3月30日―――0:12  東京都  ホテルグランシール  9841号室
 
「ほう。矢後市の戦いは神楽の小僧共が勝利したんか。」
 
月村安次郎はパソコンのホームページで風音達の戦いの結果を知る。
 
「しっかし誰一人も殺せんかったとは…又損したで。」
 
そう。彼は…いや正確に言うと彼を含む『夜の一族』はこの戦いで賭けをしていたのだ。ちなみに安次郎は風音とことり以外は死ぬ方に賭けていた。
 
「ちっ…。せっかく忍の事件で捕まった時は1億払って保釈にしてもろうたばっかだと言うのに…このままではあかんな。」
 
彼はそう言ってふうと溜め息をついた。
 
だが、その時だった。
 
ドンドンドン!!
 
誰かが安次郎の泊まっている部屋のドアを叩いている。
 
「うるさいな〜!!こんな夜中に…。」
 
安次郎はぼやきながらドアを開ける。
 
そこには自分の護衛に就いていた『龍』の黒服が血みどろの姿で立っていた。しかも、誰かが散涙弾を使ったのか煙がモクモクと自分の部屋に流れてきた。
 
「つ…月村先生…お…お逃げ…下さい。」
 
「おい、なんや?どないしたんや?」
 
安次郎は血みどろの黒服に問い詰める。だが、この普通じゃない状況から彼自身も焦っていた。
 
「や…奴等に…ここに月村先生がいると感づかれました。」
 
「奴等って…香港国際警防隊かい?いや、それはないやろ…。あの組織の幹部の三割はワシらの回し者やからなあ…だとしたら…。」
 
その時…安次郎の額から汗が流れ始めた。
 
「はい…奴等です。『呪われた子供』です。」
 
安次郎はそれを聞いて呆然となる。だが、その時だった。
 

ファン!!  
 
 
いきなり部屋…いやホテル全体の電気が消えて真っ暗になる。そして…
 

「ぎゃああああっ!!」
 

「ぐああああああっ!!」
 

通路から護衛達の断末魔が聞こえてきた。
 
その声で安次郎は気を取り戻す。
 
「わ…分かったわ。ワ…ワシは逃げるで…。あ…後は任せたで。」
 
「はっ、はい…。」
 
安次郎はそう言って逃げようとしたその時だった。
 

トスッ!!
 

「ぐっ……。」
 
何処からかナイフが飛んできて黒服を絶命させる。
 
「ひっ…。」
 
安次郎はそれを見て失禁する。そして…
 
「次はアンタの番よ…。」
 
其処には青い髪の少女が黒い剣を持って立っていた。
 
「お久し振りね…月村安次郎。」
 
少女はそう言って安次郎を睨みつける。
 
「お…お前は…七瀬留美…。あ…あの時の『ゲーム』で死んだ筈じゃなかったんか?」
 
安次郎は震えながら指さし後ずさりする。
 
「あの時言った筈でしょう…絶対キサマを殺してやるって…。」
 
留美はそう言って前へ進む。
 
「ま…待ってくれ。後生やから見逃してくれ。わ…ワシ等の裏情報を教えるから。な…。」
 
「……。」
 
だが、留美は安次郎の言葉に耳を貸さずに更に前へ出る。
 
「じ…じゃあ金か!?何が欲しいんや?言ってくれ。こう見えてもワシは『龍』の海鳴支部長や。大抵の事なら…。」
 
それを聞いて留美はやっと口を開く。
 
「欲しい物ですって…。それは…貴様等のような…ゴミクズのいない世界よ…。」
 
「えっ!?」
 
それが月村安次郎の最後の言葉だった。
 

ドカッ!!
 
 
留美が黒い剣を振った瞬間、安次郎のいた9841号室は崩壊した。そして、安次郎自身も殺され……いや消滅した。
 
「ふう…ミッション・コンプリート。桐花も矢後市での任務を終わったって言うし…次は……。」
 
留美はそう呟くと携帯電話で川澄怜に電話をかけた
 
PURURURURURU!!
 
暫くして電話は繋がる。
 
『はい、川澄ですけど…。七瀬さんですか?』
 
「ええ、桐花が任務を完了したので今度は怜さん。貴女の出番よ。」
 
『そうですか、それでターゲットは…。』
 
留美はその言葉を聞いて真剣な顔付きになる。
 
                              マスター
「ターゲットは……ノエル・綺堂・エーアリヒカイトの主人である…月村忍。」
 

Tear...
 
Story.29  海鳴に嵐吹く…


 
AM8:30  海鳴市  翠屋
 
「あっ、桃子さんおはようございます。」
 
「おはようございます。」
 
「……。」
 
風音とことりは翠屋の店長である高町桃子に挨拶する。だが…当の桃子は新聞を読むのに集中している所為か返事をしない。
 
「桃子さん…。」
 
「おかしいですね。いつもは新聞を読んでいても絶対に返事しますのに。」
 
だが、その時だった。
 
「何なのよ…この事件は?」
 
桃子は機嫌が悪いと言う顔でやっと口を開く。
 
「どうかしましたか?」
 
そこで望がやって来て質問するがそれがいけなかった。
 
「ど〜したもこ〜したもないわよ。今日の深夜に私が昔勤めていたホテルで殺人事件があったのよ。しかもそれだけでは無く事件の起こった部屋が全壊してホテル自体が暫く営業不能になったのよ。」
 
「えっ?」
 
桃子はそう言うと望に新聞を見せる。
 
「ちょっと失礼…。」
 
風音も慌ててその記事を見るが…その瞬間戦慄した。
 
「殺されたのは……月村…安次郎…?それってまさか?」
 
「最初会った日に教えた『夜の一族』です。」
 
ことりは冷静な顔付きで答える。
 
「でも……誰がこんな事を……どんな目的で……。」
 
「それは…分かりませんね。何せ多くの人から命を狙われていた人でしたし…。」
 
だが、その時だった。
 

ガン!!ガン!!
 

「「痛っ!!」」
 
桃子が御盆で後ろから風音とことりの頭を叩いた。
 
「二人とも、余計な事言わないで仕事!!私もこの事件はショックだけどイライラする事は出来ないんだから。」
 
「「すみません!!」」
 
二人は謝るしかなかった。だが…
 
「風音くんにことりちゃん……昨日帰ってきた時は凄く悲しそうな顔をしていたけどどうやら杞憂だったみたいね。昨日何があったかは聞かないけど…無理だけはしないでよ。」
 
「「はっ…はい。」」
 
二人が頷くと桃子は厨房に入る。そして…
 
「二人とも今日は一日中OKって言ってたけど……夕方の6時まででいいわよ。6時半に忍ちゃんが此処来るって言ってたから。」
 
そう言って仕込みに取り掛かる。
 
「ことりさん…これは?」
 
「あの人なりに気を遣っているんです。謹んで受けましょう。受けないと怒る人ですから。」
 
「そうですね。」
 
二人はそう言うと作業を再開した。
 
だが、そんな二人を見ていた望は…
 
(何かあの二人最近仲が良いな…。昨日何があったのかも教えてくれなかったし…。)
 
そう思って少し落ち込み溜め息をついた。
 
だが、この時風音もことりも望も気付いていなかった。この事件がこの街…海鳴市に嵐を呼び起こす事に…。
 


AM  10:30  海鳴市  月村邸
 
「はあ…。」
 
イレインは庭で日向ぼっこをしていた。
 
もともとイレインは月村安次郎のエーディリヒで、月村邸を半焼に追い込んだが…恭也の慈悲によってノエルと共に修理され、ここでメイドとして働いている。
 
仕事の方は1時間ほど前に洗濯を終えてからやる事がない状態となっている。だから、日向ぼっこをする事にしたのだ。まあ、こんな所を見られたら100%怒られるのだが…。
 
「しっかし、忍と恭也は…本当にラブラブだな。いや……私が此処に来た9ヶ月前よりもラブラブになってるよ。昨日も此処に帰って来なかったし。」
 
イレインはそう言うと呆れて溜め息をつく。
 
「まあ……この事は私が口出しして良い事では無いが…。」
 
イレインがそう呟いたその時だった。
 
「んっ…。」
 
月村邸の前にトラックが止まるのに気付く。それは……此処によく出入りする葉月運送のものだった。
 
ピンポーン!!
 
チャイムが鳴ったのでイレインは監視カメラに出ることにした。
 
「はい、どちら様でしょうか?」
 
『どうも…葉月運送の者です。今日は月村忍様宛てにお届け物がありましたので配達にうかがいました。』
 
イレインは監視カメラに写った二人の運送業者に何かを感じたが…気のせいという事にして門を開ける事にした。
 
そして、お互いに大きな荷物を持った二人の運送業者が庭に入った。
 
そして、二人の運送業者は忍宛ての荷物を月村邸のイレインの指定した場所に置き、印鑑を貰う。
 
「それでは私どもはこれで…。」
 
二人の運送業者がそう挨拶をして帰ろうとしたその時、イレインは二人の運送業者に何かを感じたのか、その内の一人の腕を掴んで引き止めた。
 
「何か…御用ですか?」
 
その運送業者は表情を変えずに質問する。
 
「いいやないけど……アンタの瞳って何か悲しそうだったから苦労してるんかなあと思って…。」
 
「いいえ、この眼は生まれつきです。」
 
運送業者は素っ気なく答えてイレインの手を振り解こうとする。しかし…手は離れなかった。何を感じたのかが分かったからだ。
 
「何のつもりですか?」
 
運送業者は焦っている表情も見せずに質問する。
 
「へえ…眼は生まれつきなんだ。でもね、さっきからアンタから聞こえてくる機械音……これは生まれつきではないだろ?アンタ…エーディリヒだろ?」
 
イレインはそう言って運送業者を睨みつける。だが…その時だった。
 
「…見かけによらず鋭い方ですね。最終機体のイレイン・月村さん。」
 
「なっ…何故私の名前を…。」
 
イレインはそう言うと後ろに下がる。二人の職員から急に得体の知れないものを感じたからだ。
 
「この様子だと…月村忍は留守のようだね。……なら、少しばかり置き土産をしないとね。」
 
もう一人の運送業者はそう言うと帽子を取って眼鏡をかける。
 
                                        エドニス
「まあ、最終機体程度ならボクが戦う必要なんてないね。という事で桜花…イレインは任せたよ。ボクはノエル・綺堂・エーアリヒカイトを倒すから。」
 
もう一人の運送業者…川澄怜はそう言うと窓ガラスを蹴破って外に出た。
 
「逃がすか!!」
 
イレインは「静かなる蛇」で怜を攻撃して食い止めようとするが…間に合わず脱出を許してしまう。
 
「くっ…遅かったか。」
 
イレインはそう言うとソファに隠してあったトランクからブレードを取り出して装備する。
 
「……なかなか用意周到ですね。」
 
「まあね…月村邸半焼事件からこの館は色々な場所に武器を隠す事にしているから。アンタみたいな奴の対策に。」
 
「……感心しますね。でも、それも私達には通用しませんが…。」
 
桜花はそう言うと自分の持ってきた荷物から日本刀を取り出して葉月運送の制服を切り裂く。
 
「アンタも意外と抜け目ないね。届け物の中に武器を隠したり、二重に服を着てたり…。でも、私にはそんな小細工は通用しないよ。『最終機体』の名を持つこの私に戦いを挑んだ事を後悔させてやるわ。」
 
「自惚れないで下さい。ロボット三原則を無視した殺人機械風情が…。」
 
こうして二人の戦いは始まる。
 

AM  10:35  海鳴市  月村邸
 
それから5分が経過した。だが…
 
「はあはあはあはあ…はあはあはあはあ…。」
 
「……。」
 
イレインが満身創意の状態であるのに対し桜花は全く息切れしていない。
 
「畜生…。あいつは一歩も動いてないのに何で一発も攻撃が当たらないのよ。」
 
そう。戦いが始まってから桜花はその場から一歩も動いていない。それにも関わらずイレインの攻撃は桜花に全く当たっていないのだ。
 
「分かりましたか…。これが私と貴女の差です。…もう止めません?月村忍が何処にいるのか教えてくれればこれで終わりにしますし。」
 
桜花は冷徹に説き伏せる。
 
「まだ…終わってないわ。」
 
イレインはそう言うとパチンと指を鳴らす。すると…何処からかイレインに似たエーディリヒが5機現れて桜花を取り囲む。
 
「これは…オプション…。」
 
「そう。正確に言えばレプリカと言った方がいいけどね。」
 
そう。イレインが恭也とノエルの二人と戦った時に自分が従えていたコピー・エーディリヒだった。イレインの修理する時に万一の為に「レプリカ」も忍によって修理されたのだ。
 
「もしもの為に修理を頼んだけど…正解だったわ。」
 
イレインはそう言うと「レプリカ」に指示を送って桜花を攻撃する。
 
「くっ…。」
 
今度は桜花が防戦する事になった。
 
「どう。これが『最終機体』としての強さよ。」
 
イレインはそう言うと「静かなる蛇」で攻撃をしようとする。だが、それは避けられる。だが…。
 
「甘いっ!!『静かなる蛇』は囮よ。」
 
その瞬間イレインによるブレードの連撃が桜花を襲う。
 
「きゃあああああっ!!」
 
桜花はイレインによるブレードの連撃を捌ききれずに外に吹っ飛ばされた。そして…
 

ドドドドドドドドドン!!
 

トラップに引っ掛かって無数の銃弾を受けた。そして、この無数の銃弾により硝煙が辺りを覆う。
 
「ふん。手間取らせやがって。」
 
イレインはそう呟くと外にいるノエルの元に行こうとしたが…行けなかった。
 
「なっ…あれだけの攻撃を受けて無事だと。しかも、銃弾を切り裂いてトラップを回避するとは…。」
 
そう。桜花は確かに吹っ飛ばされてトラップに引っ掛かったが、そのトラップである自分に向かって飛んで来た銃弾を自分の日本刀で一つ残らず真っ二つにしたのだ。
 
                           マスター
「…堕ちた者ですね。『最終機体』と謳われて主人から恐れられていた貴女が…。」
 
イレインは桜花のその言葉を聞いてキレた。
 
「うるさい!!」
 
そう叫んで再びレプリカに総攻撃をさせる。だが…
 

ズバッ!!
 

5機のレプリカは桜花の居合い抜きによって全部破壊された。
 
「そんな馬鹿な…。5機の「レプリカ」がたったの一撃で…。」
 
「あんな「レプリカ」如きいつでも破壊できました。」
 
桜花は冷徹に言う。そして、イレインは恐怖した。
 
「……さて次は貴女の番です。」
 
桜花はそう言うと「瞬歩」でイレインを壁際にまで追い詰める。だが、その時だった。
 
「一つ聞かせてよ。アンタ…一体何者なのよ?エーディリヒだという事は分かるけど『夜の一族』が作成した『エーディリヒ・リスト』にはアンタの名前は書いていなかったわ…。」
 
桜花はそれを聞いてフッと笑う。
 
「…当然ですよ。私が造られたのは貴女達と違って今年ですから。」
 
「!!」
 
桜花のその言葉にイレインは驚愕した。
 
「そ…そんな馬鹿な。エーディリヒは現在の技術では修理する事は出来ても1から作成する事は不可能だ。例え忍でも1からは…。」
 
「でも、『呪われた子供』である怜様ならそれも可能です。」
 
「なんだって?それはどういう事だ?」
 
「簡単な事です。怜様が月村忍以上の天才だと言う事ですよ。ついでに言えば私にはとある人間のデータが入っています。さっきの『居合い抜き』と『瞬歩』もデータを解凍して使いました。説明は以上です。と言う事でコアを破壊されて下さい。」
 
桜花はそう言うとイレインに向かって日本刀を振り下ろす。
 
「くっ…。」
 
イレインはそれを左腕に装着したブレードで受け止めるが…その瞬間ブレードが破壊された。そして、桜花の第二撃が来る。
 
「くそおおおっ!!」
 
イレインはそれを間一髪で避けて壁際から脱出する。
 
(はあはあ…何なのよこいつは…。まるっきりどう攻めていいのか思いつかない…。恭也や姉さんでもここまでやりにくくないわよ。んっ…。やりにくい?もししたら…。)
 
イレインは桜花の顔をじっと見る。
 
(もしかしたらあいつに内蔵されている人間のデータは…。)
 
その時だった。
 
「さようなら堕ちた『最終機体』。」
 
「甘いっ!!」
 
桜花がイレインに向かって日本刀を振り下ろすその瞬間…イレインは桜花の日本刀に「静かなる蛇」を巻き付けて電撃を喰らわせた。
 

「きゃあああああっ!!」
 

「アンタ…強かったけど…誰のデータを使っているかがバレたらお終いよ。だって…いくら強くても…その人間のコピーでしか無いんだから。」
 
イレインは桜花に説き伏せて今度こそノエルの元に向かおうとする。が…。
 
「まだ…終わっていませんよ。」
 
「なっ…『静かなる蛇』をマトモに受けたのに立ち上がるつもり…。さっきとは違って直撃なのに…。」
 
「当然です…。まだ勝敗は決していませんから…。それに…貴女ももう『静かなる蛇』は使えません。」
 
そう。「静かなる蛇」は大量の電力を使う電力兵器なので何度も使えない。もしもう一度「静かなる蛇」を使えばイレインに内蔵されている電力はゼロになり動けなくなる。
 
「お見通しって訳か…。」
 
「ええ…。貴女達のデータは入手済みですから。」
 
桜花はそう言うと日本刀を鞘に戻して構える。
 
「そう…。なら今度こそ止めてやるわ。川澄舞のコピー・エーディリヒ。」
 
「気付かれたようですね…。」
 
「ええ。瞳だけでは確信が持てなかったけどさっきの剣技でやっと気付いたわ。」
 
「そうですか…。」
 
桜花がそう言うとイレインは桜花に向かってダッシュし、持てる力全てを込めて斬りかかる。だが…それは間一髪のところで避けられた。
 
「なっ…。」
 
「惜しかったですね…。貴女の負けです。」
 
桜花はそう言うと避けた時の反動を利用してイレインを斬った。
 

「ぐわあああああっ!!」
 

そして、その衝撃で5メートル吹っ飛ばされてイレインはその機能を完全に停止した。
 


同時刻  海鳴市  月村邸中庭
 
「貴女は…一体何者ですか?」
 
イレインが月村邸で桜花と戦っていたその頃、ノエルはその時 川澄怜と対峙していた。
 
「君達に教えるつもりは毛頭無いよ…。」
 
怜は冷たく言う。
 
「そうですか…。でも貴女は『呪われた子供』です。」
 
ノエルはポケットから取り出した炸薬カートリッジを、ロケットパンチの根元にはめこみ、カキンとロックした。
 
「へえ。ボク等本当に嫌われてるね。」
 
怜はそう言ってクスクスと笑う。
 
「貴女達が忍お嬢様達の脅威となるからです。だから…忍お嬢様達の為にも貴女はここで倒します。」
 
ノエルはそう言うとトランクからブレードを取り出して両腕に装備した。
 
「キミ…何か江戸時代のサムライみたいでカッコイイね。でも、ボクを殺すつもり?」
 
「必要とあらばですが…。」
 
「そんなの…悲しいよ。」
 
怜はそう言うと悲しげな顔になる。
 

「貴女達はただ自らの存在を悔いていればいいのです!!3・2・1・ファイエル!!
 

パシュ!!
 

ちょっとした炸裂音を立てて、ノエルの手が怜に向かって飛ぶ。
 
「そう…戦うんだね。月村忍が何処にいるのかを教えてくれれば何もせずに退いてあげたのに…。」
 
怜はノエルのロケットパンチを避けながら言う。
 
「ええ…。貴女はここで倒さないと忍お嬢様の身に危険が及びますから。」
 
ノエルはそう言うとロケットパンチによって地面に刺さった自らの拳をワイヤー仕掛けで巻き戻し、ブレードで怜を攻撃する。
 
「でもね…ボクも退けないんだ。いいや、退く訳にはいかないんだ。舞達の為に…。そして、この世界の『在るべき未来』の為に…。」
 
怜はノエルの猛攻をかわしノエルの頬を殴る。
 
「くっ…。」
 
ダメージは無かったが何故か痛みを感じた。そして…
 
            ブレイン・モンスター
「見せてあげるよ。『頭脳の怪物』と謳われたボクの力を…。」
 
怜はそう言うと眼鏡を外し、構えた。こうして、月村邸でのセカンドバトルが始まった。

 
to be continued . . . . . . .



あとがき
 
菩提樹「どうも菩提樹です。前話の投稿は内定の勉強会が間近に迫っていたので慌しい投稿になりました。管理人さん本当に申し訳ございません。さて、今回のゲストは…。」
留美「七瀬留美です。今まで名前だけだったけど…やっと登場できたわ。」
菩提樹「すみません。前話まで矢後市編でしたので…。」
留美「まあいいわ。でも、何で私に安次郎のザコを殺させたの?」
菩提樹「貴女が一番適格者だっかから。」
留美「殺す!!(怒)」
菩提樹「だって貴女一応『復讐鬼』ですからちょうどいいかなあと思ったんですよ。」
留美「シャイニング・ウィザード!!」
菩提樹「ギャ〜ッ!!(留美の攻撃が直撃)」
留美「ふう。これだから折原並みの馬鹿は…。と言う事で次回も宜しくお願いします。ちなみに次回のストーリーは今回の続編で怜さんVSノエルです。」