※このSSを読む前に先に『汐と愉快なお姉さん達』 その1〜エピローグ までを読むことを激しくオススメします。
※このSSを読む前に先に『汐と愉快なお姉さん達 World errors』 杏編・風子編・智代編・ことみ編 までを読むこともオススメします。
雪。
雪が降っていた。
決して終わることの無い永遠の雪原。
その雪原の真ん中でロボットを送り出して彼女は想う。
願わくば……
あの子が……パパが、遠き世界で幸せをつかめる事を……
汐と愉快なお姉さん達 Operation World Errors 序章・Operation World Errors
絶対進入不可の幻想世界。
その中にありて、全てを覆い、包み隠していく永遠の雪。
雪は全てを包み隠していく。
それはこの世界の住人である彼女とて例外ではない。
白い雪が全てを白へと還す。
そんな様を見下ろす少女達がいた。
誘われし者
少女らの名前は……
みずか
月宮あゆ
神奈備命
彼女らは哀しみの視線を雪に埋もれようとしている少女に向けていた。
「……どうやら、最後の力を振り絞って、さっきのロボットみたいなのを平行世界に送り込んだみたい」
平行世界……この世界とは別にある世界。無数に枝分れしている世界。『もしも』の『もし』が現実となった世界。
彼女たちがいた世界もそのうちの一つ。
「うぐぅ……その世界のこと、見れるかな?」
「世界を超える様な事、この翼人の力を以ってしても不可能……の筈なのだが、どうやらここは特殊な場所みたいだから出来ん事も無いみたいじゃ」
純白の翼を持つ少女が何事かを念じると、彼女達の脳裏に直接映像が映し出される。
彼女らの脳裏に高速で情報が飛び込んでくる。
その情報は先のロボットを辿った視点のものだった。
とある、青年と少女の物語。
青年と少女は出会い、恋に落ち、結婚した。
しかし、少女は子供を生むと同時に死んでしまう。
青年はその悲しみから逃れるように仕事に打ち込み、娘の面倒を見ようとはしなかった。
しかし、少女の両親等のお陰で、青年は娘の面倒を見るようになった。
だが、その娘も病気で死んでしまう。
そして、青年はここに帰ってくる。
記憶すら失って、ガラクタの身体になってここに帰ってくる。
そして、先と全く同じ光景が映し出される。
最後に彼女の願いである、光を探し出して欲しいという言葉を持って旅に出る。
だが旅の過程には光は無い。
結果が全く同じ旅を繰り返す。
それはさながら永遠の責め苦。
大切な者を奪われ続ける終わりなき地獄。
「こんな……こんな悲しすぎる『えいえん』初めて見た」
「ずっと、こんなことを繰り返しているの? 全てを忘れて、抜け出せない運命に気付けないまま……」
「なんと……これは余りに……哀れすぎるのじゃ」
そんな彼女らの眼下で、先と全く同じ光景が繰り返される。
「ねぇ神奈ちゃん、何とかならないの?」
「う……何とかしてやりたいのは山々なのじゃが……」
「無理だよ。きっとここは『こういう風に定められた世界』、つまり、それを変える事は、この世界そのものを破壊するのと同じ。そんなの出来ない」
「でもっ!」
「…………」
「…………」
「ボクはやるよ。たとえ、この最後の願いを使ってでも……」
ダッフルコートの少女が背負っているカバンについている天使の人形をなでながら言う
「しかし、いくらそれを使っても到底……」
「…………待って、もしかしたらいけるかも知れない」
「みずか……お主まで何を」
「確かに、この世界を変えることは出来ない。だけど、歪める事なら出来るかも……」
「無理じゃ、歪めるのも世界を変える、と言う点では同じ事」
「確かに到底無理。でも、それはこの世界に限ってのこと」
「お主……まさか……」
「伊達に永遠の世界の主をやってたわけじゃないわよ。世界と世界を繋ぐ道を変えるぐらいなら出来る。そこは既にこの世界じゃないから」
「でも、どこに繋げるの?」
「そこは神奈の出番よ、さっきみたいに外の世界を調べて、さっきのロボットの運命を変えることの出来る誰かがいて、尚且つ『光』を持ってる誰かがいる世界に飛ばすのよ」
「なるほど、別の世界でなら『光』を手に入れれない運命を変えることは出来る。そして光を集めさせるわけじゃな?」
「そうよ、どう? 完璧じゃない?」
「……少々、誤算がある」
「む、何よ?」
「余の力が持たん。そもそも、ここだからかろうじて出来るだけであって、本来なら無理な芸当。おまけに条件が厳しすぎるぞ」
「…………まぁ、やるだけやってみましょう? 神奈の力が底を尽くまでにたくさん見つかるかも知れないし」
月宮あゆはそんな会話をする二人を見て悲しそうに呟く。
「うぐぅ……ボク、役立たずだよね」
「何を言うのだ、そもそもこの計画はお主がいなければ成り立たぬぞ」
「うぐ?」
「そりゃ、私達はさっき言ってたみたいなことは出来るわよ? でも私達は直接ではないけど、この世界を変えようとしている。でも、神奈の力を使うにはここでないといけない。つまり私達は敵のテリトリーで敵にケンカを売ってるの。この世界はそんなの面白い筈が無い」
「?」
あゆは首をかしげている。
言いたいことが解らないらしい。
「つまりじゃ、このままだと世界の修正力が働いて余たちを消そうとするかも知れないわけなのじゃ。そして余とみずかにはそれに抗う術は無い」
「だけど、あゆは違う。あゆには第三の願いがある。その力ならば修正力に対抗できる」
「そんなこと、出来るのかな?」
「お主の力は一度しか使えぬ。だがその一度の力は絶対的な力を持っている。だから胸をはっておれ」
「うん! わかったよ!」
眼下で再びロボットと少女が歩き、力尽きて倒れる。
「よし、もうすぐね。いくわよ」
「うん! 早く助けてあげよう!」
「そうじゃな」
ロボットの身体が消えていく。
それと共に、少女達の作戦は始まる。
それは、彼女達の運命をも大きく左右する旅の始まりでもあった。
Starting operation world errors.
Continue four world errors.
あとがき
どうも、また懲りずに連載始めやがってる秋明です。
初めましてな方、初めまして。
そうで無い方、お久しぶりです。
まぁ、一応、上の方にも書いているのですが、このSSは、このSSの前作『汐と愉快なお姉さん達』シリーズとその短編『汐と愉快なお姉さん達 World errors』シリーズを読んでいないと微妙に意味不明ですので、なるべくそちらを読んでからお読みください。
今回のSSは『汐と愉快なお姉さん達』と『汐と愉快なお姉さん達 World errors』の間の話です。
クラナドキャラ、殆ど出てませんw
本文で、ごっちゃごっちゃ書いてますが、今回で知っておいて欲しいことは……
@このSSの世界では朋也は常に『光』を手に入れられず汐Badルートを繰り返している。
Aそこに(現在の時点では)何の脈絡もなく出てきた、みずか・あゆ・神奈によって、@の法則が破られようとしている。
BそしてAが起こったことにより、朋也は短編である『汐と愉快なお姉さん達 World errors』の世界へ飛ばされてしまった。(英語の部分参照)
基本的にはこの三点さえ押さえて頂ければ、あとは大丈夫だと思います。
まぁ、少し頭を回転させていただければ、短編の数は4つ。
つまり、朋也は4回、この場面を往復し、4回とも『光』を手に入れることが出来たことが、まぁ、何となく察せます(w
あと、追記するならば……
C世界がどうのこうの解りにくい!
Dみずか・あゆ・神奈のキャラが微妙に、もしくは凄まじく変!
E微妙に辻褄が合ってないような気がする!
F最後の英語が変!
ってことですか?
Cはそういう仕様です。ごめんなさい(汗
Dは秋明の技量不足です。いつものことです(ぉ
Eは細かいことは気にしちゃいけません。勢いだけのSSにしては頑張った方です(マテ
F秋明の英語の実力を甘く見るなっ!?(クワッ!
ちなみに秋明の英語の実力は中学一年生とタメが張れるぐらいです(笑
まぁ、長くなりましたが、今回はこの辺で……
それではーっ!