子供の頃の事を思い出すのはあんまり好きじゃない・・・
嬉しい事よりも悲しい事の方が多いから・・・
忘れたい記憶
忘れられない記憶
記憶の中の私は・・・
泣きたい程無力で・・・死にたいと思う程弱くて・・・
悔しさと後悔で・・・色々な気持ちに苛まれる・・・
そう・・・だから私は銃をとった
強くなろうとした
もう二度とあんな悲しい事を起こさせないように・・・
でも・・・私は守れなかった・・・救えなかった・・・
誰よりも愛していたあの人を・・・
大好きだったあの人を・・・
1ヶ月前に失ってしまった・・・
ごめんね・・・ユウ・・・わたしのせいで・・・
3月21日―――イギリス ホテル ウェストベリー
??「エリス、エリス!!」
エリス「何?アイリーン?」
親友であるアイリーンの声によって私は目を覚ました。
アイリーン「ねえ?大丈夫?泣いていたから・・・何か嫌な夢でも見たの?」
エリス「ええ・・大丈夫よ・・・。ごめんね心配かけて・・・。」
私は頭を押さえて返事をした。涙を流した自分の顔なんて誰にも見せたくなかったから。
アイリーン「やっぱり・・・ユウの夢を見たのだね・・・。」
エリス「ええ・・・。」
アイリーン「でも・・・そんな悲しそうな顔をしていちゃ駄目だよ。そんな顔をしていたら・・・ユウが悲しむよ・・・私もユウが死んだって知らされた時は悲しかったけど・・・。」
エリス「そう・・・ね。こんな顔していちゃ・・・駄目・・・だよね。」
アイリーン「うん。」
私なんかと違って、アイリーンは本当に強い。ユウの死を受け入れて、ちゃんと前に進んでいるのだから。
でも、私は彼の死を・・・最愛の人の死を悲しまずにはいられない。ユウが死んだのは・・・私のせいなのだから・・・私が・・・「呪われた子供」だから。
Tear...
Story.4 「龍」の実力
3月22日―――PM1:50 海鳴市 高台
望「何で・・・何で・・・あの飛行船がこの街に・・・。」
望はしばらく唖然としていたが、すぐに我に返った。
望「そ、そうだ・・・電話、電話!!」
望は慌てて、自分の携帯電話のボタンをプッシュする。しばらくして、電話がつながる。
??「もしもし。高町ですけど。」
望「あっ・・・わかば。ちょっと大変なの。今すぐ高台に来て・・・。」
その時だった。
ズドン!!
望「えっ・・・。」
望は驚きのあまり今の状況が上手く把握できなかったが、すぐに我に返る。
望「あれ・・・携帯が壊されている・・・!?これは・・・銃弾!!」
そして、前を見ると銃を持った男が立っていた。
??「おい、電話なんかかけんなよ!!殺さなきゃいけない人間が増えるのだからな。それに、何であの飛行船が飛んでいるかなんて知る必要はねえだろ?お前達はここで死ぬのだからな。」
望はいつの間にか自分の前に立っていた人物に問いかけた。
望「えっ・・・だ、誰ですか・・・あなたは・・・。」
??「お前なんかに名前を名乗るつもりなんて毛頭ないが、教えてやるよ。簡単に言うなら『呪われた子供』とその『呪われた子供』に味方したお前等を殺しに来た者と言えばいいかな。」
望「えっ!?『呪われた子供』!?」
??「そこの休憩所のベンチで寝ているガキの事だよ!!」
望「それは・・・やっぱり・・・風音さんの事ですか・・・。」
望は少し怒気が含んだ声で問いかけた。
??「まあ、そうなるな。」
望はそれを聞いて少し黙り、そして再び質問した。
望「じゃあ、貴方達が、風音さんの記憶を奪った・・・。」
望が言い終わらないうちに男はその問いに答えた。
??「いや・・・それは「夜の一族」の連中の仕業だ。俺達は只、奴らに依頼されてここに来ただけだ。」
望は更に問いかけた。
望「どうしてそんな酷い事を・・・。」
怒りのせいか望の言葉遣いはいつもとは違っていた。
??「別に理由なんてない。只、奴が「呪われた子供」であるから。それだけだ。」
望「そんなくだらない理由で風音さんを殺すのですか?」
望はもう爆発寸前だった。風音を傷付けただけではなく、それに対して全く反省していないからである。
??「まあな。でも、これから死ぬお前には関係ないだろ。」
望「関係ないですって・・・充分関係ありますよ。風音さんは私達の友達ですから・・・だから、私は・・・風音さんを傷付けたあなた達を許さない。」
??「フッ!!やっとやる気になったか。戦いと言うものはそうでなくちゃな。」
カタッ!!カラン!!カラン!!
男はそう言うと手に持っていた銃を捨てた。そして、銃は何回かバウンドしてやっと転がるのを止めた。
望「なっ!?」
??「あいにく俺は素手で戦うタイプなのでね。銃は不要なのだよ。」
望「後悔しますよ。」
??「お構いなく。こちらも「龍」三番隊副隊長 幻丞の力とくと見せてやるよ・・・。」
こうして、2人の戦いが始まった。
PM2:10 海鳴市 高台
戦いが始まって20分後・・・
望「はあああああああっ!!」
望は幻丞に目掛けてダッシュし、一刀両断にした。が・・・
望「なっ・・・また・・・幻影。」
幻丞の体はすぐに歪んで消えた。
そして、
望「ああっ!!」
後ろから山突きを食らい、倒れる。
幻丞「オイオイ。まだ倒れんなよ。俺に後悔させてやるじゃなかったのか?」
望「うるさい!!」
望はその言葉に怒り、後ろにいた幻丞を斬った。が・・・
望「これも・・・幻。」
後ろにいた幻丞もすぐに歪み消えた。
幻丞「ハハハ!!これで分かっただろ!!お前じゃ俺には勝てないって事が。」
望の前に幻丞が再び現れた。
望「まだ・・・勝負はついてない・・・。今なら「ちから」が使えるはずだから・・・。」
望は幻丞の所にダッシュして斬りかかる。
望(もしかしたら・・・だけど。)
幻丞「ハハッ!!何度やっても同じだという事がまだ分からんのか?」
幻丞は笑う。
望「同じ・・・違いますよ。フンッ!!」
ヒュン!!
望はそう言うと幻丞のいる方向とは逆の方向に向かって衝撃破を放った。
幻丞「なっ・・・!!」
幻丞のいる方向とは逆の方向から左腕に血を流した幻丞が現れた。
望「どうやら・・・あなたが本物ですね。」
幻丞「チッ!!見抜かれたか。」
幻丞がそう言うともう幻影であるもう一人の幻丞が消えた。
望「あなたの幻影はいつも自分のいる方向とは逆の方向に出していた。だから、いつもあなたは私の後ろから攻撃した。いや、するしか無かったのですよ。自分とは逆の方向にしか幻が出せないから。でも、これであなたの能力は見抜きました。だから、もう退いて下さい。」
望は悟ったように言う。しかし・・・
幻丞「アーハハハハハハハハハッ!!」
それに対し、幻丞は狂ったように笑った。
望「な、何がおかしいのですか!?」
幻丞「ハハハハハッ!!ハハハハハッ!!おかしいさ。『退け』だって。笑わせやがる!!本当に笑わせやがる!!バカ言ってんじゃねえよ!!」
幻丞は笑い続ける。望をバカにするかのように。
幻丞「俺の「幻影の盾」を破った事は褒めてやるが、いまのが俺の本気だと思っているのか?まあ、だとしたらお前に勝ち目はないな。」
望「えっ・・・?」
幻丞「見せてやるよ。俺の本当の力を。」
ヒュン!!
幻丞がそう言うと、幻丞の姿はその場から消えた。
望「なっ・・・消えた。」
その時だった。
ドスッ!!
望「きゃああっ!!」
望は心臓に一撃を受け、そのまま倒れた。
しかし、それでも彼女は木刀を利用して立ち上がろうとする。が・・・
望「ゴホッ!!ゴホッ!!」
バタッ!!
望は口から大量の胃液を吐き出し再び倒れた。
望(こ、この人一体何者なのよ・・・動きが・・・見えないなんて・・・さっきとは全然違うじゃないの・・・。でも・・・それでも・・・勝たなきゃ・・・だから、お願いだから・・・動いてよ・・・私の足・・・じゃないと、風音さんが・・・殺されちゃうのよ。)
幻丞「無駄だ。心臓に衝撃を受ければ誰でも一時的に行動不能状態になるのだからな。」
そして・・・
ガクッ!!
しかし、彼女のそんな願いも虚しく、望の意識はそこで途切れた。幻丞の言う通りに・・・。
幻丞「ふん。『幻霧』一発でアウトかよ。断然大したことねえ。でも、すぐにあそこにいる『呪われた子供』も殺してやるから安心して死にな。」
幻丞はそう言った後に望の衝撃破で出血した左腕を止血した。そして・・・
幻丞「じゃあな。小娘。」
幻丞はそう言った後に望に止めを刺そうとした。
だが、その時・・・
ヒュン!!
何処からか飛んできた小石が幻丞の顔に当たった。その為に、幻丞の止めの一撃は僅かに逸れ、望の命を奪う事に失敗した。
幻丞は小石の飛んできた方向に振り向く。
幻丞「チッ!!もう起きやがったのか。」
そこには・・・
神楽風音が立っていた。
to be continued ・ ・ ・
あとがき
菩提樹「どうも菩提樹です。さてStory.4でのゲストは・・・」
アイリーン「アイリーン・ノアです。と言っても・・・Story.4の最初にちょっとしか登場していませんけどね。」
菩提樹「まあ、そういわないで下さい。貴女も結構気に入っているキャラなのですから。」
アイリーン「それはどうもありがとう。と言いたいところだけど、何で私があとがきに・・・エリスでも良かったのではと思うのだけど?」
菩提樹「だって、彼女はビデオ版専用のキャラですからどうしても登場させにくかったもので・・・すみません。」
アイリーン「まあ、いいけど。でも、今回のエリスに似た望ちゃんの事なのだけど、ハッキリ言って扱い悪いわね。まあ、敵が『龍』のメンバーだから仕方がないと思うところもあるけど。」
菩提樹「申し訳ございません。展開上こうなっちゃいました。」
アイリーン「でも、この埋め合わせはちゃんとしなさいよ。」
菩提樹「はい。ちゃんとします。だから、責めないで下さい。(泣)
アイリーン「う〜ん。これからの話に私の出番をいっぱいくれるのならもう責めないわ。」
菩提樹「そんな。殺生な〜!!(泣)」
アイリーン「と言う訳で次回もよろしくおねがいしま〜す。」