※このSSを読む前に先に『汐と愉快なお姉さん達』 その1〜エピローグ までを読むことをオススメします。
※このSSの設定はお見合いの直後(次の日)ということになってますのでご了承ください。
ACT 0
『想いは加速して』
岡崎朋也。
私が好きな人にして一児の父。
そして、つい先日(有耶無耶になったものの)お見合いをした相手だ。
そのお見合いで思い知ったことがある。
朋也は色んな人に好かれすぎている。
だが私だって朋也のことが好きなのだ。
……少し話は変わるが、『縁』という言葉がある。
それは人と人を繋ぐ目に見えない何か。
私はその『縁』というものは一定ではないと考えている。
『縁』とは、常に繋がっているものではなく、親しいものですら繋がっている時とそうでない時があるものだと思う。
一期一会という言葉は、まさしくその事をよく理解した者が言った言葉なんだろうとも思う。
私の朋也との『縁』は高校の時に繋がり、それから何年か離れ、今、再び繋がったのだろう。
だからこそ思う。
かつて朋也との『縁』が離れた時のことの想い。
朋也がいなかった、ついこの間までの想い。
そして、今、再び朋也との『縁』が繋がった想い。
それら全てを思い出して、今想う。
もう、朋也と離れたくは無い。
朋也と共に生きていきたいと……
汐と愉快なお姉さん達 World errors 智代編
ACT 1
『あっさりと』
痛っ!
激痛が私の意識を覚醒させる。
目を開けると、窓から差し込む日差しがまぶしい。
……というか、ここはどこだ?
見知らぬ部屋。
差し込む日差し。
少し乱れた視界をふさいでいる髪。
隣で眠っている朋也。
何故か一部、赤い染みがついた布団。
………………
…………
……
まて。
最後の二つはおかしくないか?
これではまるで……三文芝居の展開みたいではないか。
そんなことが現実にあるはず……
と思いつつ、身体を起こして立ち上がろうとした瞬間……
痛っ!
立ち上がれない。
その……下半身のある一部が痛すぎて。
「と、朋也っ! 朋也っ!」
「う……ん」
あまりのことに取り乱しつつも、真実を調べるために朋也を起こす。
「朋也!、おきろ! おきるんだ!」
「ん……なんだよ、朝っぱらからうるさ……ぶはっ!?」
起きた朋也が気だるげに起き上がり、こちらを見て……何かに驚いて後ろに倒れて、机に後頭部を強打。
再び眠りについてしまう。
「……?」
その時、私はまだ自分自身の姿が裸であることに気付いていなかった。
ACT 2
『俺は大歓迎だ!』
まずは、状況の整理だ。
勝利は常に考えを弛ませぬ者についてくる。
その為にも、まずは現状把握だろう。
まず、何故か私が裸で眠っていて、布団には赤い染み、さらに身体が泣きそうなほど痛い。
対する朋也も、何故か裸で眠っている。(気絶しているともいう)
これは……もしかしなくても、ある意味お決まりのアレ……だろうか?
「痛つつ……何だか頭が痛ぇ」
「朋也っ! 目を覚ましたんだなっ!」
「お…………う?」
「ん? どうした朋也……って、視線がいやらしいぞ」
「は……」
「は?」
「ハブ ア グッド エッチ!」
「なっ!?」
しまった、まだ裸のままだった!
「みっ、見るな朋也!」
どん!
「ぐはっ!?」
思わず朋也を突き飛ばしてしまう。
突き飛ばした先にあったのは、何故か飾られている巨大な木彫りの星らしきもの。
再び朋也は気絶してしまったが、その表情は至福の表情だった。
ACT 3
『救助不可』
「すっ、すまない、朋也! つい……」
と、駆け寄って朋也の様子を見ようとするのだが……
「……」
「……」
「……」
「……」
「……はっ!? 私は一体何を……」
朋也を起こそうとするのだが……
いかんせん、その……朋也は裸で……今は朝で……よって朝方の生理現象がダイレクトの私の視神経を犯していくわけで……
「む、無理だ」
ACT 4
『娘と母候補』
「う……ん、おはよう、パパ」
「汐……起きたのか」
「……パパがママになってる」
「…………こういった所は、本当に古河そっくりだな」
「……?」
ACT 5
『娘と父』
「パパ……お腹すいた」
ゆさゆさと朋也を揺する汐。
「う、汐……その……朋也のソレを見てなんとも無いのか?」
「これ?」
「あ、ああ」
「パパのならおふろで見てるからへーき……でもほかのひとのこれを見たら、とりあえずけりとばしとけってパパがいってた」
「どういう教育の仕方をしてるんだ、朋也……」
ACT 6
『疑惑』
「……すると、汐は朋也と一緒にお風呂に入っているのか?」
「うん」
「いつもか?」
「うん、パパもいっしょにおふろ入るの、たのしみにしてるっていってた」
「…………………………ま、まさかな」
ACT 7
『話し合いの為にすべきこと』
「なーにが『まさか』だ」
「朋也……気がついたのか」
「ああ、ついさっきな。……ところで誤解しないように先に言っておくが……いくらなんでも娘に手を出すほど落ちぶれちゃいないぞ」
「しかし……」
「『しかし』何なんだよ?」
「古河の父親は、随分と娘を好きで親バカを超えていたと聞く」
「それがどうした?」
「つまり、それだけ古河には親を引き寄せる何かがあったわけだ」
「…………八割がたオッサンの地だと思うが」
「そして、その力は古河の娘である汐にも引き継がれている可能性もある。よって、朋也もそういう危ない道に走っているかも知れない」
「…………まぁ、その、なんだ」
「……?」
「…………まずは着替えないか?」
ACT 8
『責任』
「とにかく、現状を把握しないといかんと思うぞ」
「現状を把握も何も、もう結論は一つしか無いと思うぞ、朋也」
「う、ぬぅ……」
たじろぎ、唸る朋也。
私としては、嬉しいのが半分、知らないうちに色々と終わっていた事に対する不満が半分といったところだ。
だが、朋也はそうでは無いらしく、どことなく逃げ腰だ。
「それと朋也……」
何だか苦悩している朋也に声をかける。
闘いには流れがあり、その流れを掴んだものが勝利に近づく。
そして、今、流れは私に向いている。
ここで、きっちり決めてしまわねばならない。
朋也を狙うものは多い。
故に流れをつかめる確率も低いのだ。
ならば、掴んだ時に相手に致命傷を与えておかなければ闘いに勝つことは出来ないのだ。
「非常にいい辛いのだが……」
「……?」
微妙に皺の入った着物を正しながら、なんでもない風を装って言った。
『昨日、危険日だったのだが……どうしてくれるんだ? 朋也?』
ACT 9
『責任の行方』
先の言葉の後の朋也の表情は爆笑ものだった。
青くなったり、赤くなったり、何故か黄色くなったりと信号機のようにめまぐるしく表情が変化した。
汐は何のことだか解っていないらしく、『パパどうしたの?』と聞いてきた。
適当な返事が見つからなかったのだが、天啓の様にいい言葉(朋也にとってはどうかは知らないが)が思いついた。
「汐、朋也は困ってるんだ」
「どうして?」
「汐に妹か弟が出来るかも知れなくて、ちゃんと育てられるか悩んでいるんだ」
「おとうと、できるの?」
「妹かも知れないぞ?」
「たのしみ」
汐はそれを聞くと、朋也にしがみ付いて朋也に聞く。
「パパっ! おとうとかいもうとができるの?」
無邪気に嬉しそうに問う汐。
朋也も最初は呆けていたが、汐のその純粋な笑顔に観念したのか……
「そうだな……汐がいい子にしてたら、連れて来てやるぞ」
「ほんとっ! パパっ!?」
「ああ……」
「わーい!」
嬉しそうに部屋中を走り回る汐。
その光景を嬉しそうに見守る朋也に聞いてみる。
「その……朋也は私でいいのか?」
「ああ、責任は取らなくちゃいけないしな。それに……」
「それに?」
「好きなんだろ? 俺のこと」
「ああ」
「だったら問題なしだ」
「だが、朋也はそれでいいのか!? たった一夜の過ちで納得はいくのか?」
「言ったろ? 『問題ない』って。智代が俺なんかでいいならどこにも問題はないんだ。……どこにもな」
「あ……」
朋也の言葉を理解したら涙が出てきた。
朋也は私でいいと言ってくれたのだ。
感動して涙ぐんでる私を、朋也はそっと優しく抱きしめてくれた。
「……これから、よろしくな智代」
「ああ、任せておけ」
私は言葉と、朋也の背中に腕を回すことと、キスをすることで朋也の言葉に応えた。
ACT EX
『朋也の本質』
その夜……
「ところで智代?」
「なんだ、朋也?」
「汐に兄弟を作ってやると言ったものの、記憶が曖昧な状態であったこともあるし、ぶっちゃけ出来たかどうかわからん」
「何が言いたいんだ?」
「つまり……今から作るぞと」
「ばっ!? 何を考えているんだ朋也! 隣に汐が寝て……んっ、って止めろ朋也っ!」
「許せ智代、俺の……もとい汐の為だ」
「朋也はすけべな奴だな……これから苦労しそうだ」
そうは言いつつも、智代は嬉しそうだったと後に朋也は語ったという。
あとがき
現在、2004年 10/14 23:32
何とか智代の誕生日に間に合った秋明です。
っていうか、今回は前回(風子編)以上でした。
何が? と言われると、もちろん、智代の誕生日に気付いた時刻と言います。
前回→前日に気付き書く
今回→当日の早朝に気付き書く
学習能力無いのか秋明…_| ̄|○
まぁ、誕生日中に出来ても、公開されるのは後日なんですが気分の問題ですw
しかしアレです。
今回のは『汐姉』本編読んでないと、微妙に意味不明です。
本編で智代が告白してることとか、着物着てたりとか、そのあたりは本編なんでw
そんなこんなであとがき終了です。(ネタないから)
それではー。