PM22:00
工藤家 食堂
………何故に、
…………何故にこんな事になったのでしょうか?
目の前に列んでいるのは兵(つわもの)どもの夢の後。
死屍累々という言葉がよく似合う。
というか、発端を思い返してみよう………
シルフェイド幻想譚 回顧録
幕間その5 大混乱の末に………
PM20:10
工藤家 食堂
「………以上が彼方の行方不明になった経緯だ」
全員がイスに腰掛けて純一の話を聞く。
話し終わると当然、室内が話し声に包まれた。
「静粛に。これは非常用に設置されている監視カメラからも確認が取れている」
スクリーンには、叶が彼方を起こそうとして消えるシーンが映っている。
「なんでこんな物があるのかは後できっちり聞くとして………みんなの持ってきた情報を知りたい」
美春とアリスが立ち上がる。
「朝倉先輩に事情を聞いてから島の西側に重点を置いて捜索をしてみましたが、見つかりませんでした」
「ここに来る前に船着き場の人に聞いたんですけど、どうやら島外に出たというわけではありません」
更に眞子が立ち上がり、
「残りの部分は私の知り合いと杉並の非公式新聞部情報網が調べ上げたけど居なかったわ」
それを繋ぐように、
「やはり、今この世界に存在しないというのが私たちの見解です」
環とななこが今後の捜索方針を打ち立てる。
「でも、別の世界なんて考えられるんですか?」
「可能性は無いとは言い切れません………ですので、今現在過去の事例などと照らし合わせています」
美咲が、
「今は胡ノ宮さんと家にある文献を探しています。ついでにインターネットを使って同じ事例が無いかも捜索中です」
「じゃあ、ことり」
「私に答えられることなら………」
純一が一瞬目を閉じ、開く。
「あの桜の木、いつ頃から咲いてた?」
ことりは唇に指を当てて考え込み、
「一週間、位前かなぁ………」
と言った。
その瞬間、
『えええええええええええええええ!!!!』
純一とことり以外が絶叫を上げた。
「ちょ、ちょっと朝倉! どういう事なのよ!?」
「美春にも分かるように説明してください!」
「私も、詳しく知りたい………」
その場の収拾に、時間が掛かったのは言うまでもない。
PM20:30
工藤家 食堂
肝心な部分をはぐらかしつつ、桜のメカニズムを説明する。
「つまり、世界中から夢を集めてそれを現実に再現する力………」
「そう考えるとピロスが喋らなくなった時期と桜が散った頃がだいたい同じですね」
アリスが頷き、萌先輩もうつむいている。
ことりは何か納得した表情でいる。
「つまりは、そういうことだ。俺が時々みんなに渡してた包装紙無しの和菓子もそれだ」
胸を張る純一を無視して、
「うん、僕のお祖母ちゃんが友達と協力して創り上げた物だよ」
いつの間にか椅子に座ってほうじ茶をすすってるさくらが言った。
『い、いつからそこに!!!!??』
「いや、みんなが深刻に話してるのに邪魔しちゃ悪いから気配とか消して入ってきた所存」
あっけらかんと言うさくらに全員が脱力した。
「お前、明日の朝着くって言ってただろ!?」
さくらのこめかみに手を当て、ひねり上げる。
俗に言ううめぼしである。
「にゃにゃにゃ!!! 痛い痛い! 実は電話受けた時韓国で仕事してたからすぐにこれたんだよ〜!!!!」
あまりに凄まじいオチにうめぼしを止める純一。
「まあ、桜の木も見てきたからだいたいのことを説明出来るよ?」
そう言って、さくらは一枚の模造紙を広げた。
「昔、お祖母ちゃんがこのシステムを創り上げた。でも、この間僕がそれを閉じた」
桜の木と人、人の上に夢を見ている絵を描き、絵から矢印で桜に繋ぎ、矢印に×印を付ける。
「そうすることによって世界自体が安定を図ろうとして試行錯誤する」
ミステリーサークルの記事やその他怪奇現象の記事を貼り付け、夢の線に繋げる。
「まあ、それもこの1年の間に衰退して行ったんだけど………ここでイレギュラーが発生」
新聞記事の線に×印を加え、大回りで桜と夢を繋ぎ直す。
「ここに誰か分からないけど介入、衰退していた線を無理矢理修正して桜に繋ぎ直す」
夢と桜を繋ぐ線に更に矢印で線を引き、片側に?と書き込む。
「この人の目的は分からないけど、とりあえず彼方ちゃんを自分の世界に引き込むためにシステムを使ったということ」
桜から新しい線を引き、間に彼方と書き込み、別世界と書き込んだ部分と繋ぐ。
「これが大まかな流れ、で、具体的な解決方法はというと………」
さくらが息を軽く吸い、
「待つしかない」
と呟いた。
続く
バルドフォースが欲しいとか考えてる受験間近な高校三年がここにいます。
というか、来週の日曜面接………(2005/10/14時点)
受験よりもこっちの方に気合いが入ってるのは問題なんでしょうか?
あ、先日知床まで行ってきました。
お土産に熊出没注意ラーメンと鹿大和煮缶というキワモノ二つを買ってきました。
結構おいしかったです。
さて、次回、どんなことが待ち受けるのか、それは誰にも分かりません(マテ
こうご期待!