周辺地図を参考に、二人で歩く。

 目指すは、近くにあるファミリオの村。

 ひとまずここで斉藤に関して情報を集めることにした。































Snow・A・Snow

中世編A−2・相沢祐一



























 村に着いてから宿を取り、村人に勇者について聞き回る。

祐一「やれやれ………収穫無し……か」

 しかし、誰も斉藤について知らない。

 一息ついた時、視線を感じ、その方向を向く。

 木の陰にカエルのぬいぐるみを抱えた女の子がいた。

 祐一と目が合うと一目散に走っていってしまった。

祐一「なんだったんだろう?」

 しばらくその場で粘るも、結果は変わらなかった。

??「ほら、お母さん! あの人だよ!」

??「あらあら、そんなに慌てて」

 こちらを指さす先ほどの子供と、その親と思われる女性が近づいてきた。

??「やっぱり! 武闘大会で優勝した祐一さんだよ!」

祐一「君は?」

名雪「わたしは、なゆきっていうの!」

秋子「その子の親の、秋子です」

 深く頭を下げる秋子に祐一も同じく頭を下げる。

秋子「この子、祐一様のものすごいファンでして………」

名雪「うんっ! 武闘大会も見に行ったよ!」

 そんな名雪の頭に手を乗せ、軽く撫でる。

 名雪はその手をくすぐったそうにして受ける。

祐一「そっか、応援してくれてたんだ。ありがとうな」

 その言葉に満面の笑みを浮かべ、

名雪「うんっ!」

祐一「じゃあ、名雪にお礼しないとな」

 祐一が懐から短剣を取り出す。

 シンプルだが、柄に歌音王家の紋章が彫り込まれている。

名雪「これは………?」

祐一「お城で清められた短剣。刃は落としてあるからただのお守り」

秋子「でも、そんな物貰って良いんですか?」

 祐一は苦笑し、

祐一「正直、俺にはもったいないと思ってましたので」

秋子「そうですか………良かったわね、名雪?」

名雪「うんっ!」

秋子「では、そろそろ夕飯時なので………」

 二人が歩いていくのを見送った後、祐一も宿屋に戻るべく足を進めた。













祐一「で、ココハドコダ?」

 ソシテコノオレハ相沢祐一である。

 現在、森の中にいる。

祐一「たしか、治り草が生えてるって聞いたからきたんだけど………」

 行けども行けども森が広がり、群生地など見つからない。

祐一「全く、どうなってるのやら………」

 そう呟いた瞬間、視界が開けた。

祐一「………すげぇ」

 中央に生えた一本の大樹。

 その周りに、大量の治り草が生えていた。

祐一「そんな事よりも………」

 その景色が美しかった。

 夕焼けの赤が、治り草の白い花びらを照らす。

 大樹が夕焼けを受けて紅く色づく。

祐一「なんだろう、何か、懐かしい………」

??「それは、あなたの物だから」

 今まで無かった気配に振り向く。

??「あなたはこれから何を見て、何をするのか、それはあなた次第」

祐一「誰だ………?」

 今まで見た事もない、紅と白の異国の服を着た女の子。

??「私はあなたの鏡」

祐一「鏡?」

 一瞬で身構える。懐には短剣。

??「あなたは私の鏡」

祐一「俺が……鏡?」

??「どちらが本当でどちらが偽かは関係ない。私たちは二人で一人を表現しているから」

祐一「なら、君は、誰なんだ?」

美汐「………美汐」

 そう、呟いた瞬間に、風が吹く。

美汐「世界の中心と、その果てで、再び会いましょう………」

 白い花びらが舞い散り、日差しを受けて紅に染まる。

 風が収まった時、そこには誰もいなかった。












北川「おう、祐一。遅かったな」

祐一「………ああ」

 先ほどの事もあり、いまいちやる気のない祐一に、

北川「俺の方は、西の山に一人で住んでるっていう偏屈な爺さんの話を聞いたぞ」

祐一「………香里の情報通りだな。斉藤は西の山にいる」

 素早く地図を広げ、確認する。

北川「今から山に入ったら確実におだぶつだ。ここは明日はいるのが得策だな」

祐一「そうと決まれば!」

 素早く食堂に向かう祐一。

北川「そう、とりあえず登山のじゅん………ちょっと待てや! また俺ほったらかし!!?」

 その後を急いで追う北川であった。








祐一「………この季節に、雪を見る事になるとは思わなかったな」

北川「しかも寒い」

 山の春は遅い。

 湿り、重たくなった雪が冷気を放ち、祐一達の足を取る。

北川「寒い寒い寒い………」

 指先に火を灯しながら暖を取る北川。

祐一「………………」

 無言のまま突き進む祐一。

 しかし、顔を伝って落ちる液体は汗。

祐一「なあ、北川よ」

北川「なんだ?」

 祐一の着ている物は騎士団製の銀の胸当てと黒いコート。

 それと底の厚く、重たいブーツ。

祐一「何故、俺だけがずっと先頭?」

 雪の深い場所を二人以上で移動する場合有効な方法は、

 一人が道を踏み固めた後にもう一人が固められた道を進み、先頭の体力が尽きたら交代して進むという手段である。

 この場合は祐一の体力が尽きたら北川が前に出てその間

北川「俺、体力無いから♪」

 祐一が足を止め、

祐一「なら、お前で道をつけたろうじゃないか?」

 北川の襟首を掴んで進行方向に投げ飛ばす。

 祐一のスローイングで巻き起こった衝撃波が積もった雪を散らし、地面を見せる。

北川「殺す気か! って、相沢。向こうに建物があるぞ!」

祐一「本当か? ちょっと寄ってみよう」

 二人は衝撃波が造った道を歩いてゆくのだった。









 To Be Continued………









後書き


森「はい、激久しぶりのSASです。待っていた皆様大変お待たせしました」

栞&祐「遅い!!!」

ズドグシャァ!!

森「ツープラトンは………ずるいぞ」

祐「じゃかしわ! さんざんほったらかしていざ書くとなったらこんだけかい!!」

栞「そんな事する人嫌いです!!」

森「しょうがないじゃん、久しぶりなんだから。ついでにシル幻のほうが忙しかったんだし」

祐「痕………(ぼそっ)」

森「………(汗)」

栞「………ショコラ、みずいろ(ぼそっ)」

祐「パルフェ、スカレ、ねこファン………他にもまだまだ余罪はあるぞ?」

森「さあ、張り切って次回を待て!!!」

栞&祐「ごまかすな!!!」