剣の魔力を収めた。
柄にうめこまれた宝玉の輝きが失せ白へと戻る。
「さすがに死んだか」
最早ピクリとも動かない獣に背を向け、彩の元へと向かう。
わざわざ奥の手の一つを使ったのは彼女の身を案じてのことだ、ここで余韻に浸っている暇はない。
形成した結界を消すための術式を編みつつ彩の元へ駆け寄り、
「っ!?」
とっさに反応して跳べたのは修練の賜物だった。
祐一が跳躍した所をナニかが通り過ぎるのが視界に映る。
「おいおい」
そのナニかを認識した祐一の口から、思わず呆れの声が漏れた。
それは先ほど倒したはずの獣の脚を持っていた。
しっかりと大地を踏みしめる強靭な四肢、しかしそこから視線を上に向けると
斬られた断面からは子供が見たら絶対に泣くであろうグロテスクな触手が無数に蠢いていた。
半身から触手をはやしたそれは、どうやら直線的な動作はともかくとして動き自体は元の状態よりかなり鈍くなったようで、
祐一にかわされたせいで崩した姿勢をいまだに戻せずにいた。
嫌な予感を覚え、意識の一片を獣が倒れていたはずの地点に向けると、そこには思ったとおりの光景があった。
獣が首を起こして祐一を睨んでいた。
そこから視線を下に向けると、やはり目の前にいるものと同じく触手が蠢き脚代わりにそのその身をゆるりと運んでいた。
進んだ跡の大地が腐食などの異常を起こしてしていないのがせめてもの救いというべきだろうか。
「なんで生きてるかな、こいつは」
ぼやきのような呟きがもれた。
さもあらん。
あれで再生(といっていいかは疑問だが)をするなど、非常識にもほどがあった。
先ほどの一撃はただ単に物理的に斬ったのではない、魔力でもって霊基構造、平たく言えば魂まで斬ったのだ。
普通は、いや、ある程度外れた存在であっても再生どころか命の維持すら不可能である。
完全に霊的な存在、それこそ高位精霊すら消滅し得る一撃なのだ。
「言ってる場合じゃないか」
だが、そんなことを考えている暇はない。
現状は相手の数が増えたことによってむしろ悪化しているのだから。
おまけに、あの一撃で倒せなかったとなると相当厄介である。
だが、まだ諦めはしない、試していない手段などそれこそいくらでもあるのだから。
「もう一度ぶった切っても同じことになりそうだな……なら」
両手を複雑に動かし刻印を描く。
先ほどまではその隙を見せることは出来なかったが、今は獣の動きがかなり遅くなっているため余裕を持って行動できる。
十秒ほどもかけて、幾多の円、数文節の呪文、様々な図形、そしてそれらがさらに複合した複雑な刻印が完成する。
その導く効果は、
「灰も残さず焼き払ってやるぜ!」
対象の完全な焼失である。
祐一が魔法を発動させる最後の一押しをしようとしたその時、
「よい判断です」
聞き覚えのある声と共に、獣が二つとも真白き炎に包まれた。
自然界には在り得ざる輝きを放つ白き炎は、他には一切の影響を与えることなく獣のみを瞬時に焼き払う。
祐一が放とうとしていた魔法を遥かに越える威力であった。
炎は獣を完全に焼失させると、何の前触れもなく、それこそ幻であったかのように消え去った。
おまけにあれほどの熱量を発していたというのに、周りの草などには焦げひとつない。
対象以外には一切の効果を及ぼさないほどの高次元の魔力統制、
下位の術式なればいざ知らず、あれほどの威力を誇る高位術式においてのそれは祐一ですら完全には成し得ない神業であった。
祐一は刻印を消すと、声の主に向かって声をかける。
「ありがとうございます。助かりました、白仙殿」
「いえ」
静かに答えたのは、まぎれもなく妖狐族の長、白仙。
白き狐火でもって異形を瞬時に討滅した旧き妖狐は、祐一が始めて見る厳しい表情を浮かべていた。
後書き
神威:何か言うことは?
ヒロ:……ございません。
神威:素直で結構。まあ、それどころではなかったもの確かだが。
ヒロ:見通しが甘かった自分の責任ですからね、言い訳はしません。
神威:……よかろう。まあ、代わりにこれからは急げ。
ヒロ:イエス、マイ・マジャ……
神威:だから、時期ネタはやめい! それと、誰が皇帝か。
ヒロ:ああ、そうでした。イエス、ユア……
神威:もういいわ!
ヒロ:冗談はさておき、長らくお待たせいたしました。投稿再開いたします。
神威:待っていた者がいるかな。
ヒロ:……否定できませんが、ともかく再開です。どうか15話も。
ヒロ・神威:よろしくお願いします(頼む)