電車に揺られること30分。
目的地の遊園地に着く。
意気揚々と中に入る俺達。
ここまでは凄く順調で、(比較的)何事もなく過ぎていく。
……このメンバーで(周りに迷惑のかかることは)何も起こらなかったのはまさに奇跡であろう。
でもまぁ、奇跡も長くは続かないわけで……
さて、ここで問題です。
遊園地内でもっとも危険な場所とは何処でしょうか?
もし、そんな問題があったとしたら、迷うことなくこう答えただろう。
それはジェットコースターでも、お化け屋敷でも、ゴーカートでも、コーヒーカップでも、メリーゴーランドでも、ましてや食事処でもなく……
観覧車であると!
まぁ、追記するとしたら、観覧車がもっとも危険だっただけで、それ以外もこのメンツだと十分危険だったということか……
汐と愉快なお姉さん達 Operation World Errors その3 遊園地は怖いところ? 前編
ジェットコースター(杏&智代)の場合。
「と〜もや〜♪ ねっ? アレ乗ろ? アレっ!」
「まぁ、予測はついていたが、お前って絶叫系好きなんだな」
「当たり前よ。遊園地に来て絶叫を乗らないなんて遊園地に来た意味が十割無くなっちゃうわよ」
全部かよ……
「ほう……それはいい事を聞いた」
「智代?」
「私も乗るぞ」
「はぁ、まぁ、いいけどな」
「他に乗りたい人は?」
し〜ん。
「パパ、のりたい」
「汐は危ないからダメだ。もうちょっと背が高くなったら乗ろうな?」
「…………はーい」
と、そこまで来て気付く。
こういったことには積極的に参加してくるであろう奴が名乗りを上げてこないことに。
「おい、春原は乗らなくていいのか?」
「ぼ、ぼぼぼ、僕は今回は遠慮しとくよ?」
何故に疑問系?
「ちょっと、陽平? どうしたのよ? いつものアンタならすっごくはしゃいで、すっぽんぽんになってでも乗ろうとするじゃない!?」
「僕、変態っすかねぇ!?」
「変態じゃなかったのか?」
「違うに決まってるでしょ!?」
「……で? 何で乗らないんだ?」
「え〜っと、実はお兄ちゃん、昔、ジェットコースターに乗って振り落とされかけたことがあって……」
どういう状況か非常に気になる所だが聞かないで置くことにする。
むしろ、聞かなくてもわかる。
芽衣ちゃんのあまりに呆れた顔を見れば一目瞭然というものだ。
そんなこんなで、三人で乗ることにする。
開園してから時間も経っていないせいか、結構空いていた。
で、俺達が座ったのは幸か不幸か一番後ろの席だった。
席は三人乗りで、俺が真ん中、両隣に智代、杏という配置。
ちなみに、俺が真ん中なのはごく自然に決まっていたりする。
まぁ、俺としては文句は無い。
別に端っこに乗りたいわけで無し、むしろ配置でいざこざが起こるより数段マシである。
まぁ、それはいい。
両隣が美人なのはいいことだ。
周りの視線もここ数週間の内に慣れた。
文句の付けようなど無い…………筈なのだが、少々困ったこともある。
それは…………さっきから脳内が非常にうるさいことである。
『うぐぅっ!!!!! ボクは嫌だよっ!』
ああ、もうさっきからうるさいぞ。
『はて、この『じぇっとこぉすたぁ』とか言うのはそんなに怖いものなのか?』
『えー? 別にそんなこと無いと思うけど……?』
『怖いよ! 落ちたら死んじゃうんだよ!?』
ああ、もう、少し黙っててくれ。 そんなに嫌なら出てくるなよ。
『無理だよ! 嫌でも見せられちゃうんだよ!』
そんなの知るか…………って、ちょっと待て。
『うぐ?』
もしかして……俺の視界とか全部そっちに行ってるのか? 遮断とかは出来ないのか?
『残念じゃが出来ぬ……』
出来ぬ……じゃねぇよ!?
もしかして俺のプライバシー無しかよ!?
『ぷ、『ぷらいばしぃ』? 何じゃそれは?』
『そんなもん、無いわよ』
出てけ。今すぐに。
ガコン!
その衝撃によって我に返る。
見れば丁度頂上についた所だった。
そして、下りが始まる。
………
……
…
「きゃあ〜〜〜〜♪」
「嫌ーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
『うっ、うぐぅぅぅぅぅuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!』
「ぐうおおおぉぉぉ………………」
今の叫び声は上から、杏、智代、うぐぅ、俺である。
杏は純粋に楽しんでる悲鳴。
智代は本当に怖がってる悲鳴。
うぐぅは同じく怖がってる悲鳴。ただし、直接脳内で叫ばれているために非常にうるさい。
俺のは、左右と脳内からのサラウンドな悲鳴の音量に悶絶している悲鳴だ。
「嫌ーーーーーーーーっ、と、朋也ぁ……」
ひしっ、と抱きついてくる智代。
その仕草は女の子らしくて可愛い。
俺としては割と平気そうな顔で、「これはなかなか面白いな」とか平然と言ってそうな感じだろうと予測してたのだが……
目尻に涙を浮かべて抱きつく智代。
こういう智代も可愛い……というか、むしろいつもとのギャップによる新鮮さにグッと来る。
何が来たのかは秘密だが。
まぁ、抱きつく時に身体を固定する鉄の棒みたいなのが力で無理矢理曲がっているのを見た時に、やっぱり伝説の女だと言うことを思い出したが。
ジェットコースターで抱きつかれるなんて変だなと思ったんだ。
まぁ、無我夢中でしがみ付く智代とは対照的に、杏は余裕がある。
しかし、余裕があるからこそ困る。
ふと、俺の様子を窺えば、そこには抱きついてる智代とデレデレしている(様に見えた)俺。
「ちょっと、あんた達なにしてんのよ!?」
「あ? 何だって?」 ←風と悲鳴で聞こえない。
「な、『ナニ』ですって!? あんたらこんなトコでそんなことしてるんじゃないわよ!」 ←同じく聞こえにくい&頭に血が上って判断力低下。
「うわ、杏! なに立ちあがってんだよ!? 座れ! 危ないだろ!?」
「た、たちまくって危ない、ですって!? 所構わず発情してるんじゃないわよ!」
「おい、杏に智代も何とか言ってやってくれよ」
「い〜〜〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!!!!」
「今日は智代と何度もイってやるですってーー!? しかも智代嫌がってるじゃない! と〜も〜や〜! そんなことさせないわよ!」
「杏、落ち着け! 話は降りてから聞くから! だから今は座っとけ! な?」
「うるさ……きゃっ!?」 ←風圧で飛ばされそうになる。
「ぐえっ!?」 ←飛ばされそうになった杏に首を掴まれる。
・
・
・
「パパ、たのしそう……のってみたかった」
「風子も乗ってみればよかったでしょうか?」
「楽しそうなの」
「な……何といいますか」
「人間こいのぼりみたいですね……まるであの時のお兄ちゃんみたいです」
「ぼ、僕はあの時なんて知らない! 知らないんだぁ!」 ←現実逃避
……と、いうような事があった。
あの後、係員の人に散々怒られるわ、首の調子はおかしいわ、耳もおかしいわ、脳内で叫び続けられてガンガン響くわで最悪だった。
まぁ、智代の女の子らしい一面を見れたのが唯一の救いだったと思った。
ちなみに、実際に言ってみたら、隣にいた杏にレバー(肝臓)を抉られたのは公然の秘密である。
その4へ続く。
あとがき
どうも、この頃は遅筆な秋明です。
サクッっと終わらせる筈の遊園地編が何故か長くなりそうな予感w
秋明さんの文章は、どうしていつも唐突にイベントが追加されたりするんでしょうかねぇ(汗
A:勢いだけで書いてるから。
とっとと、遊園地編、終わらせたいにゃー、とか思ってるんですがねw
ほら、書きたい所はここじゃなくてその先の…(以下自主規制)
まぁ、そんなこんなで、汐姉OWE、見捨てないで読んでやってくださいねー。
まぁ、こんな駄文を読んでる奇特な方なんて限られてるわけなんですがねw