Miracle tea
process 15 人様には言えない事
彩 「私が案内するのはここが最後です」
そう言われてやって来たのは公園。
変なジュースの自販機(味噌汁ジュースなんてものがあった)も見つけたが気にしない。
彩 「昼間は、たくさんの人がこの公園にやってきます。仕事の合間に休み人、子供を連れてくる母親、仲の良さそうな人たち、幸せそうな恋人や夫婦……ここは、そんな人たちにとっての憩いの場なんです」
祐一「…そして、夜になっても不良どもの溜まり場にはならない」
彩 「はい」
公園内はとても静かで、誰か人がいるようには思えなかった。
いや、事実俺たち以外に人はいない。
もう一度、海で考えていた事を考えてみる。
俺は何故月代を誘った?
どうしてそのことを疑問に思う?
彩 「相沢さん?」
祐一「ん…悪い。考え事してた」
今は考えるのをやめよう。
どうせだから、今このときを存分に楽しんでおくべきだ。
彩 「一つ、確認してもいいですか?」
祐一「何を?」
彩 「あなたが私を誘った、本当の理由です」
…またずいぶんと直球できたもんだ。
彩 「私には、あのときの言葉が建前のように思えます。そして、無理に私に頼む事も、私一人に頼む事もなかったはずです」
月代の言葉に納得してしまう自分が怖かった。
そんな自分を憎らしく思うと同時に、結論に辿り着いた。
俺は、月代を手放したくないんだと、傍にいたいんだ…と。
これが恋だって…わかる。
これが人を好きになるということだってわかる。
きっかけなんてどうでもいい。
結果だって求めない。
彩 「聞かせてもらえませんか?あなたの答えを」
そう言われたならば、やるべき事はもう決まっていた。
祐一「こういうこと……だよ」
彩 「!」
俺はそれだけ言って、月代――彩の唇を塞いだ。
それが俺の答え。
俺は、月代彩に……一生分の恋をした。
彩 「や、やめてください…そういうことをされたら、応えてしまいそうになります……」
祐一「嫌なら…殺してくれたっていい」
正直な気持ちだった。
彩になら殺されてもいいと思った。
それだけ彩が愛しいと思った。
彩 「………」
彩が何かしてくる様子もなかったから、俺は彩を抱きしめた。
その細くて、小さな、今にも折れてしまいそうな体を強く、優しく、大切に抱きしめた。
彩 「もういいです……もう、好きにしてください」
そう言った彩の瞳は涙で潤んでいた。
彩 「全てを奪ってもいいです。何度口付けをしても、抱いてくれても…殺してくれてもいいですから……どうか、傍にいさせてください」
彩は泣き出した。
俺の目の前にいる少女は、人の命を狩る死神なんかじゃなかった。
ただ、孤独になる事を恐れるちっぽけな存在だった。
祐一「大丈夫…傍にいるから」
彩 「はい…ありがとうございます」
以下数十行、規約に触れるため自主規制致します(by セナ)
彩 「絶対に…私を離さないでください。何があっても……」
祐一「わかってる。離さない」
軽く彩の頭を抑えた。
祐一「だから、2人で全てを終わらせて、2人で人として生きよう」
彩 「はい…」
ちからの本質は人の願い。
街が人々に見せている夢。
夢は千年続いた。
夜はいつか明け、夢も終わる。
今はまだ夜。眠ったままの子供はそろそろ起きる用意もしなきゃいけない。
もちろん、最初の目覚め…それを手伝うのは、母親の仕事だ。
祐一「夢の時間は終わりだ。朝を知らない、無邪気な風…」
セナ「結構削除しました」
彩 「18禁になりそうでならないとか、ぎりぎりの線でしたからね。あれは」
セナ「そうだったね」