「おお、全ての試練を超えたのじゃな！」
パズルのことを思い出し、苦笑する彼方。
「では、これを持って行くが良い！」
そう言って、彼方に一枚の板を渡す。
板には太陽と思われるマークが彫り込まれていた。
「ふう、これでワシの役目もやっと終わる………おぬしが何のためにここに来たかは知らぬが頑張ってくれ、応援しとるぞ」
「ありがとうございます………」
「もしワシが死ぬまでここに誰も来んかったらワシの生きてる意味が無かったのう」
がっはっはと笑い飛ばす爺さんを尻目に、彼方は太陽の神殿を去っていった。
シルフェイド幻想譚 回顧録
三日目後編 楽しいひととき
太陽の神殿からリーリルの町に着き、エルークス薬を買おうとした時、
「あなたは………サーショの町で会ったカナタさんね」
後ろから声をかけられた。
声をかけた主は、イシュテナだった。
「………悪いけど、ちょっとそこをどいてちょうだい」
道を譲ると、そのままクラート医院に入っていった。
「そうか、イシュテナさんってここで暮らしてるんだ…………」
そう思いつつ、店先へ向かった。
エルークス薬を買い、シンの家へ向かう。
２０分くらいでサーショの町に着き、シンの家の戸を開けようとして、
「ん？ ………鍵がかかってる？」
鍵がかかっていた。
「たぶん北西の森に薬草を取りにいっているんじゃないのか？」
そう言われ、考え込む。
（そう言えば初めてあった時も二回目も森で会ってたわね………）
そう思い立って、北西の森へと向かっていった。
森の中を歩いていると、すぐにシンと出会った。
「あ、カナタさん………こんなところで会うなんて奇遇ですね」
「家にいなかったからこっちだと思って………」
その言葉に苦笑するシン。
「………あの、薬草は採ったので、そろそろ帰りますね」
「じゃあ、しばらく経ったら家に行くわ」
「カナタさん、一応気を付けてくださいね」
そのまま、二人は別れた。
「さて、お金もあることだし、防具でも買いましょうか」
そう言ってサーショの町に戻り、武器防具屋を目指す。
「やあ、ガラン堂へようこそ。ここで装備の販売をやってるよ。何をお求めですか？」
「じゃあ、鎧と盾を見たいです」
そう伝えるとカウンターのおじさんがリストを持ってくる。
「お嬢さんみたいな人ならお手頃なガントレットなんかいかがかな？ 鎧はレザークロスなんかおすすめだよ？」
リストを見て、重量などを考慮した結果、
「じゃあ、ヘビィシールドとチェインメイルください」
「毎度！ って、よく持てるねそれ………」
「鍛えてますから」
ヘビィシールドはガラン堂で売っている最高の盾で、とにかく重たい。
チェインメイルは重たさはさほどでもないが、普通の女の子が装備するような物ではない。
「じゃあ、ありがとうございました」
代金をカウンターに置き、去っていく彼方。
「………いやはや、世の中にはバケモノっているもんだな…………」
と、おじさんがしみじみと呟いた。
「あ、カナタさん」
「またおじゃまさせて貰います」
先ほどの約束通り、シンの家に着いた。
「あ、チェインメイルにしたんですね？」
「ええ、あのマントだけじゃ厳しいので………」
そして、しばらく沈黙が訪れる。
「………あの、シン」
「………なんでしょうか？」
後ろ手に持っていたエルークス薬を差し出す。
「えっ、エルークス薬………ですか？」
「そう、また手に入ったから。あげる」
シンは困ったようにしながら、
「また頂いて………良いんですか？」
「いいわよ。困ってる人が使うべき物だもの」
笑いながら、
「お姉さん、大事なんでしょ？」
と真剣な表情で問う。
「………あの、後で姉さんに飲ませます………………本当に、ありがとうございました…………」
「よろしい。じゃあ、私はこれで」
シンの視線を背中に受けながら、シンの家を出た。
「カナタお姉さん………今日はこれなかったみたい………」
夜、ウリユはそう呟きながら眠りに落ちていった時、店先には、
「………六時までだったのね。ウリユちゃんと話せる時間って…………」
何とかワープ装置を駆使してシイルまでたどり着いたカナタがいた。
ただし、現在時刻は夜の八時半である。
続く
………時間計算したのにシイルに到着出来ませんでした………
さて、気を取り直して。
現在の装備
太陽の剣
チェインクロス（ガラン堂で購入）
ヘビィシールド（同上）
生命の腕輪
重要アイテム
太陽の聖印
使ってみよう！
お題・ヘビィシールド
カナタはヘビィシールドの表面に頬をぴったりとくっつけてみた！
「ひんやりしてそうだが、そのうち盾が傷だらけになって痛くなるぞ」
さてさて、今後の展開にこうご期待！