Miracle tea
 
process 12  風音観光ツアーその1、ハイキング編
 
 
 
 
 
 
   さて、まずは簡単な説明をしよう。
 
   俺は、まずあゆと2人で風音にやってきた。
 
   そのとき、俺は自分のバイクを使った。
 
   クラウザー社製の『ドマーニSS−@』
 
   レーシングニ―ラーの面影のあるサイドカーだ。
 
   貯金を全額はたいて買った。
 
   とある店の店長の愛車で、それにちょっとした憧れを抱いていたからだ。
 
   とまぁ、そんなわけでバイクを持ってるから、九月堂までドマーニで行った。
 
祐一「というわけで乗ってくれ」
 
   俺は月代に乗るように促した。
 
彩  「何がというわけなのかは知りませんが、わかりました」
 
   月代は俺の隣に(当然だけど)乗り、置いてあったヘルメットをかぶった。
 
祐一「どこから行くんだ?」
 
   道を良く知らないので、案内は全て月代に任せる。
 
   言うなれば、生きたカーナビだろうか。
 
彩  「山にしましょう。そこにハイキングコースがあるので登ります。着替えは持ってきていますよね?」
 
   そうなのだ。
 
   何故かは知らないが、着替えを持ってくるように言われていたのだ。
 
祐一「もちろんだ」
 
   当然、用意してきたが。
 
   汗をかく、という意味だろうか。
 
   まぁ、いずれわかることだ。
 
   気にしないようにしよう。
 
彩  「では、行きましょうか」
 
   月代に促され、俺はドマーニを発進させた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   到着後。
 
彩  「それにしても意外でしたね」
 
祐一「ん?」
 
   感心したように言う月代。
 
   俺には何のことだかわからなかった。
 
彩  「あなたがバイクを持っていたことです」
 
祐一「ちょっと…な。憧れてた人が以ってたから俺も欲しくなったんだ」
 
   ちなみに、その人の店は『ワールウインド』という。
 
   知ってる方は名乗りを上げるように。
 
祐一「でも、その人の知り合いのはもっと凄かったな。バイクもサイドカーも殆ど特注品だったから」
 
   その人のは、『オスカーリーブルマン風スペシャルサイドカー』で、入手不可能な代物だったのだけど……
 
   どうやって入手したのか訊いてみたかった。
 
彩  「そうですか。取り敢えず、登りましょうか」
 
   そう言われてから、初めて月代の全身を観察してみる。
 
   Tシャツにジーンズ。
 
   月代にしては珍しい格好だった。
 
   何せ、今までスカートしか見たことなかったから。
 
祐一「何か、違和感あるな。その格好」
 
彩  「そうですか?」
 
祐一「あぁ。今まではいつもスカートだったからな」
 
彩  「ふふ。そうですね」
 
   どことなく、月代は楽しそうだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   そのハイキングコースは、たいした手入れもされていなくて、歩くということにおいてはかなり劣悪な環境だった。
 
   まず歩きにくい。
 
   とはいえ、かつて名雪と朝の遅刻をかけて走ったおかげでかなりの体力になっており、また、舞と一緒に繰り広げた死闘のおかげもあるのだろう。
 
   体力は十分にあるのだが、それでも疲れた。
 
   それからしばらくして、頂上が見えてくる。
 
祐一「…これは絶対にハイキングコースじゃない。詐欺だ」
 
   かなりの嫌味を込めて呟く。
 
彩  「そうですね。看板には『ハイキングコース』とあったのですが」
 
   月代の同意も得られた。
 
   そして、今から来た道を戻るのだと思うとかなり気が滅入った。
 
彩  「重要な用事でもない限りは来ないほうがいいかもしれません」
 
祐一「俺はその意見に激しく同意するよ」
 
   ………
 
   頂上から街を見下ろしてガタガタと震える俺がいた、と付け加えておこう。
 
   当然、月代に俺が高所恐怖症であることが露呈したわけだ。
 
彩  「これでおあいこですね」
 
   そう言う月代はいやに楽しそうだった。
 
   くそぅ…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
セナ「この山、ゲームでは真とひなたがタラの芽を採りに来た山です」
 
祐一「小説だと、真が鳴風さんと登って、鳴風さんが消えて、最後にみんなで来た場所だったな」
 
セナ「小説のラストではきちんと整備されてるんだよね」