Miracle tea
process13 風音観光ツアーその2、汗を流しましょう
ハイキングコースから降りて、俺は月代の指示通りにドマー二を走らせた。
そして、やって来たのは…
祐一「風音温泉…か」
風音市に源泉があったなんてことははじめて知ったが、それよりも温泉があるなら汗を流しておきたかった。
彩 「行きましょうか」
月代が先に行った。
祐一「あ、待てって」
俺は月代を追いかけて中に入った。
というわけで男湯。
混浴なんてものを期待したやつは名乗りを上げとけ。
作者がコメントを送ってくれるはずだ。
と…話を戻そう。
言うまでもないことだが、女湯は隣だ。
祐一「気持ちいいよなぁ……風呂って」
これで月が出てて、酒があったらもっと良かったけど。
でも、発泡羊乳酒(スパークリングケフィア)なんて温泉には合わないな。
さすがに、こんな日の高いうちに入りに来るやつは殆どいない。
貸しきり状態だ。
折角だからやるか。
そう、普段なら出来ないこと……俺は泳いだ。
何やってるんだと言われたらそれはそれでおしまいだろう。
とにかく、しばらく泳いだ。
結果、飽きた。
俺は桶で床を軽く叩き、音を立ててから出た。
何でも、風呂から出るときに隣のやつに送る合図らしい。
着替えてからコーヒー牛乳を買った。
風呂上りは乳製品がやたらと美味しく感じる。
半分くらい飲んだ頃に月代がやってきた。
彩 「よくあんなことを知っていましたね」
祐一「あんなこと?」
彩 「桶です」
あぁ、そういやそうだな。
祐一「昔、銭湯に行ったことがあってそのときに教えてもらったんだ」
覚えてから何度もやったためか、それをすることに全く違和感を感じなかった。
実際は知らない人のほうが多いかもしれない。
祐一「それより、ほれ」
俺は月代に買っておいた特濃牛乳を渡した。
彩 「どうして特濃なんですか?」
祐一「美味いだろ」
彩 「確かにそうですが、何故特濃なんですか?」
言ったらやばそうな理由なんだけどな…
彩 「怒らないので教えてください」
怒らないって言ってるし、白状してみようかな…
祐一「……出るとこ出るかな、とか思ったから」
どう考えたって言わないほうがいいことだった。
彩 「…出ているほうがいいんですか?」
祐一「……ないよりは」
彩 「飲みます」
貧乳だということを気にしていたのか、はたまた違う理由でかは知らないが、月代は必死になって飲み始めた。
つか、逆に怖い。
ふと思ったのだが、俺はどうしてこういう案内を月代に頼んだのだろうか。
別に、真でも良かったはずだ。
彩 「思ったんですけど、魔法少女って好きですか?」
祐一「別に」
わけのわからんことを訊かれたが、俺は即答で返した。
彩 「相沢さんは、私と関わったことを後悔していますか?」
次の質問。
祐一「え?」
彩 「私は、少し後悔しています。
今このときを楽しいと感じてしまう自分に後悔しています。このままでは人に刃を向けることが出来なくなってしまう。そうなったら街が死んでしまう…」
このときの月代の表情は、怯える少女そのものだった。
祐一「死にはしないさ。ちからっていうのはこうであったらいい、という個人の願望、越えたい壁を乗り越えるためのものだ。ワックスを床一面に広げる能力なんてなくてもいいだろ?だったら、風を一人立ちさせてもいいはずだと思うけどな」
彩 「それは…」
祐一「今は、互いの役を演じていようじゃないか。馬鹿みたいに」
出発は一時間後となった。
セナ「デートはあと2,3話くらいかな」
祐一「ほぉ…」