夜になっての出来事でした。
〆切に余裕を持って動いた結果、今まで以上に質が良い作品が出来ました。
時間にも余裕があるので、珍しく徹夜する必要すら無かったです。
さて、最後の仕上げをしようと思った瞬間、丁度62番のトーンが切れていたので商店街へ行きました。
ついでに栄養ドリンクも安かったので、今の内に溜めておこうかと………
まあ、それは置いといて………
時間はだいたい夜七時でした。
お気に入りの服に着替え、何かあった時のためのネタ帳をポケットに入れ、家を出ました。
そして、商店街の入り口で朝倉君にぶつかりました。
話を聞くと、彼方さんが行方不明だそうです。
これはネタに………心配になったので、一緒に探すことにしました。
………まさか、あんなことになろうとは誰も予想はつきませんでした。
だって、朝倉さんの友好関係もよく分かりましたし…………
なによりも、経験しがたい出来事でしたから。
彩珠ななこの日記より抜粋
シルフェイド幻想譚 回顧録
幕間その4 てんやわんや
PM19:40
始まりの樹 視点・朝倉純一
「バカ………な………………」
そこには葉を付けている桜がある筈だった。
「なんで………!?」
目の前にあるのは、見事なまでに満開な桜。
淡く光を発している。
その様子はまるで、蛍が舞っているようにも見えた。
「あれ? 朝倉君?」
木の陰から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ことりか、めずらしいな」
「ここは私のお気に入りの場所だから………そう、お気に入りの………」
軽く、視線を樹に向け、ことりが呟く。
「それで、そんなに焦ってどうしたの? 確かにこの桜がこうなってるのは驚いたけど………」
「実は、彼方が行方不明になった」
ことりの目が真剣な物になる。
「………本当に?」
沈黙を肯定とする。
「わかった。詳しい話を聞かせて。力になりたいから」
「ありがとう。みんなとの集合時間だから行こう」
走り出す純一の後ろにことりが続いた。
PM20:00
工藤家玄関 視点・工藤叶
あれから家の中を全て探したけど居なかった。
やっぱりさくらちゃんを待つしかないのかな………
と考えていたら、なにやら外が騒がしい。
何事かと思って門の所まで行くと、朝倉君の知り合いでいっぱいだった。
視点変更・朝倉純一
それは、異様だった。
いくら自分で声を掛けたとはいえ、
ここまで人が集まるとは………
「おーい、みんな!」
一斉に全員が振り向く。
「あ、せんぱーい!!」
美春が一番に飛び込んでくる。
「そちら側はどうでした!?」
「ダメだった。美春は?」
「残念ながら、見つかりませんでした」
横にアリスが走り寄ってきて説明した。
「わたくしの方も探してみたのですが………お役に立てず……………」
何故か出会ってない環も居る。
「そうか………何故環はこの事を?」
「あたしが教えたのよ」
眞子が前に出てくる。
「感謝しなさいよ?」
「あー、ありがとう」
苦笑をもって返すと、
「私たちの家の周辺には居ませんでした〜………」
「私も知り合いを当たってみたのですが………」
萌先輩と美咲さんが頭を垂れていた。
「とりあえず、頭を上げてください二人とも」
「ちなみに俺の情報網には引っかからなかったぞ?」
いつの間にか杉並が居た。
「お前はもっと残念がれ。ミステリーとかいってるんじゃねえよ………」
正面にはその様子を懸命にメモを取っているのはななこが居た。
「………どうだ、ネタになるだろう?」
「うひゃおう! あ、ああ朝倉さん、驚かさないでくださいよ!」
もはやどこから突っ込んで良いのか分からなくなってきた。
頭を抱えていると、
「あや………お役に立てなくて申し訳ないです」
「私たちもいろいろ調べたんだけどね………みっくん?」
「うん、ともちゃん………」
杉並が呼んだと思われる和泉子とみっくんともちゃんが後ろに居た。
「あ、朝倉君………これはいったい………?」
「みんなに呼びかけて探してたらこうなった………」
その一言に、叶はため息をついた。
(呼びかけて探すのは良いのですけど、どうしてこう女性の方が多いのでしょうか………)
「どうした?」
「何でもないです、とりあえず立ち話と言うわけにもいきませんから一旦中に入りましょう」
そう言って、叶は全員の誘導を始めた。
続く
………さあ、もう収集つけられませんよ〜(ダメじゃん
大丈夫、きっとオチは付く!(希望的観測 ←それこそダメだろ