――― 我は太陽の剣……… ―――
頭の中に響くような声。
――― トーテムに導かれし者よ、汝は我が力を欲するか? ―――
その声に答えるように、
「俺は、力(金)を欲する」
声を上げた。
「………何だか別な意味に聞こえたような………」
スケイルの言葉を意図して無視し、出方をうかがう。
――― ならば、我を持つにふさわしき力を示すのだ ―――
その瞬間、剣から炎が吹き荒れ、炎を纏った鳥になる。
「敵の方が遙かに強そうです、朝倉様! 現状で戦うのは無理なんじゃないですか!?」
「そんな事、百も承知だ!!!」
スケイルが祈りの短剣を構え、純一が杖を水平に構える。
ここに、戦いが開始された。
シルフェイド幻想譚 回顧録 ~二冊目入りました~
三日目後編 そして………
「囮よろしく!!」
そう言うや否やいきなりバックステップで後ろに下がる純一。
「簡単に言ってくれますね!」
スケイルが短剣を媒介に雷を呼び出す。
「雷光!!」
雷を浴びた炎の鳥は一瞬怯む物の、悠然と突撃してくる。
それをステップで何とか避ける。
しかし、纏っている炎までは避ける事は出来ず、炎に巻かれる。
「降ってください! 雨癒!!」
間髪入れずに降り注ぐ癒しの水。
炎が消え去る。
「雷光!!」
再び雷を撃ち出す。
しかし目標は地面。
強烈な電気が床を抉り、土煙が舞う。
だが、雨癒の後なので数秒で消えてしまう。
「キシャアアアアァァァァ!!!!!!」
「………もう良いですよね?」
「ああ、十分だ」
突撃する炎の鳥を避けるスケイル。
直線上には純一がいた。
「さあて………これで吹っ飛べ!!! 崩れない程度に30%だ!!」
杖から放たれる暴力的な風。
空気が一瞬にして圧力に代わり、全てをなぎ払う。
地下の施設のため、威力は抑え気味である。
しかしそれでも甲高い叫びを上げ、守護者が倒れ伏した。
――― いいだろう、認めよう、その力……… ―――
炎の鳥が消え失せ、声が響く。
――― 汝こそ我を手にするにふさわしい者……… ―――
――― さあ、我を手に取るがいい……… ―――
そして、一本の剣がその場に刺さった。
「………今度から屋内で衝撃使う時気を付けないと………」
その場にへたり込む純一だった。
「これが、太陽の剣………」
「意外と軽いですね。力のない私でも振れそうです」
剣を手に取る。
刃や柄がぼろぼろになっている。
「この剣、少々損傷が激しいですね………あと数十回切れるかどうか怪しいところです………」
「ここぞという時に………あれ?」
持ってきた鞘に差し、布でくるんで鞄にしまう。
「さて、これで後は明日届けるだけだ」
「やっぱり売るんですか………」
「当たり前だ! 誰が2万シルバなんて大金引き合いに出されて断れるか?」
「それでも伝説の剣ですし………」
あのな、と前置きをして純一が、
「俺は理力使いだ。剣なんか振れるか」
と言って地上への階段を踏み出した。
地上に出るとうきうき顔の爺さんが
「おお、全ての試練を超えたのじゃな! では、これを持って行くが良い!」
そう言って、純一に一枚の板を渡す。
板には太陽と思われるマークが彫り込まれていた。
「ふう、これでワシの役目もやっと終わる………おぬしが何のためにここに来たかは知らぬが頑張ってくれ、応援しとるぞ」
「ありがと、爺さん」
「もしワシが死ぬまでここに誰も来んかったらワシの生きてる意味が無かったのう………もう少しで死にそうだったが」
「すまんすまん、つい出力上げすぎて………な」
がっはっはと笑い飛ばす爺さんと一緒に純一も笑っていた。
「ふぅ………疲れた………………」
ソファに倒れ込む純一。
シイルに着いた頃には日が変わる寸前だった。
「確かに、疲れましたね……………」
櫛で髪をとくスケイル。
「………明日も忙しいぞ?」
「承知の上です、朝倉様」
ランプの火を消す。
それだけで部屋の中は暗闇と静寂に包まれた。
見えるのは月明かりだけだった。
「おやすみなさいませ、朝倉様」
「おやすみ、スケイル」
時は、静かに、平穏に流れていった。
「………うふふふふふふふ」
これが原因でやはり朝方に叫びを上げる事になるが、そこはお約束。
やはり平穏は存在しないかもしれない。
続く
はい、短編ばっかりにかまけていてなかなか書かなかったシル幻です。
ようやく太陽の剣の守護者を倒せましたよ。
いや、実際にスケイルが援護している時に3ターンぐらいずっと集中してたんですが、
ダメージが6000超えました。(カンストは9999)
びっくりしましたね。恐るべし純一。
まあ、よく考えたら過去のデータ、ラスボスでカンストってことがありましたからそう驚く事でもないんですけどね。
では、次回の幕間でお会い致しましょう。
………ネタが、ない………………(ピンチ