「何々? 『ここは理力を封じし洞窟、剣の力持たぬ者立ち入るべからず』………面白い」

「ってなんでこんな所にいきなり入ってるんですか!?」

 鍵屋から出て、お金を稼ぐために純一はアル名案を思いつき、

「それから道に迷ってここにたどり着いた次第だが?」

 そのあまりにも馬鹿げた発言にスケイルは頭を抱えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルフェイド幻想譚 回顧録 〜二冊目入りました〜

三日目中編 太陽の神殿と純一の行動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、封印の鍵が手に入ったわけだが」

「………ちょっとはしょりすぎじゃないですか?」

 手の内で鍵を回しながら大丈夫だと言い張る。

 現在は封印の洞窟を抜けてシイルの宿屋にいる。

「でも、これからどうするんですか? 鍵屋の話も解決していませんし………」

 純一が一枚のポスターを掲げる。

「えーっと、太陽の剣を持ってきた者に二万シルバを与える………? まさか………!?」

「そう、売り払う。当座の資金では厳しいからな」

 もう、ただ唖然とするしかない。

 リクレールの剣を売り飛ばすというのである。

「そんなことして良いんですか!? あの剣は500年前の魔王を」

「それでも俺は理力使いだから無意味だ。だったら有益に使うまでだ。それに俺には母なる海の杖がある」

 ベットに立てかけてある杖が蒼く光を放つ。

「………言っても聞かないでしょうから、今後の動きはどうするんですか………………?」

 それなんだが、と言って地図を広げる。

 シイルに宿を取る前に図書館で調べられるだけの情報を調べた。

「調べてきた内容を統合するとこの辺りだ。今から下って神殿行って速攻でもぎ取って買えれば問題なし」

 指で進路を辿り、往復する。

 あらかじめ距離ごとにしておいた歩きでの時間計算表を元に時間を割り出す。

「結構ぎりぎりですね…………それで、引き渡しはどうするんですか?」

 地図をたたみ、完全に準備を済ませる純一。

「それは明日だ。今日中に引き渡すのは無理」

 そう笑い、太陽の神殿を目指す事にした。

 

 


 完全に明かりが落ちた神殿を見つけ、中に入る。

 鍵のかかった扉を開けると、

「こんなへんぴな神殿によくぞ参られた………」

「………あんたは?」

 そこには年老いた老人が一人、犬と共にいた。

「む、もしやそなたはトーテムを宿しているのでは!?」

「人の話を聞け」

「えーっと、トーテムと言っても、今は身体がありますけど………」

 その言葉を聞いたか聞いていないのか、老人は天井に仰ぎ、

「なんと、ワシが長い間ここを守ってきたかいがあったという物じゃ………実は、実はな………ここには太陽の剣が安置されているんじゃよ!」

「いや、知ってるし。というか資料に書いてあったし」

 情報集めの時にも何度か話を聞いた。

 魔王に唯一立ち向かえる武器らしいが、理力使いの祐一には関係なかった。

「私たちの目的知ったら即倒しますね」

「トーテムを宿した者だけに持つことが許される伝説の剣………今こそそれが解き放たれる時なのじゃ!!」

 老人のバックに荒波が見えた気がした。

「さあ、そこの青いタイルの下に行け! そして試練を受けるのじゃ!! 
 知恵と力、両方で認められて初めて太陽の剣を持つべき資格を認められるんじゃ!
 さあ早くぜぇぜぇハァハァ!!」

 ハイテンションを通り越してハッスルする老人。

「ちょ、ちょっと興奮しすぎですよおじいさん!!」

「お、おお、いかんいかん危なかった」

 タイルの近くに行くと、タイルが勝手にずれて下にあった階段への道を開く。

「ああ、そうじゃ、他に渡す物があるから取り終わったらワシに一言言っておくれ」

「おう、期待して待ってろよ爺さん!」

 威勢良く、階段を下りていった。

 

 

『全てを太陽の色に染めよ。さすれば扉は開かれん』

 頭の中に響く声を聞き、床にある九枚のタイルを見る。

「なるほど………」

 手早く考え、足をタイルに乗せてタイルの色を変更する。

「ほいほいの………ほいと」

 程なくして全てのタイルが揃い、扉が開かれる。

「朝倉様ならこの程度の関門は序の口ですよね?」

「モチのロンだ。この程度で止められると思ったら大間違いだ太陽の剣!」

 そう言って二つ目の部屋にさしかかる。

 そこには先ほどの部屋以上に複雑なパズルが置かれていた。

「………複雑だな」

 文句を言いながらも作業に取りかかる純一であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 簡単な金属音と共に鍵が開く扉。

「お、おわったぁ……………」

 別な意味でボロボロになりながらもやり遂げた純一が立っていた。

「素晴らしいですね、流石朝倉様です」

 スケイルよ、少しは手伝ってくれても良いんじゃないかな? と思いつつ、純一は太陽の剣と面会を果たす事となった。

 

 

続く

 


さて、次回は太陽の剣の守護神との対決です!!

今回は純一君は柔軟な発想(金の亡者含む)な感じでした。

さあ、勝てるのか純一! こうご期待!