透き通る様な雪を見ていた。





 あの娘以外、誰もいない世界。





 風は無く、あるのはただ一面の雪景色だけ。




 ギギギ。




 関節が変な音をたてる。




 あれ?




 体が動かしにくくなってきた。




 あの娘がこちらを振り返ろうとして倒れた。




 助け起こそうとしたら、「いいの」って言われた。




 あの娘が「それより……」って言いかけたところで雪が止んだ。




 不思議に思って空を見上げたら……




 雪の代わりに変な人達が空に浮いていた。


















 『あゆっ!? もうもたないの!?」』


 『もう無理だよっ!』


 『最早、これまでか……っと、ようやく来たみたいじゃな』


 「誰?」


 『話はあと! このままだと消されちゃう!』


 『神奈ちゃん!』


 『わかっておる! 既に調べはついておる!』


 「何の話?」


 『もう、私達もここにはいれないし、一緒に行くわよ!』


 『うん!』







 何だかよく解らない人たちに僕達は連れ去られた。

















 汐と愉快なお姉さん達 Operation World Errors  その1 夢から目覚めたら……
















 あさはやくにめがさめた。

 きょうはパパとおねーさんたちとで、ゆーえんち。

 すごくたのしみ。

 だからはやくおきた。


 「パパ、パパ、ゆーえんちにいこう」

 「う〜ん」


 パパ、おきない。

 もうちょっとがんばってみる。


 「パパ、おきて!」

 「ぐぉっ!?」


 アッキーにおしえてもらった、ジャンピングボディープレス。

 アッキーはあぶないから、するときはさなえさんのパンをしたにしいてからじゃないとダメっていってたけどできた。

 そのあと、うしろにいたさなえさんが、なきながらにげてアッキーはそれをおいかけてた。


 「な、何ごとっ!?」

 「パパ、ゆーえんち!」

 「……久々にあの夢見たな」

 「パパ?」

 「ん? なんでもないぞ、汐、じゃあ早速きがえて……」


 パパ?

 パパのうごきがとまる。

 こっちみたままうごかない。

 
 「汐は右にいる……何故か左手にも暖かな感触がある」

 「パパ?」

 「南無三!」


 パパがへんなこえだして、はんたいがわをむいた。


 「な、なんじゃこりゃーーーっ!?」


 パパ、すごいおおきなこえでおどろいた。














 「…………で?」

 「で? とはなんじゃ?」

 「あんたらは、誰なんだ?」

 「先程、説明したじゃろうが。お主の頭は鳥頭だのう」

 「羽根ついてるお前に言われたくないわっ! この鳥女がっ!」

 「じゃから、余は翼人じゃと先から申しておろうが……」


 落ち着け俺。

 まず、ここは俺の家だ。

 今日は、汐とその母親候補(風子談)たちとで、遊園地に行く予定だ。

 順を追って考えよう。




 お見合い騒ぎがあった。

       ↓

 懐かしい面々と再会した。

       ↓

 何を血迷ったのか、幾人かは俺のことが好きらしい。

       ↓

 故にみんなウチによく出入りするようになった。

       ↓

 みんなが互いによく顔をあわすようになる。

       ↓

 お陰で、致死イベントに事欠かなくなる。

       ↓

 非常に危険な状態。

       ↓

 しかし、俺は誰か一人とか決めれない。

       ↓

 重い雰囲気で膠着状態に陥ってしまう。

       ↓

 そこに我が娘、汐の鶴の一声

       ↓

 『みんなたのしくしてほしい……』

       ↓

 皆が今の己の姿や言動を振り返って我に返る。

       ↓

 とりあえず、ギスギスしないようにすることを皆が誓う。

       ↓

 汐への侘びとお礼を兼ねて遊園地に行くことにした。

       ↓

 その日の朝起きたら変な娘×3が俺のすぐ隣で一緒に寝ていた。

       ↓

 訳がわからんまま話を聞く。

       ↓

 娘その@:「わたしはみずか。わたしは永遠の世界の主で、あまりにも悲しき永遠の連環を絶つためにここに来た」
 娘そのA:「ボクの名前はボクは気が付いたらみずかちゃんと一緒に居て、そのままみずかちゃんのお手伝いをしてるよ」
 娘そのB:「余は翼人の神奈じゃ。長きにわたり果てしなき空に居たのじゃが、気が付いたら変な雪の世界にいて、そこで二人と出会い、お主を見かけて共にお主を救ってやらんとしたのじゃ」

       ↓

 理解不能、俺のよく見ていた幻想的な世界の夢の話らしいが、にわかに信じがたい。





 結論:とりあえず俺は悪くない。





 「……で、修正力に消されそうになって、キミの今まで集めた『光』に宿ってこっちの世界に来たんだよ」


 俺が考え事をしてる間に、話してる奴が代わってた。

 さっきまでは羽根娘が話してた筈なんだが……

 まぁ、どうでもいいが。


 「…………あー、まぁ、お前らの言いたいことはわかった」

 「ようやく? ちょっと飲み込み遅すぎない?」

 「あほかい! 普通の奴なら問答無用でお前ら追い出してるわっ!」

 「まぁまぁ、落ち着いてよ」

 「ったく……まぁ、言いたいことはわかったが俄かに信じ難いな。何か証明できるものは無いのか?」

 「お主の目は節穴か? この翼が見えておらぬのか?」

 「ただの飾りかもしれんだろ?」

 「ならば、この翼人の力を見せてやろう…………そうじゃな、お主の近い未来を言い当ててやろう」

 「ほぅ……」


 そう言って、どこからともなく筆と紙を取り出す羽根娘。

 あれも翼人の力とかいうやつなんだろうか?

 そして、その紙に筆でサラサラと何か書き始める。

 おそらく、あれに俺の未来を書き込んでいるのだろう。


 「書き留めたぞ。この紙にはお主の未来が書いておる」

 「へー、何て書いているんだ?」

 「それは……」


 バン!


 羽根娘、神奈が何か言いかけたところで、ものすごい音をたてて玄関の扉が開いた……否、破壊された。

 現れたのは知り合いの内では特に攻撃能力が高い杏と智代の二人。

 後ろには、風子、ことみ、宮沢、芽衣ちゃん、それに何故か春原までいた。


 「と〜も〜や〜? な〜んか、話し声が聞こえると思ったら、やっぱり女の子を連れ込んで……覚悟は出来てるんでしょうね?」

 「朋也……お前が、私達の誰にも決めてくれないのは、そういうことだったんだな?」


 特にフィジカル面が高い二人が、そりゃもう、まさしく鬼のような雰囲気漂わせながら近づいてくる。

 そんな風前の灯火って言うか、むしろ台風の前の線香花火みたいな俺の命を救うべく、二人に立ちはだかる天使が一人。

 ちなみに、そこの言葉使いが古臭い羽根娘ではない。

 マイスイートエンジェル汐だ。

 なんて健気なんだ汐。

 不甲斐ないパパを守ってくれ。


 「せんせー、このひとたちなにもわるいことしてない。パパといっしょにねてただけ」


 汐ーーーーっ!?

 そんな……火葬場に火薬を放り込むような危ない発言をっ!?

 言葉っ! 言葉たりてないよっ!?

 汐はパパのことが嫌いになったのかーーーっ!?


 「へぇ……朋也? どういうことか話してくれるんでしょうねぇ?」


 いや、お前の眼が俺に発言権が無いと言っているような気がするんですけどっ!?


 「朋也……お前という奴は……」


 こちらは、最早、言うことは無い。と言った様子。

 俺としては、むしろ言うことができない状態にされそうな予感だが。

 とりあえず、二人とも、説得は無理らしい。

 いつもは止めてくれるはずの、後ろの面々も誰一人として止めないところを見るに、頭に血が上っちゃってるらしい。

 みんな、カルシウムは大切だよ?

 それが無いと、主に俺の身体がもたないから。


 「とりあえず、神奈」

 「なんじゃ?」

 「俺には翼人の力とやらは無いが、すぐ先は予知できるぞ?」

 「ここまで来て、わからない奴の方がおかしいでしょうが」

 「とりあえず……」

 「とりあえず……何じゃ?」


 この状況下で絶対覆りそうも無いこと……それは……





 「俺、死ぬね。少なくとも二回は」





 直後、俺の頭に、どこから取り出したのか解らない辞書と智代の蹴りがめり込んだのだった。
















 その2に続くっ!










 あとがき


 どうも、此度はこんなSSを読んでいただきありがとうございます。

 作者の秋明です。現在、時間に困ってますw

 とりあえず、3人を現代世界にもってくるのなら、お約束ってことで、この様な感じになりました。

 まぁ、ネタに困ってるわけじゃないですが、のんびり気長にやっていきますよー。

 それでは、また次回でお会いしましょう。