Miracle tea
process06 One day
2日目の帰り道。
今日は九月堂に行く用事はない。
それと、帰り道はあゆと一緒だ。
ただ、今は校門前であゆを待っている身だが。
で、目の前には丘野と、その妹のひなたがいる。
2人いるので、今後からは丘野は真と呼ぶことにした。
その理由は言うまでもなく紛らわしいからだ。
ひなた「祐一お兄ちゃんでいい?」
祐一「萌えるけど却下。そういうことは真だけにしとけ」
真たちも人を待っているということなので、一緒に待っている。
橘と紫光院は、橘の自転車『チャリンコフェラーレ』に乗って帰っていった。
普通の自転車だと思っていたが、375回もの衝突実験にも耐えたらしい。
真偽の程はわからないが…
真 「勤もそう呼ばれているが」
祐一「やめてしまえ、そんなもの!!」
あの性格の奴にそんなこと言ったら増長するだろうに。
ひなた「え〜…祐一お兄ちゃんがいいと思うのに……」
祐一「やめれ」
軽くひなたの頭を小突く。
ひなた「うにゅ」
今…謎の言語が聞こえたような……
もう一回小突いてみる。
ひなた「うにゅ」
面白いな。
もっとやってみるか。
ひなた「うにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅ…」
祐一「はははは!面白いな、これ」
兄の目の前で何やってんだろうな、俺は。
真
「面白いのはわかるが、程々にな」
祐一「あぁ」
ひなた「うにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅうにゅ…」
結局、このひなた遊びは、あゆと真の待ち人が来るまで続いた。
鳴風 みなも。
真の幼馴染。
学校はあゆと同じで、俺たちと同じ3年。
美人で、気さくで、男女問わずに人気がある。
藤宮 望。
真の友人の一人。
こちらも学校はあゆと同じだが、学年は俺たちよりも1つ下で、2年。
170センチくらいの長身で、何かスポーツをやっているように見える。
藤宮 わかば。
真の友人の一人で、望の妹らしい。
くどいようだが、学校はあゆと同じで、学年は2年。
一つ一つが丁寧な仕種を見ていると佐祐理さんや天野を思い出す。
で、何でこういう紹介をしたのかと言うと、この3人と、丘野兄妹、そして俺とあゆで行動しているからである。
行き先は教えてもらえなかった。
何でも、教えるとつまらない、とか。
まぁ、そういうことはあるだろう。
ふと、足元を歩く猫が目に入った。
祐一「フォルテ…お前、何でここにいるんだ?」
俺はフォルテを抱き上げた。
そして、九月堂のほうを向いて、
祐一「ほら、帰りな」
フォルテ「ナー」
フォルテはいつもの鳴き声を残して消えていった。
望
「今の、相沢先輩の猫なんですか?」
真 「彩ちゃんの猫」
後ろで真と望が仲良さそうに話をしている。
鳴風が少し悲しそうな顔でそれを見ていた。
わかば「ここですわ」
わかばが1つの建物の前で立ち止まった。
掲げられた看板には、『One day』と記されている。
あゆ「喫茶店?」
ひなた「うん!そうなんだよ!でね、ここもがぁ!!」
ひなたが何か言おうとしたが、わかばが強引に口を押さえた。
余談だが、一緒に鼻も押さえてしまっている。
死ぬぞ…
わかば「少々、待っていてくださいな」
そう言い残して、わかばは望を連れて店内に入っていった。
みなも「…はぁ」
鳴風が溜息をついていた。
真は多少気にしてはいたが、行動に移したりはしていなかった。
そして、今更のように、自己紹介以外で言葉を交わしていないことに気付く。
けど、俺はそれを気にするでもなく、壁に背を預けて待ち続けた。
セナ 「ではでは、次回は…」
空 「このノリは定着したんだ」
セナ
「何と祐一に隠し子疑惑浮上!!」
空 「嘘!?」
セナ 「母親は真祖の姫君!!」
空 「嘘予告は止めようよ…」