Miracle tea
process 03 丘野 真
今日から俺とあゆは学校へ行く。
あゆは1年だけど。
高校生活を楽しんで欲しいというのもあるけど、学力と経歴に問題があるというのが一番の理由だった。
で、俺とあゆは学校まで別れた。
別れたと言っても、同じ敷地内に2つの高校が肩を寄せ合いながら建っているので、同じ学校だと言っても過言ではない。
母曰く、
冬香『やっぱり女の子には可愛い服を着せたいじゃない』
とのこと。
まぁ、シスタータイプの制服が可愛いというのは確かだけど。
あゆ「歩いていけるね」
祐一「まあな。
しかし、路電に乗って登校ってのもやってみたかったな」
この街はいろんな意味で変な街だ。
まるで絵本の世界のような、石畳や時計塔。
人々の生活の主軸となる路面電車。
並びあう2つの高校。
そして…
祐一「…ちから、か……」
この街の多くの人間が持っている、まるで、魔法のような力。
それはほんの小さな、どうでもいいような力だけど、他人にはできないことを可能とする能力。
あゆ「少し、羨ましいけどボク達には縁のない話だよ」
祐一「そうだな」
俺達はこの街の住人じゃないしな。
それに、なくてもいい力だ。
それなら、なくてもいい。
職員室に入って、何故か担任になる教師に小言を言われた。
担任「まったく…転校してくるならさっさとせんか。9月も数日終わってるんだぞ!」
祐一「はぁ」
俺はまともに聞いていない。
ただ、理不尽な物言いだとは感じているが。
担任「聞いとるのか!!」
祐一「聞いてません」
担任「……!!」
あ、怒ってる。
祐一「言ってることに意味がないんですよ。
こっちは親の帰国を待つ必要があったのですから、無理を言わないでください」
思うこと全てを言い放ち、担任を黙らせた。
祐一「取り敢えず、教室に連れて行ってもらえませんか」
俺よりも背の低い担任の禿頭を見下ろしながら言った。
本当…むかつく男だ。
さて、教室に着いたわけだが、黒板に名前を書くということはしない。
挨拶をして終わる。
祐一「相沢祐一です。こんな時期に、ということですがよろしくお願いします」
そう言って、1つだけある空席に向かう。
そこに行け、と言われたわけではないが、空席がそこしかない以上、そこに行くのが正解だからだ。
??「おい」
前の奴が振り向いてきた。
??「今日の担任、えらく機嫌が悪いが、何かあったのか?」
祐一「別に。ただ本当のことを言ったらああなっただけだ」
??「あの担任、短気だからな…」
担任がこっちを睨んできたところで、慌てて前を向かせる。
短気だというのは本当のようだな。
面倒は嫌だからな、何もない振りをしておこう。
??「ふぅー…危なかった……」
SHRが終わって、前の奴が机にへたり込んだ。
そこに、眼鏡の女の子と、少し変な男が集まってくる。
正確には、そいつを中心とした俺の周囲だが。
??「こっちの紹介はまだだったな。俺は丘野真だ」
そう言って、前の奴は小さく笑みを浮かべた。
何となく、好感が持てた。
??「なら、私も紹介しておくわ。
私は紫光院霞」
??「なら、わいもやな。
わいは橘勤。生まれも育ちもここ、風音やさかい。そこんとこ、間違わんようにな、頼むで」
ならその関西弁をどこで覚えた、と口に出しそうになる。
だけど、声を出さないようにしないとな。
絶対に、答えてくれそうにないから。
しかし、それ以上に気になっているのは丘野だった。
今の彼が何を考えているか……おそらく、誰もわからないだろう。
何かを疑い、何かを心配している。
俺にはそう見えていた。
セナ「ようやく風キャラが名前付で登場」
真 「だからって俺に交代か」
セナ「今回は彼女の登場はないよ」
真 「そうか」
セナ「一個ね、使いどころに困ってるネタがあるんだ」
真 「何だ?」
セナ「チャリンコフェラーレが375回の衝突実験に耐えたって話」
真 「あぁ、勤の話か」
セナ「そうなんだけどね、本編にあったものそのものだからね…」