場所はシイル郊外。

魔物達が通るとしたらこの道しか無い。

だから、ここで食い止めるしか手段はない。

………もうじき、明日になる。

ウリユちゃんの予言は外れない………

それは、ウリユちゃん自身の言葉で分かっている。

………だけど、

ウリユちゃんは私の未来だけは見えないって言っていた。

だったら、それを利用して未来を変えることが

出来るかもしれない。

………やってみるしかない。

どんなに相手が強かろうと、負けない。

負けられない。

今、私は戦うためにいる。

初めてだと思う。

誰かのために戦うのは。

だからこそ、負けることが出来ない。

守ってみせる、守って………

工藤 彼方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シルフェイド幻想譚 回顧録

五日目前編 シイル防衛戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 月は雲に隠れ、雨が降り注いでいた。

「この上が人間どもの村だ………」

 その中、羽が生え、額に角を生やしているトカゲが先頭に立っていた。

「闇に乗じて一人残らず殺せ」

 後ろにいるのは六匹のトカゲ兵。

「特に白い髪の娘は絶対に逃がすな。未来を見る者さえいなくなれば我等が勝ったも同然だからな………ククク」

 嫌らしい笑いを口に出し、進む。

 すると、目の前に一人の人間が立っていた。

 雷鳴が轟き、一瞬だけ光が人間を照らす。

 手には一振りの剣。

「………たった一人で何か出来るとでも思っているのか?」

 嘲るように、

「………殺せ」

 言った。

 その瞬間、再び雷が鳴り、後ろの兵が人間に向かって飛び出していった。

 

 

 

 

「カナタ! シイルを守る最初で最後のチャンスだ! ここを突破されたら後はないぞ!」

「分かってる!」

 高ぶる心を雨が冷やす。

 向かってくるトカゲ兵に剣を向ける。

 トカゲ兵の攻撃を身のひねり一つで避わし、カウンターで胴を斬る。

「一つ!」

 接近してきたトカゲ兵を上段から切り捨てる。

「二つ!」

 更にその剣をトカゲ兵の動きに合わせて横っ腹で打ち付ける。

 トカゲ兵は盾で受けたものの体勢を崩す。 

 その隙を袈裟懸けに斬る。

「三つ!」

 後ろから襲いかかってきたトカゲ兵を振り向き様に斬り、更に振り向くと同時に遠心力を付けた刃がもう一体を斬る。

「四つ、五つ!」

 その光景を見てひるんだトカゲ兵を一刀両断にする。

「六つ! ………残るはあなただけです」

 威圧を込め、宣言する。

 

 


「ほう………」

 その光景に軽く嘆息の息をつき、考える仕草をする。

「そうか、思い出したぞ。我等の砦を落としたのは貴様だな?」

「そうよ」

 その言葉を契機に、

「だがその命運もここで終わりだ………」

 彼方に接近する。

「愚かな人間ども………」

 手にはフォースの力が込められている。

「絶望と己の無力を味わいながら死ぬがいい!!!!」

 言うが速いか、手に溜めた稲妻を放つ。

 それをステップで避け、打撃を加える。

 すると、何か壁のような物に阻まれる。

「なんだ貴様らの攻撃は? その程度ならまだ蚊が刺した方がマシだぞ? クックックッ………」

「カナタ、さっき攻撃を弾いたのは魔王にしか使えん結界の力だ!
 今ので分かった! こいつは魔王そのものか、または少なくとも同等の力を持っている者だ!
 こいつにダメージを与える方法は少ない、よく聞け、カナタ!」

「どうやるの!?」

 魔王の放つ稲妻を避けつつ剣をたたき込む。

 やはり壁、結界に阻まれる。

「結界はある程度の攻撃は全て弾く、が一定以上の攻撃もしくはフォースは弾けない!」

「つまり、力を込めて切れって事でしょ! 私たちフォース使えないんだから!!」

「もっともだ!」

 彼方と魔王の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

続く

 


taiさん、萌のみの丘連続更新50日達成おめでとうございます!!

えー、魔王との対決です。

………初めてこのゲームをやった時、こいつに瞬殺された記憶があります。

悔しかったですねぇ。七、八回やり直した記憶も同時にあります。

………負けるな彼方! 次回へ続く!