私には大切な幼馴染がいます。
とてもとても大切な・・・。
彼と初めて会ったのは10年前・・・
私の両親が死んで泣いていた時に出会いました。
彼は私の為に歌を歌い、私を励ましてくれました。
自分も私と同じように両親を失っていると言うのに・・・。
それから3年後、私達はそれぞれの義理の両親の元を離れ、イギリスにあるCSSのティオレ・クリステラさんに引き取られました。
そこで私達はそれぞれの音楽を磨き、競い合いました。
でも、私はいつも彼には勝てませんでした。
でも、その時が一番幸せだったかもしれません。
15歳の時、つまり今から2年前に私達は日本の高校に通うために日本に帰国しました。
私達はそれぞれ別々の高校に通う事になりましたが、定期的に連絡はとっていました。しかし、その日も終わりが来ました。
今から1ヶ月前の2月2日に彼のいた街で「夜の一族」のゲームが行われて、彼のいた街は崩壊しました。
私とお姉ちゃんは彼のいた街に急いで行きましたが、もうそこは廃墟でしかありませんでした。
彼は奇跡的に生きていましたが、再会した時には・・・笑顔を失っていました。
そこで、お姉ちゃんは彼を引き取り私は彼と一緒に生活をする事にしましたが、彼はなかなか笑ってくれませんでした。
しかし、ある日彼は又笑ってくれました。眞子ちゃんや朝倉くんに出会ってから彼は再び笑うようになりました。
しかし・・・そんな楽しい日も終わりが来ました。朝倉くんの義妹であり恋人でもある音夢が倒れたのです。口から桜を吐いて。
彼は苦しみました。自分が「呪われた子供」だから音夢が倒れたのではないかと何日も自分を責め続けました。
そして、3月3日に彼は置き手紙を残して私の前から去っていきました。
「さよなら。そして、ありがとう。」という手紙を残して・・・。
私は泣きました。悔やみました。彼を救えなかった自分を憎みました・・・。
しかし、一週間前の夜に彼が海鳴市にいるという事が分かりました。
だから、私は彼を迎えに行く事にしました。
まだ何を言えば良いのか分からないけど・・・これだけは言える。
お願いだからもう・・・これ以上傷つかないで。もう・・・これ以上苦しまないで。貴方は一人じゃないんだから・・・。祐一くん・・・と。
Tear...
Story.7 a ill−hated child
3月22日―――PM5:40 海鳴市 商店街(ことり・眞子side)
ことり「やっと着いたけど・・・。」
眞子「人が多すぎて見えないね。」
ことり「うん。でも、祐一くんの筈です。この曲をここまで完璧に弾ける人は祐一くんしかいないし。」
眞子「でも・・・。ことり。もし・・・相沢だったら何て言う?」
ことり「分かりません。『一緒に帰ろう。』という言葉は思いつきますけど・・・。」
眞子「そっか・・・。私も同じだよ。」
眞子達は沢山の人込みの掻き分けて進もうとする。しかし・・・。
ことり「・・・??えっ?さっきまで人が沢山いたのに誰もいなくなってる。」
眞子「あれ?本当だ。いつの間にか私達とピアノを弾いている人だけになってる。」
その時だった。
ヒュン!!
眞子「くっ!!」
背後から何者かに攻撃されるが、眞子は間一髪のところで避ける。
??「見ツケタゾ・・・。「呪ワレタコドモ」・・・。」
??「忌マワシキ存在・・・。」
??「食エナイモノドモ・・・。」
そして、ことり達の前に3体の獣人が現れた。
眞子「私達が「呪われた子供」・・・「a ill−hated child」だって事を知っているという事は・・・「夜の一族」の刺客ね。あんた達・・・。」
獣人1「ソウダ・・・。綺堂サマノ命二ヨリ貴様ラヲ殺ス・・・。」
獣人2「コノ「夜ノ結界」ノ中デハ我ラノ力ハ3倍ニナルノダ・・・。」
獣人3「クルシミ・・・ゼツボウシ・・・死ネ・・・。」
だが、ことり達は・・・
ことり「ふう。たった3体の獣人で私達2人を殺すとでも言うのですか?なめられたものですね。」
眞子「そうだね。虎型の獣人ならちょっと苦戦するけど、山犬型じゃね。」
3体の獣人に少しも恐れていなかった。
眞子「悪いけど道を空けてくれない?邪魔だから。」
ことり「そうです。おとなしく引き下がってくれれば何もしませんよ。」
しかし・・・
獣人1・2・3「「「殺ス!!後カタモ残サズニグシャグシャニシテ殺ス!!」」」
3体の獣人はことり達の言葉に憤慨し、ことり達に攻撃を仕掛けた。
ふうが
ことり「やれやれ。やっぱりこうなりましたか。ならばこちらも。出でよ。旋律を奏でし剣 「風雅」!!」
ことりが叫ぶと空間が歪み一振りの太刀が姿を表す。そして、それに続いて眞子も両手に鉄甲をはめる。
眞子「じゃあ行くよ。」
ことり「あなた達には悪いけど今の私達には時間がないから。」
獣人1「ホザケ!!」
ヒュン!!
1体目の獣人は刃のような爪でことりを攻撃する。しかし・・・それは簡単に避けられる。
ゆきはな
ことり「遅いですよ・・・。せめて花のように美しく散って下さい。姫神流 「攻」の章三の曲 雪花!!」
ことりはそう言うと獣人に技を仕掛ける。すると・・・
獣人1「ナッ・・・。オレノ体ガ凍ル・・・。」
1体の獣人の身体は瞬間冷却され、花が咲くように血を吹き上げて散った・・・。
眞子「じゃあ私も。ガトリング・ラッシュ!!」
ことりに続いて眞子も2体目の獣人に拳による連続攻撃をあびせる。しかし・・・
獣人2「フン。ソンナ攻撃ガオレニ効クトデモ・・・。」
獣人は全く無傷だった。
眞子「思っているわよ。」
彼女がそう言った瞬間・・・
獣人2「ナッ・・・オ・・・オレノ身体ガ・・・。」
獣人の身体は崩壊して跡形も無くなった。
眞子「どう。私の能力「覚醒」での攻撃は・・・。」
獣人はこれで1体だけとなった。
ことり「これであなた1体だけです。」
眞子「いい加減諦めて帰ったら。」
2人は獣人に問いかける。が・・・
獣人3「フザケルナ!!マダ勝機ハアル。アノ店ニイル女ヲ人質ニスレバ・・・。」
獣人はそう言うと楽器屋の店内ガラスを割り、ピアノを弾いていた女性を人質にとろうとする。
ことり・眞子「しまった!!逃げて!!」
ことりと眞子は楽器店でピアノを弾いていた女性に向かって叫んだ。
同時刻 海鳴市 商店街(風音side)
風音はさっきとは周りの様子が違う事に気が付く。沢山いた人たちが一人もいなくなっていたからだ。いや、よく見たらちょっと遠くで2人の女の子が人であらざる者と戦っていた。そして、2人の女の子が取り逃がした最後の獣人が自分に向かって襲い掛かってきた。
風音「今度は「夜の一族」ですか・・・。」
風音はそう呟きピアノから離れ、意識を集中させる。
風音「出でよ。「時」を司る太刀 「時雨」!!」
風音がそう言うと空間が歪み、一本の小太刀が姿を表す。
風音「貴方ごときに奥義を使うまでもない。斬!!」
ザシュ!!
風音はそう言って自分目掛けて襲い掛かってきた獣人をそのまま引くように斬った。
獣人3「ガフウ!!」
獣人は喉笛を引き斬られそのまま絶命した。
そして・・・「夜の結界」が砕けたのか周りは現実に戻る。だが、ついさっきまでいた聴衆は人が急に消えて驚いたのか一人もいなかった。
PM5:45 海鳴市 商店街
ことり「あの女の人強い・・・。」
眞子「うん。あの獣人の動きもちゃんと読んでたし・・・。」
2人は先程の風音の戦いを見て戦慄した。
ことり「でも・・・何であの人祐一くんの技を・・・御神流を・・・。あれは御神流の初歩技の一つ「斬」でしたし・・・。」
眞子「もしかしたら・・・彼女が相沢なんじゃ・・・。」
ことり「その考えは否定できないね・・・。祐一くん女顔だし・・・。」
眞子「まあいいか。とりあえず聞きに行こう。彼女も私達と同じ「呪われた子供」みたいだし。」
ことり「うん。」
ことりと眞子はそう言って、風音のいる楽器店に入った。
PM5:50 海鳴市 楽器店
風音「おかしい。店内のガラスは割られた筈なのに元に戻っていますし。」
風音は獣人に割られた店内ガラスを確認したが、元に戻っていた。まるで割られる前の状態のように。
風音「これは・・・一体。」
その時だった。
ことり・眞子「「大丈夫なの(ですか)?」」
風音「えっ?」
風音はいきなりの大声にビックリした。
ことり「あっ。いきなりビックリさせてすみません。私の名前は白河ことりです。それで、隣にいるのは水越眞子ちゃんで私の友達です。」
眞子「あはは・・・。どうも・・・すみません。私達の戦いなのに巻き込んじゃって・・・。」
眞子はバツが悪そうに笑う。
風音「い、いえ・・・。あなた達も無事でなによりです。」
風音はいきなりの自己紹介に困惑していた。
風音(こ・・・この人たちは一体何者なのですかね?さっき獣人と戦っていましたから「龍」や「夜の一族」であるとは思えませんが・・・。もしかして・・・僕と同じ・・・。)
その時だった。
ことり「ええ。あなたの考え通り私達もあなたと同じ「龍」や「夜の一族」に狙われている「呪われた子供」です。」
風音「えっ!?」
風音はびっくりした。自分の考えていた事に関する返答が返ってきたからである。そして・・・
風音「あなた達は一体・・・?」
今度は逆に風音がことり達に問いかけた。
眞子「どうやら「呪われた子供」について知りたいみたいね?なら、ちょっと付き合ってくれない?ちょうどいい喫茶店があるし。」
眞子はそう言って「翠屋」を指す。
ことり「ち、ちょっと眞子ちゃん・・・。」
ことりは眞子の強引さに納得がいかなかったのか眞子を引き止める。
眞子「この人が相沢なのかもしれないのよ。だったらここで逃がすわけにはいかないじゃん。」
ことり「そ・・・そうだけど・・・。で、でも・・・そんな事・・・。」
だがその時・・・。
風音「いいですよ。」
ことり・眞子「「えっ!?」」
ことりと眞子はほぼ同時に驚く。自分達の誘いに乗るとは思っていなかったからである。
風音「只、待ち合わせをしているので長時間は無理ですけど・・・。」
風音はそう付け加えた。
眞子「べ、別にいいわよ。ところで、あんた名前は?」
ことり「そ、そうでした。すみません。聞くのが遅くなって。あなたの名前を教えて下さい。」
風音「ええ。構いませんよ。僕の名前は・・・神楽風音です。」
ことり「えっ・・・。」
ことりはそれを聞いて驚く。
風音「どうかしました?」
眞子「どうしたのことり?」
ことりの顔が青くなっている事に気付き風音と眞子はことりに声をかける。
ことり「い、いや・・・な・・・何でもありません。」
ことりの顔はすぐに笑顔に戻る。が・・・。
ことり(この人一体何者なんだろう・・・。神楽というのは確か・・・祐一くんの母方の姓だけど・・・。この人は一体・・・。)
ことりは考える。しかし、答えは出てこない。そして・・・
ことりも眞子も今自分達の側にいる彼こそが自分達が捜している相沢 祐一とはこの時まだ少しも気付いていなかった。
風音達が去ってから数分後・・・
??「この程度の使い魔では駄目でしたか・・・。少し彼女達を甘く見ていましたね。」
もう誰もいない楽器店でピンク色の髪をした女性がぼそっと呟く。
??「でも、あの黒髪の人は何者でしょうかね?忍の好きな人と同じ技の使い手でしたが・・・。」
彼女は沈黙する。そして・・・
??「ふふっ。まあいいでしょう。警告にはなりましたから・・・。」
彼女は少し笑ってその場を去っていった。
PM5:55 海鳴市 裏山
??「やっぱり・・・祐一くんの記憶は奪われていたか・・・。どうしよう・・・。うたまる・・・。」
うたまる「うにゃ〜。」
??「そうか。分からない・・・か。でも・・・何とかしなきゃね・・・。」
うたまる「うにゃにゃ。」
??「・・・ことりちゃん。悪いけど君に賭けるよ。祐一くんを救って・・・。」
うたまる「うにゃ〜。」
??「さあ、もう行こうか。こんなところで感傷に浸ってる時間はボク達にはないんだし・・・。」
金髪の少女は手足のない猫を肩に乗せてその場を立ち去る。そして・・・。
??「ごめんね。祐一くん。ことりちゃん。ボクのせいで・・・。ボクがあんなことを「枯れない桜」にお願いしてしまったせいで・・・。」
少女はそう言うと声をあげずに泣いた。誰もいない裏山で・・・。
to be continued ・ ・ ・
あとがき
菩提樹「どうも菩提樹です。今回は「D.C.〜ダ・カーポ〜」ヒロインの2人のバトルでしたが・・・。今回のゲストは・・・。」
眞子「水越 眞子です。って何で私が・・・。」
菩提樹「私が眞子さんのこと好きだから登場させちゃいました。」
眞子「そう言われると嬉しいけど。でも、こういう役って音夢かさくらが適任じゃないの?」
菩提樹「いいじゃないですか。出られたんですし。と言うより音夢さんはまだ名前しか登場していませんし・・・。」
眞子「ならクリスマス編でもちゃんと出しなさいよ。ことりはちゃんと出ているんだし。(菩提樹の首を絞める。)
菩提樹「はい〜。すみませ〜ん。(泣)」
眞子「まあいいわ。ところで私はそのSSではどんな役割を荷っているの?」
菩提樹「まだ、言えません。でもこれだけは言えます。あなたも確か・・・ぎゃ〜っ!!(眞子に殴られてぶっ飛ぶ)」
眞子「言うな。(真っ赤)先が面白くなくなるでしょ。という訳で次回もよろしくお願いします。ちなみに神楽(相沢)とことりの剣は能力で作られた刀なので戦闘終了後に消えると言う代物です。」