3月26日―――PM8:00 海鳴市 高町家(望side)
あの後、みんなと一緒に高町家に帰ったが、桃子さんに怒られ、恭也さんに丸めた新聞紙で思いっきり叩かれた。
そして、その後で1時間正座させられた。風音さんとことりさんは何故か2時間だったが……。
でも、二人とも二時間正座していたのにも関わらず全然足が痺れていなかったのでビックリするしかなかった。
何故……。
それからみんなで遅めの夕飯を食べたが・・・鍋だった。
眞子さんが鍋がいいと言ったのでだまっ子汁になった。
眞子さん曰く秋田の郷土料理らしいが・・・美味しかった。変わった名前だったが……。
そして、寝る前に今日風音さんの事で分かった事をノートにまとめた。
神楽風音 本名相沢祐一 (みんなで話し合った結果風音さんと呼ぶ事に決定)
17歳 4月25日生まれ
「呪われた子供」の一人でCSS(クリステラ・ソングスクール)の卒業生で学生兼プロのピアニスト。しかし、記録上では1ヶ月前に死亡した事になっており、ピアノ界では「不運の天才ピアニスト」と呼ばれている。
華音市での「ゲーム」によって家族と親友達を失い、その後初音島で暮らすが1ヶ月後に出奔。そして、此処海鳴市で「夜の一族」に記憶を奪われて現在に至る。ちなみに甘い物と無駄なことをするのが苦手。だが、頭も良い。家族構成については本当の親は10年前に死亡。相沢の両親は義理の両親で血の繋がりは無い。
しかし、何故恭也さんや美由希と同じ小太刀二刀御神流が使えるのかはまだ不明。
まあ、こんなところだ。
こうして風音さんの「悲しみ」を知った私の一日は終わる。
明日は病院に通う日だ。もう寝よう。
Tear...
Story.19 それぞれの一日(前編)
3月27日―――PM10:00 海鳴市 高町家
今日はお休み。「翠屋」の定休日だ。
風音と眞子とことりの三人はリビングでペーパーテストをやっていた。
わかばはその試験管でストップウォッチで時間を測っている。
なのはと晶は「ぱ○るだま」でというパズルゲーム対戦していてレンと久遠は二人の対戦を観戦していた。
恭也と美由希は美沙斗に呼び出され海鳴駅へ。
望はフィリスに呼ばれて病院に行った。
休日であるせいか皆バラバラだった。
それから暫くして……
「5教科全部終了しました。」
風音のテストが終わったようだ。
「えっ……。もうですか。まだ始めてから27分しか経っていませんが・・・。」
「ええ……。もう終わりましたし。」
風音はそう言うとわかばに問題用紙を提出した。
そして数分後……
「神楽さん 全教科……間違いなし……。」
わかばはテストの採点を終えて驚愕する。
そしてそれから20分後……
「こっちも5教科全部終わったわよ。」
「私も終わりました。」
ことりと眞子も終わったようだ。
「えっ……。」
わかばは二人の言葉に再び驚く。
だが、採点すると……驚きを隠さずに言った。
「白河さん 456点、水越さん 432点……高得点ですわ。」
「まっ、当然当然。」
「風見学園も結構レベル高いですから。」
実は……この3人のやっていたペーパーテストはは風音学園の編入試験だった。わかばは3人にはこの事は伝えていないが……。
何故そうなったかと言うと昨日の夜、高町家のFAXに秋人から風音学園の編入試験問題が3人宛てに送られたからである。
そして、3人が試験を受させたが……3人とも5教科全部を解き終えるのに1時間もかからなかったのでわかばは驚くしかなかった。
「では、このテストの結果はFAXで送信しておきますわ。多分不合格者はいないと思いますけど……。」
「「「??」」」
そのわかばの言葉に三人は頭に?を浮かべる。
わかばもそれに気付いたのか……
「いいえ、何でもありませんわ。それではお疲れ様でした。」
そう言うとリビングから急ぎ足で立ち去った。
(三人には言えませんわね。このテストは風音学園の編入試験だなんて・・・。)
同時刻 海鳴市 海鳴駅
風音達が風音学園の編入試験を受けていた頃恭也と美由希は……美由希の実母で
香港国際警防部隊に勤めている美沙斗を迎えに海鳴駅にいたが……なかなか合流できなかった。
「恭ちゃん……。人が多いね。」
「ああ……。多いな。」
そう。今日は何故か人がいっぱいだった。
しかも、カップルばかり。
「恭ちゃん……。お母さんまだ来ないのかな。」
「もうすぐ待ち合わせの時間なのにな……。」
二人はさっきと似たような会話を繰り返す。
だが、その時だった。
「二人とも久し振り。」
「……はっ。」
「……ひっ。」
二人は背後からの声に反応して後ろを見る。其処には……美由希の実母である御神美沙斗が立っていた。
「二人とも大丈夫かい。顔色が悪いが。」
「いや、それは……。」
「いきなり美沙斗さんが後ろから声をかけるからびっくりして……。」
「いや……すなまい。ちょっと二人ともちょっとた○ぱんだみたいだったから活を入れようと思ってつい……。」
「でも、気配を消して後ろから声をかけるのは心臓に悪いですよ。」
「そうだよ!!」
二人はそう言って怒る。
「いやあ、すまん。すまん。陣内さんに『うちは茶目っ気も必要だ。』とよく言われるのでその訓練だ。」
「「だああああっ!!」」(コケる音)
そんなやり取りをしながら三人は駅の傍にある喫茶店に入った。
AM10:40―――海鳴市 海鳴駅近くの喫茶店
ここは海鳴駅の傍にある喫茶店。本当は高町家まで行くつもりだったが、美沙斗の提案により急遽此処になった。
「さて……説明しようか。」
「お願いします。」
「うん……。お願いね。」
こうして美沙斗の説明が始まる。
「この前恭也が電話で聞いてきた神楽についてだが……あの後御神の家系図を解読してやっと分かったよ。神楽は……不破と同じ御神の分家の一つだ。だが、不破とは違って『人で在らざる者』を倒す為に存在する御神であったが為に十年前に「夜の一族」によって滅んだと言われている。」
「「えっ?」」
それを聞いて二人は唖然とする。
「ちょっと美沙斗母さん……それっておかしくない?だってあの爆弾テロ事件が起きたのは十数年前だからズレてるよ。」
あやな
「ああそうだ。それはあの爆破テロ事件の遭った婚儀の事だが、神楽の者と言っても当時はもう彩奈しかいなかったが……神楽の者は呼ばれなかった。だが、それで彩奈は助かった。」
「それは……何故ですか?」
「神楽は確かに御神の分家だが、「夜の一族」と敵対していたが為に御神本家から追放された家だからだ。」
「えっ……。」
それを聞いて美由希は驚く。
「じゃ……じゃあ風音は。」
「おそらく……彩奈の息子だ。彩奈が死んでから相沢家に引き取られた神楽祐一だ。」
恭也はこれで納得した。何故風音が自分達と同じ小太刀二刀御神流が使えることについては……。
だが……
「次の質問ですが美沙斗さん。「呪われた子供」って何ですか。昨日忍が「呪われた子供」は敵だって言った時から気になってしょうがなかったんですが。」
新たに質問した。
タオ
「その事は私も分からない。彼らの肋骨が一本欠けている事と「道」と言うHGSとは別の能力の使い手である事以外は……。」
「そうですか……。」
「すまない…。こっちも「龍」の事で手いっぱいの状態だから。」
「ううん。気にしなくていいよ。美沙斗母さんも大変って事は私も恭ちゃんも分かっているから。」
それを聞いて美沙斗は少し間を置き、
「ありがとう。」
と礼を言った。
AM10:50―――海鳴市 高町家
再び高町家だが…
「ちょっと病院に行きたいんですけどいいですか?」
風音はことりと眞子に聞いた。
「まあ、昨日あんなことがあったから本当は「止めておけ」って言いたい所だけど…。」
「まだ、お昼ですからいいですよ。」
病院に行く事に賛成した。
「ありがとうございます。望さんの帰りが遅いから迎えに行こうかと思いましたので。」
だが、二人は風音のその言葉を聞くと…。
「いいけど、私達も連いていっていいかな?ちょっと気になることがありますので。」
「じゃあ私も…。」
だが、この時の二人の顔は何故か怖かった。
「別にいいですけど…。」
さすがの風音もこの時の二人に逆らう事は出来なかったので了承するしかなかった。
こうして、三人は海鳴大学病院に行く事になった。
其処で知る事に少しも気付かずに……。
to be continued・・・
あとがき
菩提樹「どうも菩提樹です。今回は前回のStory.18を挽回するつもりで書きました。さて、今回のゲストは……。」
レン「鳳蓮飛(フォウ・レンフェイ)です。今回はちょびっとでしたが又登場する事が出来て嬉しいです。」
菩提樹「本当は台詞なども書くつもりでしたが・・・すみません。」
レン「まあそれはええとして……。次回はフィリス先生と望さんのお話みたいですなあ。」
菩提樹「はい、そうです。」
レン「となると望さんが風音さんに隠している事がバレルって事ですかね?」
菩提樹「まあ、そうなりますかね。」
レン「シビアですなあ。ウチはもう解決したからええですけど。」
菩提樹「そうですね。それではまた〜。」
レン「あっ。ちょっとそっけないなあ。」
菩提樹「就職試験もありますから。当然です。」