水平線から朝日が顔を出す
 
 
 
 
 
おそらく今日もいい天気になりそうだ。
 
 
 
 
 
渡 優華は
牛乳片手に海を眺めていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
           Kanon大走査線
                       〜相沢祐一を確保せよ!〜
                                             6回目
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
頭がボーっとする
 
 
 
まぁ・・・昨日あんな事があったし・・・・
改めて考えると結構やばいことしてたかも・・・・
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・・・・・恥ずかしい・・・・
 
あーまた顔が熱くなってきた・・・
 
 
現在俺の頭の中は昨日の夜の出来事が映画の様に上映されている
 
ちょうど今19回目の上映が終わった所だ。
 
 
 
俺は自分の唇を触る
あの感触・・・今でも覚えてる
あの柔らかさ・・・あれが優華さんの・・・・・
 
 
 
 
「何が柔らかいって?」
 
 
 
 
 
 
「うわっ!!」
 
 
 
 
横にはパジャマにエプロンを掛けた優華さんが立っていた。
 
 
 
 
 
萌え。
 
 
 
 
寝起きなのか少し髪に寝癖がついているのも尚良し
 
 
 
「ねぇ・・・祐一・・何が柔らかいの?」
 
俺が悶えているうちに優華さんが近寄ってくる
 
「教えてよ・・ゆ・う・い・ち♪」
 
 
 
ぐはっ!!?
俺の理性にクリティカルヒット
 
 
 
「わかりました・・・・」
 
「わくわく」
 
「えっと・・・その・・・昨日のよ・・・もが!?」
 
優華さんの手が俺の口を塞ぐ
よく見ると顔が紅い
 
「祐一・・・・言わないで・・恥ずかしいから・・・
少し小声になる
 
 
やっぱり萌え
 
 
普段と違うギャップに萌え
とにかく萌え
 
 
ぢりりりりりりり
 
 
ベット脇に置いてある目覚まし時計が鳴り響く
時間は9時
 
あと1時間で店の開店時間となる
 
 
「優華さん!そろそろ時間が」
「そうだね・・・じゃあ準備を始めようか・・・・そうそう朝ご飯は向こうの部屋に置いてあるから」
そう言いつつ優華さんは俺の部屋を出ていく
 
 
「さて着替えますか・・・」
 
 
俺は上着に手を掛け・・・
 
 
 
 
 
 
「あーそうだったそうだった忘れてたことがあったんだ」
 
 
優華さんが部屋に入ってくる
ちなみに俺の手は上着に手を掛けたまま
 
「・・・・・・あの優華さん?」
 
「何?」
 
「着替えるので用事が無いなら・・・」
 
「ん?・・用事ならあるよ・・ちょっと忘れてたことがあってね」
 
「忘れてたこと?」
 
「そう」
 
「何ですかそれ?」
 
「それはね・・・」
 
 
 
ちゅ・・・
 
 
 
不意打ちのキス
 
 
 
右頬に優華さんは軽くキスをする
 
 
「忘れてたことは おはようのキス♪」
優華さんは人差し指を口に当て笑いながら言った。
 
「じゃあ・・・早く着替えてお店に来てね」
 
 
 
ぱたん
 
扉の閉まる音
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
はっ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうやら思考がフリーズしたようだ
 
まさかあそこで来るとは思いもしなかった・・・
 
やはり優華さんは萌えだ
 
 
 
 
って・・・・とりあえず着替えて早く優華さんを手伝いに行かないと
 
 
 
 
「さて!・・・今日も一日・・バイトを頑張りますか!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
少し時間を遡るとしよう
 
 
 
 
 
 
午後4時百花屋にて
 
 
 
三人の修羅が己の好物を怒濤の勢いで食していた
 
店内を見渡す限り他にお客は居ない
おそらく・・・というか絶対この三人の修羅の所為で間違いは無いだろう。
 
 
 
「ねぇ・・・三人共もうやめたら?」
ウェーブかかった髪を持つ女性
美坂香里は何杯目かも解らない紅茶を飲みながら言った
 
「「いや」」
 
どうやら三人はシンクロ率100%に近いようだ
 
さて此処で三人の修羅をご紹介しよう。
 
 
一人目は
相沢祐一の従姉妹でありイチゴ大好き少女の
水瀬名雪
 
二人目は
美坂香里の妹でありバニラ魔神の
美坂栞
 
そして三人目は
牛丼を掻き込んでいる自称元魔物ハンターの
川澄 舞
 
の三人である
 
 
ちなみに彼女達は午後の1時からここに居座っている
店員さんにもいい迷惑だ
 
「ちょっと倉田先輩からも何か言ってやってくださいよ・・・」
 
「さすがに佐祐理にもこうなった舞を止める自信はちょっと・・・・」
 
あははー・・・な感じで笑いが引きつっているのは
川澄 舞の親友の倉田 佐祐理
 
 
 
香里はとりあえず紅茶を一口飲む
 
 
 
(ふぅ・・・・相沢君・・・どこにいるか解らないけどあなたって毎日こんな事をしてたの?・・
 これじゃあ・・・あゆちゃん達じゃ押さえきれないのも解る気がするわね・・・)
 
 
ちなみにあゆ達は香里が帰らせた
このまま居ても役に立たないと思ったからだ。
 
 
(どうしようかしら・・・)
 
 
 
からんからーん・・・・
 
 
 
ベルが鳴る
どうやらお客が来たようだ
 
 
 
 
(ん?・・・・あの人は・・・もしかして)
 
 
「北川君!」
「あれ?美坂達じゃないかどうしたんだこんなところで?」
 
北川が香里の横に座る
 
「北川さん」
「あっ・・・倉田先輩この前はどうもありがとうございました」
「いえいえ・・・ずいぶんと助かりましたよ・・・またお願いしますね?」
「ええ」
 
北川と佐祐理が訳のわからない会話をする
 
「ねぇ・・・北川君何の話?」
 
「ん?・・・この前倉田先輩にバイトを紹介してもらったんだ」
 
「ふ〜ん・・・」
 
「それより・・美坂・・・これはどういうことだ?」
北川が修羅三人衆を指さす
 
「相沢君よ・・・栞も名雪も川澄先輩も相沢君が居ないからやけ食いしてるのよ」
「そうなんですよ〜・・」
辛そうな香里に対し
佐祐理は全然そうは見えない
 
 
「そう言えば相沢なら見かけたぞ?」
「え!?・・・一体何処で!?」
「どこでって・・・それは・・うおっ!!?」
 
 
北川の服の襟を掴み
何かが引き寄せる
 
 
「北川君・・・祐一は何処に居るんだお〜」
「北川さん・・・祐一さんは何処ですか!!」
 
いつの間にか修羅が北川を捕まえていた
 
「ち・・ちょ・・ちょっと・・」
 
「言い訳は良いからさっさとはくんだお〜」
「そうです!!早く言ってください!」
 
目が血走っている
 
「名雪・・栞・・・ちょっと待って・・」
 
横から
牛丼を食べ終えたのか舞が言う
口元に幾つかご飯粒が付いているのはご愛敬だ
 
「川澄先輩・・ありがとうござい・・・」
ちゃき・・・・
北川の首元に佐祐理が食べていたケーキのフォークを当てる
 
「北川・・・さっさと祐一の居場所を教えて・・・でないと・・・」
「わかった!・・・言う!・・言いますから!!」
三人衆の動きが ピタっ!! っと、止まる
 
「相沢はこっから電車で30分でいける海岸の浜茶屋でバイトしてたんだよ・・・」
 
これを聞いてからの三人衆の動きは凄かった。
 
まず・・・
どこから取り出したのか
ロープで北川を捕縛
のちにガムテープを口に貼る
そして
「むーーー!!むむ!!(おい!離せよ!!)」
北川を背負って三人衆は百花屋を風の如く去っていった・・・・
 
 
 
「・・・・・・大丈夫でしょうかね〜?祐一さん・・・」
「・・・・・まず間違いなく無理ですね・・・五体満足で帰れればいいけど・・・」
 
残された佐祐理と香里は
ただ祈るしかなかった・・・・
 
 
 
 
 

 
 
 
 
俺は手早く着替えた後
すぐ調理場にいる優華さんの所に行った。
 
「お待たせしました!」
「ん・・・じゃあ・・・準備するように」
 
優華さんは外に行ったおそらく
店の暖簾をだしに行ったり、店先を掃除するのだろう
 
俺は調理器具や調味料の点検を始めた。
 
 
 
 
「これから・・忙しくなるな・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
太陽が空の頂に登る頃
 
俺が働いている浜茶屋はちょうど昼のピークを迎えていた。
 
 
 
「祐一!!三番テーブルに焼きそば 2!」
「はい!」
 
「すいません!・・ラーメン3つ!!」
「はいただいま!」
 
俺はよく働いてるな・・・自分でもそう思う
でも優華さんは俺の2倍以上働いている・・・凄い
 
 
いくらか客の相手をしていると
 
やがて・・・昼最後の客が店を出ていった。
 
 
 
 
 
 
「ふぅー・・・とりあえず午後は終わりか・・・」
俺は額から吹き出す汗を袖口で拭きながら
椅子に座る
 
 
「はい、お疲れさま」
ぴと
頬に冷たいモノが当たる
 
「あっ・・ありがとうございます・・・」
振り向いてみれば
優華さんが良く冷えた缶ジュースを俺の頬に当てていた
 
「ぷはぁーー!!」
 
缶ジュースを開け一気に飲みほす
うまい・・・暑い時は冷たい飲み物に限るね
 
「凄いね・・・もう飲んだの?」
「はい、美味かったです」
「そんなにおいしかったの?」
「ええ・・なにせ優華さんの愛が詰まってますから」
 
優華さんの顔が次第に紅く染まっていく
おもしろいなぁ・・・
 
「別に・・そこの自販機で買ってきただけだよ・・」
「それでも優華さんが俺のために買ってくれたんですから・・・」
 
 
「・・・・・・・・」
 
優華さんから言葉が出なくなった
 
「もう・・・・生意気言う口はこうやって塞いでやる!」
 
ドン!
 
優華さんが俺にのし掛かって
俺は優華さんに押し倒される形になった
 
 
優華さんの表情が変わった
顔が紅いのが解る
 
 
「優華さん・・・人が来ますよ?」
「心配なし・・さっき準備中の札掛けてきたから」
「じゃあ・・・大丈夫ですね・・・」
 
優華さんの唇がゆっくりと降りてくる
 
そして・・・・
 
 
「ん・・・・・・・・・・・」
 
 
俺は優華さんの長い髪を撫でながら
甘いキスを交わす
 
 
 
でも今度のキスは
 
 
 
 
 
少し・・・・さっき飲んだ缶ジュースの味がした。
 
 
 
この時が何時までも続けばいいのに・・・
俺はそう思う
 
 
だが・・・・神様は少し意地悪らしい
 
 
 
がら!!
 
 
店の扉が急に開かれる
 
そこには
 
 
俺と優華さんのキスを見てたからなのか
もの凄く怒っている
水瀬名雪
美坂 栞
川澄 舞
 
名付けて修羅三人衆がボロボロな北川を背負い・・・・・・・
 
立っていた。
 
 
 
 
 
 
これからどうなるんだろう俺?
 
 
 
 
 
 
 
続く
 
 

後書き
 
 
 
えー最近このSSがギャグなのかほのラブなのかよくわからなくなりました。
 
あれですね・・・ほのラブというのは書いていると自分が恥ずかしくなってきます
 
それはそれとして
渡 優華さん
最初とまったく別人ですね・・・
 
私が最初書いている時は
頼れる姉御肌的な人だったのが
今では
姉御肌だけど祐一と二人きりの時は猫の様に甘える人
みたくなりました・・・
 
 
 
しかも今回は特に長いですね・・・
 
 
それでは次回で