ショートショート劇場 前髪 おねえあかのだかーぽなど


前髪 相沢祐一編


「なあ、相沢………」

「どうした、北川?」

 北川が前に身を乗り出す。

「お前って、どうして前髪で目を隠してるんだ?」

 祐一が少し考え込んで、

「わからない。私、三人目だから」

「誰が綾波やれといった」

 

 

 

 

前髪 折原浩平編


「なあ、浩平」

「どした? 沢口?」

「南だ!!」

 沢口は怒鳴りながらも浩平の側に寄る。

「まあまあ、急にどうした沢口よ?」

「もういい………それよりどうしてお前前髪で目を隠すんだ?」

 少し考え込んで浩平が口を開く。

「これが解放されると強力な新武装がどんどん増えるんだ」

「ラーゼフォンかよ! 真理の目かよ! バイザーじゃないのかよ! 今時三村式三段ツッコミかよ!」

 

 

 

 

前髪 朝倉純一編


「なあ、朝倉?」

「どうした、工藤?」

 目の前に立つ工藤。

「お前って、どうして前髪で目を隠すんだ?」

 数秒の沈黙の後、手を叩く純一。

「これが上がった状態がバイザーオープン形態。今は電力が足りないからバイザーが下りてるんだ」

「誰が電童だよ」

 

 

 

 

前髪 国崎往人編


「ねえねえ、往人さん?」

「どうした、観鈴」

「うーんと、どうして往人さんは祐一さんとかと違って前髪を上げてるの?」

 迷いもなく、空を見つめながら、

「それはな、俺が空の戦士だからだ」

「がお………なんでいきなりピッツァなの?」

 

 

 


前髪 七代祟偏


「ねえ、たたる?」

「どした? つばさ」

「どうして前髪で目を隠すの?」

 しばし熟考、そして、

「貞子を目指している」

「男が貞子を目指してどうするのよ………」

 

 

 

 

前髪 岡崎朋也編


「なあ岡崎」

「どうした、俺に話しかける時は語尾にそれと便座カバーをつけろ」

「それ前やりましたから! そうじゃなくて、なんで他の主人公みたいに前髪で目を隠してないんだ?」

 深いため息をつきつつ、けだるそうに、

「お前に一つ、シンプルな答えだ」

「はい?」

「春原はいるかぁ!!」

 突然乱入してくるラグビー部。

「ひぃ!!」

「隠すとラグビー部が寄ってこなくなる」

「それっていいことなんじゃないんですかねぇ!?」

「困る。お前で遊ぶのに困る」

「僕っておもちゃですか!?」

「そうだぞ春原ぁ………」

 腕を捕まれ、悲鳴を上げながら引きずられていく春原を尻目に、朋也はゆっくりと幻想に身をゆだねた。

 

 

 

 

前髪 当真大河編

「なあ大河」

「どうした、セル?」

「どうしてお前って前髪で目を隠すんだ?」

 軽く遠い目をして、

「コンシューマーになったら公開しようと思って」

「わけわかんねぇよ」

 

 

前髪 桜井舞人編

「なあ、舞人」

「なんだね、我が親友よ」

「キモイから止めろ。それはそうとなんで前髪で目を隠すんだ?」

「それはな………」

 一気に真剣な空気になる。

「俺みたいなのを呼び寄せないためだ」

「お前が三人もいたら世界破滅するぞ………」

「とりあえずは帰りに蜂蜜キュウリクレープでも食べていこうではないか?」

「普通にメロン頼めよ」

 

 

 

前髪 片瀬健二編

「ねえ、お兄ちゃん」

「どうした、マイシスター」

「どうして前髪切らないの?」

 読んでいた本を閉じて一言。

「このほうがいろいろ出来るんだ。特に気にするな」

 そう言いつつ、健二が雪希に紙袋を渡す。

「これは?」

「雪希、今晩はナースな」

 片瀬家に絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

前髪 友坂健次編

「ねえ、健ちゃん?」

「どうした、七海?」

「うんとね、どうして前髪切らないの?」

「ここの辺りで床屋を見た事無いから。そういえばお前ってどこで髪切ったりしてるんだ?」

「んとね、電車で町に行ったらあるんだって」

「いや、町ってどこだよ」

「う〜ん………」

 七海は軽く考え込んだ後、

「んとね、電車で町に行ったらあるんだって」

「つまり、町に行けばあるが、七海は場所を知らないので各務さんに切って貰ってるわけだな?」

「Yes I do」

「うわ! 無駄に流暢な発音!?」

 

 

 

 

前髪 桜内義之編


「なあ、義之」

「んあ? なんだ、渉」

「お前、なんで髪の毛で目を隠すんだ?」

 一瞬とまどうようにした後、

「ああ、実は『あ〜! 弟くんみっけ!!』…ん?」

 突然、教室のドアが開き、音姫が入ってくる。

「今日はちょーーーーっとつきあってね〜〜〜〜〜〜〜!!」

 反論の余地無く引きずられる義之を、渉はただ見つめる事しかできなかった。

 そして、義之の机にはメモが一枚残っていた。

『それは、目を見た瞬間に、お前の飼っている金魚に残酷な運命が襲いかかるからだ。
 もう目を合わせてしまったがな、なんてね                        義之』

 そのときの渉は、冗談かと安心して去っていった。

 しかし、その数日後、渉のペットである金魚の金子がバブル死するという痛ましい事件が発生するのだった。

 

 

 そんなこんなで、世界はきわめて平和だった。

 

 

 

END?

 

 

 

はい、久々の短編いかがでしたでしょうか。

駄文書きの森部です。

こんな感じで日々思った事をつらつらネタに出来たらいいなと願っている今日この頃だったり。