永久の螺旋を断ち切る者
プロローグ
そこはのどかな町であった。
決して都会ではないが、すべての住人の仲がよく、穏やかな時が流れていた。
そう、つい前日、いや数時間前までは。
「……父さん……母さん……」
少年の目の前には、少年の両親で『あった』ものが並んでいる。
少年の両親、優しくて少年の自慢だった。
しかし、二人は死んでしまった。
突如町を襲ったモンスターから少年を守る為に。
最後は二人とも少年の盾になるように死んでしまった。
少年のすぐ傍で、二人を殺したモンスターが唸り声を上げている。
今度は少年も殺す気なのであろう。
だが、そんな事は少年にはどうでもよかった。
もう何もかもがどうでもよかった。
そして、魔物が少年にその牙を向けようとした瞬間。
一陣の風が吹き抜けた。
刹那の後、魔物の姿は光の粒子となって掻き消える。
そして、魔物が完全に消え去った後、そこには一人の男がいた。
全身黒ずくめで、風になびく髪は透き通るような銀色。
「お前は弱い。自分にとって大切な者も守れぬほどに。このままではそれは一生変わらんだろう」
男は少年に言い放った。
「だが、拾ってやらんこともない」
その声には感情は無い、ただ淡々と言葉を紡ぐのみ。
「俺とくるか、坊主? 俺に付いて来るならばお前に力をやろう。あのような下賎なモンスターどもなど問題にならぬ力を、な」
少年はそこで始めて顔を上げ。
「俺は坊主じゃない。俺は相沢祐一だ」
少年、祐一と男の視線が交差した。
その男の目は、目の覚めるような真紅の瞳だった。
「ふっ。良い度胸だ、祐一。こちらも名乗ろう。俺の名は神威。蒼月神威だ。俺と共に来るのならば手を取るがいい」
男、神威は始めて表情、笑みを浮かべて祐一に手を差し出した。
祐一そのは目を見て、この神威という奴は悪人ではないと思った。
良い奴とも限らないし、胡散臭いことこの上ないが少なくとも付いていって損は無いだろう。
直感的にそう感じた。
だから祐一はその手を……取った。
祐一は力が欲しかった。
大切な人を守れるだけの力が……欲しかった。
再び風が吹き、祐一の視界は黒一色に染まった。
これが全ての始まりだった。
後書き
ヒロ:ハロアゲの閉鎖より数ヶ月にわたる雌伏を経て、ついに私は立ち上がった!
神威:アホか、貴様は。
ヒロ:……神威さん、いきなりきついですねえ。
神威:くだらんことを言っているからだ。
ヒロ:はあっ、まあなんにしても、ハロアゲからここ、萌のみの丘に舞台を移して、永久の螺旋を断ち切る者、再出発です。
神威:相変わらず作者が貴様ではロクなものにはならんだろうがな。
ヒロ:貴方は、どうしてそうきついんですか。
神威:性分だ。
ヒロ:はっきりとまあ言い切って……
神威:そういう風に創った(設定した)のは貴様だ。
ヒロ:ううぅ。
神威:そういえば、今回の投稿分の後書きはどうなっとるんだ、ここ(プロローグ)と6話(ハロアゲ最後の投稿分)と7話だけとは。
ヒロ:それはですね、はっきりいってしまえば内容と時期が合わなくなるからです。
神威:まあ、ほとんどの後書きに最初の投稿時期にやっていたゲームのネタがあるからな。
ヒロ:ええ、さすがにそれをそのままというわけにはいかないので。それと既にできていた分と新しい分との差別化を図る意味もあります。
神威:ま、それはどうでもいい。肝心なのは内容だ。それと投稿スピード。
ヒロ:ふっ、任せてください。
神威:その自身が本当だといいんだがね。ま、なんにせよ。
ヒロ:ハロアゲから御愛読していただいていた方々も、萌のみの丘からの方々も。これから、
ヒロ・神威:よろしくお願いします(願う)。