昨日あれだけ動いたのにもかかわらず、身体の方は元気です。

これもトーテムの効果だと思います。

………便利だわ。

でも、ちょっとドーピングっぽいな。

とりあえず、いろいろ見て回りましょうか!

工藤 彼方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シルフェイド幻想譚 回顧録

三日目前編 不思議な鍵屋と彼方の即決

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 歩いている内に、一軒の小屋にたどり着く。

「ここが噂の鍵屋がいるって場所ね………」

 小屋の周りには何もなく、小屋に隣接している扉には不思議な扉がついていた。

「………ん? お墓?」

 視界の隅に、一つの墓があった。

「『伝説の鍵職人ベネラ ここに眠る』」

「もしかすると封印の扉を作った人かもしれないな」

「カナタ、とりあえず中へ入ろう」

 そうねと頷いて小屋の戸を開けた。

 

 

 

 小屋の中には失敗作と思しき鍵が散乱していた。

「おお、ちょうど良いところに客が! いらっしゃい………へへ、ちょっと聞いてくれよあんた」

 鍵屋の男がカウンターから乗り出す。

「やばい物ができちまったんだよ………」

 そう言って、懐から不思議な色の鍵を取り出す。

「ほらこれ、封印の民にしか開けられない筈の不思議な扉を開けちまう鍵でさ………」

 瞬間、彼方の顔が鍵に釘付けになる。

「カナタよ………そんなに悔しかったのか?」

(当たり前でしょう! あれだけ洞窟とかあって、大半は不思議な鍵が必要だったんだから!)

 マジでやばいと言って、男はカウンターから同じ鍵をいくつも取り出す。

「で、買うかい? 高いぜ? 一個800シルバだ」

「買います!」(0.01秒)

「早っ!」

 トーテムで強化された反応速度をも超える速度で返事をする彼方。

 鍵屋の男にして即決という言葉がこれほど似合う返答はなかったと後に語る。

 

 

 


「で、カナタ。本当に開けるのか?」

「もちろん。ここで実験しないとどうなるか分からないから」

 目の前には不思議な扉。

 手には不思議な鍵。

 緊張のあまり、手が震える。

 鍵穴のない扉に鍵がささり、

 鍵を開けるように回す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ―――カチャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「や…………やったわ!!」

「なにかこんな事で喜んで良いのかどうなのか………」

 舞い上がった彼方にクロウの言葉は聞こえず、彼方が扉を開ける。

 開けた扉の中には宝箱。

 彼方は、

「えいっ!」

 躊躇無く開けた(0.1秒)

「早っ!」

 中には800シルバが入っていた。

「「………800シルバで買った鍵で800シルバ手に入れても………」」

 二人は深いため息をついた。

 

 

 

 再び鍵を買い直し、森を進む。

「ところでカナタ、どこに向かっているんだ?」

「太陽の神殿よ。あそこには嫌な思い出しかないから先に制圧するのよ」

 


――― 嫌な思い出 回想 ―――


「………ねえクロウ」

「どうしたカナタ?」

 彼方の表情が凄く晴れやかな笑顔を浮かべている。

 しかし、クロウにはその笑顔がとても怖く感じた。

「どうしてこのドア開かないのかな?」

「鍵がかかっているからだろう」

 目の前にある不思議な色のドアは押しても引いても開かない。

「でも鍵穴がないよ?」

「不思議な鍵が必要なのだろう」

「…………」

 彼方の表情がみるみるうちに変化する。

「なんか私に恨みでもあるのかーーーーーー!!」

「カカ、カナタ!!? 落ち着け!? ここで暴れても何にもならないぞ!!?」

「うるさーーーーーーーい!!! むきーーーーーー!!」


――― 回想終了 ―――

 

「何か失礼なこと考えてない?」

「そんなことあるわけ無いだろう、カナタ」

 そうこうしている内に太陽の神殿にたどり着く。

 荒れ果てた入り口をくぐると、不思議な扉がある。

 周りが荒れ果てているのに扉だけが綺麗なので何となくシュールだ。

「では早速」

 手早く鍵を開け、中に入る。

「こんなへんぴな神殿によくぞ参られた………」

「………あなたは?」

 年老いた老人が一人、犬と共にいた。

「む、もしやそなたはトーテムを宿しているのでは!?」

「人の話聞いてませんね………」

「だが、ただ者ではないな」

 老人は天井に仰ぎ、

「なんと、ワシが長い間ここを守ってきたかいがあったという物じゃ………」

「それで、この太陽の神殿って何があるの?」

 その質問によくぞ聞いてくれましたとばかりに声を張り上げる。

「実は、実はな………ここには太陽の剣が安置されているんじゃよ!」

「太陽の剣って確か………」

「リクレールが大昔に作り、五十年前の戦いでも活躍した剣の事だ」

 情報集めの時にも何度か話を聞いた。

 なんでも魔王に唯一立ち向かえる武器らしい。

「トーテムを宿した者だけに持つことが許される伝説の剣………今こそそれが解き放たれる時なのじゃ!!」

 老人のバックに荒波が見えた気がした。

「さあ、そこの青いタイルの下に行け! そして試練を受けるのじゃ!! 
 知恵と力、両方で認められて初めて太陽の剣を持つべき資格を認められるんじゃ!
 さあ早くぜぇぜぇハァハァ!!」

 ハイテンションを通り越してハッスルする老人。

「興奮しすぎだぞ老人!」

 その一言に何とか我を取り戻していた。

「………まあ、とりあえず行ってきます」

 タイルの近くに行くと、タイルが勝手にずれて下にあった階段への道を開く。

「ああ、そうじゃ、他に渡す物があるから取り終わったらワシに一言言っておくれ」

「ありがとうございます」

 礼をしてから、階段を下っていった。

 


続く

 

 


3日目です。後書きは3日以上です。

3日と言えば『3days』ですね。………脈絡ありませんが。

さて、今回は装備変わってませんが、

前回増えた生命の腕輪、使っちゃいましょう!

 


使ってみよう!

お題・生命の腕輪


カナタは生命の腕輪を眺めた………。

うーん、美しい腕輪だ!

 

………地味ですね。

では、また次回に!!