しおりん改造計画
(Kanon) |
第2話『しおりん、奮起するも?』
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written by シルビア
2003.11-12 (Edited 2004.3)
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【栞】
祐一さんの好む女の子……
「わかったよ、言えばいいんだろ?
……頭がいいこと、そうだな、学年で50番目ぐらい。
……表情とか仕草とかは、大人っぽさと可愛らしさが両立するような感じ。
……スタイルは並かちょっといいぐらい。
……俺が料理下手で家事がダメな方だから、料理上手で家事上手な子がいいかな。
……普段はわがままをあまり言わないけど、時に俺を頼って甘えてくれる子。
こんな感じかな」
(うーん、とりあえず何から手をつけましょうか?)
私はあれこれ考えてました。
頭がいいといえばお姉ちゃんにすがるしかないです。
学年主席で教え上手なのは、私のいまの成績からしても納得です。
留年したものの、今の成績がとれたのはひとえにお姉ちゃんの指導あったのことですから、もう少しがんばれば50番以内になれそうですね。
「ねえ、お姉ちゃん、私に勉強を教えてくれない?」
「どうしたの、栞。今でも教えてるじゃない」
「どうしても、学年で50番以内に入りたいの。だから、お願い!」
「私も自分の勉強があるけど、他ならない栞の頼みだし……いいわ。50番以内ね? まあ、あとは自分で予習とかができるようになれば大丈夫だと思うけどね」
「うん♪ ありがとう、お姉ちゃん」
「まったくどういう風のふきまわしかしら。まあ、いいけど」
次は、大人っぽさですか……
祐一さんは前に私に可愛いといってくれたので、大人っぽさを身につければ
「ね〜、美汐さん、私の格好って子供っぽい?」
「そうですね。可愛い系の服ばかりでもないようですが。
着こなしは大人っぽいとおもうんですけど、表情が少し子供っぽいかと」
「えぅ〜、そんな事言う人嫌いです!」
「ほら、そう言う風にすぐ拗ねたり甘えたりするから、祐一さんが子供っぽいっていうんですよ」
「……・」
「大丈夫ですよ、栞さん。香里さんがあれだけ大人っぽいのですから、きっと栞さんも大人っぽくなれますよ。
それに、香里さんだって、子供っぽい時は凄く子供っぽいじゃないですか。
単に、栞さんと香里さんを足して2で割るとちょうどいいと思えばどうです?」
3つ目はスタイル……
私は姿見の鏡の前に立って、自分の姿をじっくりと見つめました。
小柄ですね〜、それに胸とかお尻とかは少し貧弱に思えてしまいます。
でも……もう、闘病生活もおわったんだし、これから元気になれば……
私だってまだ16才、お姉ちゃんの16才の頃だって今ほどではなかったし、希望はありますね。
でも、アイスばかりでなくて、牛乳も飲まないとダメかな〜。
4つ目は料理上手・家事上手ですか……
思い当たる達人は、やはり秋子さんですね。
さっそく、秋子さんに相談してみましょう。
「こんにちは」
「あら、栞ちゃん、いらっしゃい」
「実は、私に料理と家事を教えてほしいんです」
「了承」
「はい? そんなに簡単に決めていいんですか」
「ええ。本人のやる気さえあれば、家事も料理もあとはコツをちょっと掴むだけで上達しますから」
「……そうですか。では、明日からお願いします」
「はい」
うーん、あっさり方針が決まってしまったような気がします。
5つめは、普段はわがままをあまり言わないけど、時に祐一さんを頼るってことですか。
ちょっと分かりませんね。
でも、祐一さんって困った時には必ず手を差し伸べてくれそうですから、私がわがままを控えればいいのでしょうか。
とりあえず、これは成り行きでいくしかないですね。
さて、やるしかないです。
褒美は……祐一さんとのデートですから。
ふふ、楽しみです。
私をアイスのように甘く見ていると、いつの間にか私から離れられなくなってもしりませんからね、祐一さん♪
【祐一】
改造計画か……
まったく、香里の奴も何を考えているのやら。
まあ、栞が変わるならそれもそれでいいだろう。
夜、俺はベッドの中で考え更けっていた。
俺の手には、香里作成の「しおりん改造計画」の計画書があった。
一応、香里に言われた通り敢えて振る舞ってはいるよな。
(ちょっと要求が高すぎたかな?)
栞が出来そうな事ばかり言っては奮発しないだろう、それじゃ意味がないからと、計画書にはゴールの基準は明確に書かれていた。
だがな〜、俺だって、栞の事は考えてるんだぞ。
それなのに、デートすら禁止されてしまっては、手も足も出やしない。
本当に、いつになったら、栞とデートできるのだろうか。
デートか……俺も受験生で金欠気味だけど、その時はできるだけの事はしてやろう。
(栞、がんばれよ)
無責任なようだが、俺は眠りについた。
いくら考えようが、それしか今の俺にはできることがなかったからだ。
(つづく)