Miracle tea
 
process05 一回目の判定
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   放課後。
 
   俺は迷わず九月堂へ向かった。
 
   そこにいるであろう、月代に会うために。
 
   会って、飲んでもらうんだ、と妙に張り切ってる俺がいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   九月堂店内。
 
   やはり、彼女の姿は見えない。
 
祐一「少し待つか」
 
   昨日見なかったものを見てみる。
 
   淡い色の石や、用途不明のもの、古文書、新書などありとあらゆるものが置かれていた。
 
   商品は多種多様で、見ていて飽きなかった。
 
彩  「来ていたんですか…」
 
   聞こえてきた声に、その声の方向を見た。
 
祐一「ああ。昨日作ったものの中で最高の出来を誇るものを持ってきたぞ」
 
   魔法瓶を取り出してみせる。
 
彩  「そうですか……でも、どうせなら新しく淹れ直してもらえませんか?」
 
祐一「いいのか?」
 
彩  「えぇ」
 
   じゃ、遠慮なく…
 
   ということなので、月代に続いて店の奥へと入った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   で、完成後。
 
祐一「できたけど、飲んでもらっていいかな」
 
   お茶を湯飲みに注ぎ、座っている月代の前に置いた。
 
   俺は急須を持って、彼女の前に座った。
 
   彼女がお茶を口に含む。
 
彩  「これを本当に一晩で作ったんですか?」
 
   驚いたような声で月代は言った。
 
彩  「おいしいですよ。ですが、まだ改善点はあります」
 
祐一「…つまり、完璧とは言えない、ということか」
 
彩  「そうですね。ですが、落胆はしないでください。
   これなら、すぐに私に完璧だと言わせられますよ」
 
祐一「ありがとう。
    なら、また来てもいいかな?」
 
彩  「いいですよ」
 
   素っ気ない返事だったけど、刺は感じられない。
 
   そんな小さなことですら嬉しかった。
 
祐一「まだ飲む?」
 
   急須をちらりと見ながら言う。
 
彩  「そうですね。いただきましょうか」
 
   月代が空になった湯飲みを差し出した。
 
   俺はそこにお茶を注ぐ。
 
   そして、彼女が一口、口に含んだ。
 
彩  「あなたも飲んだらどうですか?」
 
   あまり抑揚のない口調。
 
   でも、嬉しい言葉。
 
祐一「ありがとう」
 
   微笑を浮かべ、お礼を言う。
 
   魔法瓶のふたを開け、そこにお茶を注ごうとしたら、止められた。
 
祐一「…何?」
 
彩  「湯飲み…使ってもいいですよ」
 
   月代は俺の後ろ、小さな食器棚に視線を向けた。
 
   出せ…ということか。
 
   俺は立ち上がって、食器棚を見る。
 
祐一「どれかな?」
 
彩  「湯飲みの形をしていればなんでもいいですよ」
 
   そう言われて、1つ適当に取り、また座る。
 
   そこに月代がお茶を注いだ。
 
   俺はそれを喜んで受け取った。
 
??「ナー」
 
   俺の頭の上に小さな猫が乗った。
 
彩  「フォルテ!」
 
フォルテ「ナーナー」
 
   月代は折れの頭上の猫の名を呼んだ。
 
   当の猫…フォルテは人の頭の上で猫にあるまじき声で鳴いている。
 
祐一「こいつ、結構可愛いな。
    っと、それよりも、自己紹介してもいいかな?
    俺は君のことを人から紹介してもらって知ってるけど……君にはこれからもお世話になると思うから、名前を覚えてて欲しいんだ」
 
   俺は湯飲みから手を離した。
 
祐一「俺の名前は相沢祐一。そして、君は月代彩。
     よろしく、これからしばらくはお茶を飲んでもらうよ」
 
彩  「少し、酷なことを言っているような気もしますが、気にしません。
     では、相沢さん、よろしくお願いします」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
セナ 「さてさて次回は祐一とあゆの下校中のお話」
 
真  「…ノリが違う」
 
セナ 「2人が新しい国を開拓」
 
真  「どこの国だ?」
 
セナ 「さぁ、この猟奇殺人の結末はいかに!!」
 
真  「いつどこで起きた!?」