リーリルに着いてからひとまず宿を取り、今後の方針をクロウと話し合っていた。

「町の人から聞いた話によると、この近くにトカゲ達の砦があるようだな」

「そうみたいね」

 ベットの上に簡易の地図を置き、大まかな位置に赤丸を書き込み、『トカゲ砦』とも書き込む。

「ひとまずはここで薬とかを確保して、次の町へ向かいましょう?」

「そうだな………その前に、ここから北に行ったところに小さな洞窟があるのだがどうする?」

 クロウの提案は魅力的であった。

 リクレールはこの世界に私を召喚した。

 しかし、召喚しただけであって道具などは必要最低限しか渡されていない。

 つまり………お金がないのである。

 宿屋に部屋を取ることが出来たのはリーリル到着までに行った戦闘の成果である。

「………ここにフォースという力があるのなら、それを見てから行きましょう? 回復が出来る力があるなら覚えていっても損はないし。

 で、それが終わったら洞窟行って、次の町を目指しましょう?」

「そうだな。では、軽く休んだら行くことにしよう」

 じゃあ、おやすみと言ってベットに潜り込む。

 一、二時間あれば目も覚めるだろうと瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シルフェイド幻想譚 回顧録

一日目後編 宝探しは蜜の味?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「それにしても、賢者サリムねぇ………」

 リーリルで情報を集めている時にやたらとその話を聞いた。

 いわゆる理力使いで、常人を越える筋力の持ち主という話を聞いた。

 まあ筋力の話は信じていないが。

 今現在はリーリルから北に向かっている。

 宿屋で話した洞窟に向かっているためである。

「賢者か………過去の英雄はどれくらい強いのかな?」

「我には分からんな」

 そう、と返事を返し、正面を見ると洞窟の入り口が見えた。

 

 

 

 

 洞窟にはいると、中は少々明るくなっていて、たいまつなどを点ける必要がなかった。

 そして、奥に着くと不思議な色の扉とその横に同じ色のプレートがあった。

「なになに………? 『ここは第二の魔王との戦いで使われた多くの武器や道具、そして財宝を納めた場所。
 “私”を知り、そしてトーテムに導かれし者だけがそれを手にすることが出来るだろう』」

 そしてドアの取っ手を握り、開けようとするが、空かない。

「鍵がかかってる………でも、このドア鍵穴がない………?」

「カナタ、これは封印の扉という物だ。封印の民という者達か、不思議な鍵という物でしか開けられない仕組みだ」

 結論。お宝探しは見事に失敗となった。

 

 

 


 洞窟探しが失敗に終わった後、リーリルに戻らず、南にある村を目指していた。

 道中は平野で、特にモンスターなどが出てくる気配もなかった。

 昼下がりの中、目的地であるムーの村へたどり着いた。

「ここは癒しの水と腕輪が名産品らしいな」

 とりあえず、話を聞いて歩いていると、

「ようこそ旅の方。ワシがこの村の長老ですじゃ」

 という老人と出会った。

「魔王などについて情報を集めているそうじゃが………もしよろしければ五十年前のお話をいたしますぞ?」

「五十年前というと………ちょうど第二の魔王が来た辺りね………お話聞かせてくださいますか?」

 良いでしょうと長老が頷き、家に案内される。

「五十年前は理力が知られ始めたばかりの頃、突然この島に雪が降ったんじゃ。

 ちょうど十九歳だったワシは、初めて見る雪に驚きましたわい。

 ところが、雪が降り始めてから数日後、とても強いトカゲ人間を頭とした群れがとある村を襲ったんじゃよ。

 とても強いトカゲ人はきっと新しい魔王だ、人々の噂はそうでした。

そして、この島に住んでいる力ある者………トーテムの力を持った者達が集まり始めたんじゃ。

 力を合わせて戦おうと言うことで、ワシも微力ながら彼らの手伝いをした。

 その中で、剣士ゼイウスと賢者サリムは凄まじい手練れだった。魔王と直接戦ったのも彼ら二人じゃったよ。

 最終的に二人によって魔王は倒されたと」

 その結果、今の世界があるんじゃな。と笑いながら長老は言った。

 

 


「それにしても、魔王か………」

「魔王については我もよく知らぬ」

 彼方は、長老と別れた後ムーの村から西に進んだところにある洞窟の前に立っていた。

「ところでカナタ? 何をするつもりだ?」

「お宝探し。ここに洞窟があるって話だからね」

 彼方はちっとも懲りていなかった。

 

 


 たいまつで洞窟を照らしつつ、奥に進む。

 途中のプレートには『ここは理力を封じし洞窟。剣の力を持たぬ者 立ち入るべからず』と書かれている。

「ここは………」

「当たりかもしれぬな。油断せずに行こう」

 クロウの言葉に頷きつつ、油断することなく彼方は前へ進んだ。

 入ってからはしばらく一本道で、迷うことなく進むと階段があった。

「降りるみたいね」

 躊躇無く降りると、黄色の扉があった。

「『五つの光に触れよ。去れば道は開かれん』と書かれてるわね」

 そう言って後ろを見ると、そこには光の珠と大蜘蛛がいた。

 大蜘蛛を蹴散らして光に触れると、消えていった。

「つまり………この光にあと四回触れなきゃいけないんだね」

「そのようだな。後四つだぞ、カナタ」

 わかったと返事をし、洞窟の奥へと潜っていった。

 

 

 

 その後も順調に光を見つけては触れ、最後の一つに触れた瞬間、扉の鍵が開く音がした。

 急いで扉を押すと、扉が開いて地下への階段が口を開けている。

 地下に降りると、

「キシャァァァァァァァ!」

 大量の大蜘蛛がいた。

「ちょっとばかし多いって! 言ってるでしょう!」

 次々に襲いかかる蜘蛛を切り倒し、ケガを受けたら隙を見つけて勝ったばかりの薬で回復し、無限に出てくる蜘蛛を切り捨てる。

 そして、その援軍も尽きた時に足下には一つの鍵が浮いていた。

「この鍵………不思議な感じが………」

 鍵を手に取る。

 その直後に後ろにある石版が淡く光る。

 近づき、石版の文字を見る。

『我は封印の源なり』と書かれているようだ。

 中央には鍵穴がついていた。

「この鍵で開ければ良いのかな?」

 浮いていた鍵を取り、差し込んで回す。

 すると今までこの洞窟を覆っていた気配が消えた。

「どうやら封印というのはフォースに関する封印と言うことだな」

「どこかで使えるかもしれないから持って行こう」

 こうして、本日三度目の探索は変な鍵一つということで幕を閉じた。

 余談だが、洞窟から出る時にモンスターがフォースを使用してきて苦戦を強いられたのと、

 ムーの村に戻ってから疲れで翌日まで寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『災い』が起こるまで、後十四日………

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

 

 

 はい、連続投稿も3日目に突入です。

 正直眠たいです。最後の方は半分寝ながら書いております。

 では、現在の状況!

 

現在の装備

前回と変化無し

 

プロフィールは新しい人が増えたわけではないので無し!

使ってみようは前回のでネタ切れなので今後に期待してください!

………冒険で手を抜いてるわけじゃないですよ? 本当に。

作品中に書いてるとおり、お金がないだけです………