気持ちの良い朝。

 昨日はシイルまで全力を持って移動したから身体が………

 と、言いたいところだけどトーテムの力恐るべし。

 健康の頑丈。

 ………さて、ご飯食べてウリユちゃんに会いに行きましょう!

工藤 彼方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルフェイド幻想譚 回顧録

四日目前編 予知とトカゲの砦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「その声は………カナタお姉さん?」

「うん、朝早くにごめんね」

 その言葉に首を振り、

「あの、今日もお話してくれるの?」

「もちろん。そのために来たから」

 ウリユの表情が明るくなる。

「えっ、本当に? えっと、じゃあどうしよう………カナタさんから何か質問はある?」

 彼方は数秒頭を抱え、

「じゃあ、予言のお話を聞かせて?」

「予言のお話………?」

「そう」

 ウリユは数秒考え、

「じゃあ、何から言おうかな………

 えーと、私がいろいろ予知出来るようになったのは5年くらい前なんだよ。

 一緒に目も見えなくなっちゃったけど、『明日のことが全部分かる』ようになったから、あまり困らなかったの。

 明日の事って言うのは、たとえばAさんって名前の人と何時会うとか、誰かがケガしちゃうとか………

 泥棒に何か盗まれるとか、そう言うのも分かるけど、でも分かっても結果は変わらないの………

 予知で見たことは、どんなに気を付けてても、その通りになっちゃうから………

 一度、宿屋の娘さんが森で襲われて死んじゃうって予言したことがあってね、

 それで、森に入らないようにしてたのに迷った子供を追いかけて結局娘さんが森に入っちゃって………

 それで結局娘さんは帰ってこなくって………」

 ウリユの表情が曇る。

「その後、村の人にしばらく『疫病神』とか『死神』だって呼ばれちゃった………」

 その一言に、彼方の表情も曇る。

 しかし、

「あっ、でもね、しばらく経ったらみんな分かってくれて、どんな辛いことでも良いから教えてって言ってくれるようになったの。

 だから、今はどんなことでもみんなに言ってるよ」

 と、笑いかけた。

「ただ、カナタお姉さんは何時来るとかどこで何やってるとか全然予知出来ないんだけどね。

 予言のお話はだいたいこれで全部かな?」

「ありがとう、ウリユ。あと、もう一つ………どうして私のことを予言出来ないんだろう?」

 質問にウリユは、

「さっきも言ったけどね、カナタお姉さんの未来って全然見えないの。

 他の人は何時来るとか、どんな名前だとか、何するかとか、全部分かるんだけど………」

「もしかして、私が外の世界から来た人だから………?」

 ウリユは首を捻り、

「そうかもしれない………うーん、なんて言うのかな………カナタお姉さんは『運命の線』から外れているっていうか………」

「運命の線?」

 ウリユは頷き、

「こう言うと変だけどね、私たちはこれから先の予定が全て決まっているの。

 そのこれから先の予定を私は運命の線って呼んでいるんだけど………でも、カナタお姉さんには運命の線がないみたい。

 予知とか言ってるけど、ただ単に運命の線のちょっと先を見るだけの力だから………

 だから、私は運命の線が無いカナタお姉さんの予知は出来ないの」

 ちょっと変な言い方だったけど分かるかな、と笑いつつ、

「逆に言えばカナタお姉さんなら他の人の運命の線を変えられるかもしれない………のかな?

 もしかしたら、カナタお姉さんのお陰で未来が変わるってこともあるかもしれないね………」

 真剣な表情で彼方に言った。

「他に聞きたいお話とか、ある?」

「うーん、ウリユの近況?」

「近況?」

 そう、と頷き、

「私が来るまでのウリユが体験した話とか、普段の生活とか………」

「じゃあ、こないだ見た変な夢なんだけど………」

 


 それから、旅の事や日常の話など、ウリユとたわいもない会話をした。

 

 

「じゃあ、そろそろ行くね」

「あ、あのね………」

 ウリユが目を伏せる。

「あのね、今、カナタお姉さんのためにお守り作ってるの………頑張って作るから、完成したら受け取って欲しいな………」

「ええ、もちろんよ」

「それじゃあ、カナタお姉さん、お仕事ガンバってね………」

 その言葉に手を振りつつ、彼方は部屋から出た。

 

 

 


 それから、サーショの町にワープ装置で戻り、歩いてリーリルへ向かう。

「そう言えば、クロウ?」

「前回一切出番の無かったクロウだが、なんだ?」

「う゛っ、それは………作者に言って…………」

 ※本当にすいませんでした 作者

「で、なんだ?」

「この辺りにトカゲの砦があるって言ってたよね?」

「ああ、昔からあって、この辺りの森に入ると集団で襲いかかってくるそうだ」

 彼方の口に、黒い笑顔が浮かぶ。

「行ってみない?」

「私は一応止めるが………言っても聞かないだろう?」

「ご明察」

 そう言って、砦のある森へ歩いていった。

 

 


続く

 

 

 

さてさて、何とか来ちゃいました、4日目。

では、逝ってみよう!(字が違う

 

現在の装備

変更無し

 

使ってみよう!

お題・太陽の聖印


カナタは太陽の聖印を掲げて叫んだ!

「この聖印が目に入らぬかーーーーッ!」

「その使い方間違ってるぞ!!」


さて、次回は砦に潜入、彼方を待ち受ける物とは? 待て次回!