「して、首尾は?」
「カラクリ人形は準備完了です。後は皮を剥いで着せるだけです・・・」
「肝心な女は牢で寝ています。もっとも、悪夢でしょうが・・・」
「魂はわらわが貰います・・・生きのいい魂は久しぶりです・・・・・・・」
「あと少しで、我が元に日の本が・・・はぁはっはっは・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「申し訳ありません、御館様・・・」
「ぬう・・・お主でも駄目だったか・・・・・・」
「御館様・・・こうなったら私が・・・」
「いやハヤテ、頭目のお主がいなくなったら歌音忍軍はどうなる?」
「しかし、誰か・・・いや、一人います。まだまだ荒削りですが・・・」
「してその者の名は?」
「川澄舞という名のくの一でございます」
「では、早速呼んでまいれ」
「いえ、あ奴の事です。もう来ているはず・・・」
ハヤテの横に降りてくる少女。
「お主が川澄舞か」
「川澄、任務の説明はいるか?」
「ぽんぽ・・・いえ、必要ありません・・・・・・」
「ならば、行け!そして、助け出して来い!」
「はちみつ・・・はい・・・・・・」
時は幕末、
時代があらゆる可能性を探りながら彷徨う時代。
この話は時代の影の一幕・・・
Snow・A・Snow 〜幕末編・川澄舞〜
そして、舞は尾手城に辿り着く。
「ここに・・・」
城を見上げる。おどろおどろしい空気が辺りに立ち込めていた。
「これは・・・魔物の気配・・・・・・」
川澄の家系は昔からの退魔の血が流れている。
霊力があり、魔物と呼ばれる異形の存在を屠ってきた。
「無事でいて・・・」
手早く本丸内に侵入し、気取られぬように地下牢に入り込む。
途中、見張りを刀の峰で打ち、牢の鍵を失敬する。
そして、
「いた・・・」
彼女は縛られて壁に寄りかかっていた。
牢の鍵を手早く開け、近づく。
バコン!
落とし穴が起動し、さらに地下に落とされた。
地下の部屋は暗く、足元には骸骨が転がっていた。
「おや?獲物がかかりましたか・・・」
刀を抜き、声の主を睨む。
「魔物・・・川澄の名において、滅する・・・・・・・」
目が暗闇に慣れる。そこにいたのは美形の男だった。
「僕は天草四郎。君では僕を倒せないよ・・・僕は、不死身だからね!」
辺りに人魂が躍り出る。
それを無視するように相手の懐に潜り込み、胴体を真っ二つに裂く。
「・・・手応えがない・・・・・・」
人魂が集まり、天草の体を形成する。
「言っただろう?僕は不死身だってさあ!!!」
掌からの電撃が舞に向かう。
「倒すには・・・」
クナイを懐から取り出し、地面に打ち立てて避雷針代わりにする。
「焼き払う・・・」
手で印を組む。
「歌音忍術、火遁・・・方円舞!」
炎の塊が部屋を満たす。人魂が焼かれて成仏していく。
「そんなもので、不死身の・・・」
天草が周りを見渡す。
「しまった!奴の狙いは・・・」
それ以上、喋ることができなかった。
「川澄流退魔抜刀、緋桜息死・・・・・・霊体を元に体を再生するなら、霊ごと滅する・・・・・・」
集まっていた霊が一斉に散って行く。
ドスン!「きゃっ!」
後ろの方に何かが落ちてきた。
「ふぇー、痛いです・・・」
腰を抑えながら立ち上がる落ちてきた物体。
「ふぇ?ここは・・・どこでしょう?」
舞が落ちてきた人に近づく。女の子、18歳くらいの。
「あなたが救出に来てくれた忍者さんですか?」
「川澄舞・・・」
一瞬顔が真剣になる女の子。しかし、すぐに笑顔になり、
「どうもありがとうございます。舞さん」
「舞でいい」
「いえ、これは・・・」
「舞でいい」
「えーっと・・・」
「舞でいい」
「・・・わかりました、舞」
「敬語も駄目」
「わかった、舞」
そして、地下室から抜け出す。
「そういえば、私の名前は『女が逃げたぞ!!!』・・・言わせてもらえない・・・」
「私の後ろに・・・」
「大丈夫だよ舞、私も戦えるから」
「わかった。ついて来て」
「うんっ!」
屋根裏部屋のカラクリを抜けた所で少し休憩する事にした。
「でも舞、どうして誰も殺さないの?忍なのに・・・」
「誓ったから・・・」
「ふぇ?」
「私は、魔物以外誰も殺さない。私は誓った、あの人と…」
「・・・」
「それに、ここの人は魔物に操られている。さっきの天草のような強い魔物に・・・」
「・・・休憩終わり」
先に縄梯子を下りていく舞。
「待ってよ舞ー!」
追いかける女の子。
縄梯子を下りた先は茶室だった。
「やぁーよく来たでおじゃる。ベリータイアードであろう?ミーが茶を点てて進ぜよう。さ、シッダンシッダン!」
どこからかそんな声が聞こえてくる。
「罠だね、舞」
「あからさま・・・」
「なんと、ミーが信用できないと?」
二人は、
「信用できない(ません)」
と、正論を言う。
「ふっふっふっ・・・・・・・・・この平賀源内の罠を見破るとは・・・」
奥の壁が回り、ごつい荷物を持った男が出てくる。
「どうでした?ミーの作ったビューティフォーなカラクリの数々は?」
「無いに等しい・・・」
「あははー、中途半端な仕掛けでしたねー」
結構毒舌な二人。平賀はというと・・・
「そうですか・・・では、このミーのスペシャルカラクリボディを!」
背中のハッチが開き、小型のカラクリロボが出てくる。
「ゴートゥーヘブンの土産にして差し上げるでごじゃる!!!!!!!!!!!!」
小型の銃を搭載したカラクリロボが射撃を始める。
「こいつも魔物・・・川澄の名において、滅する・・・・・・」
避けつつ舞が刀を抜き、女の子が右手に刀、左手に短銃を構える。
「あははー、狼牙流射格戦段、基本流撃ですよー!」
カラクリロボの懐に潜り込み、小型銃を撃ち抜き、斬りつけて破壊する。
「相手の足をとめて・・・」
「うん、舞!狼牙流射格戦段、光波動弾!!」
「なにっ!!!」
手を組み、咄嗟にガードする平賀、しかし短銃から出たのはただの鉄鋼弾、カラクリロボを破壊する。
「うそですよー」
「騙したなぁー!!!」
「隙あり・・・歌音忍術、火遁・・・火の鳥!」
炎が鳥の形を模し、カラクリロボごと平賀を焼く。
「ひゃあああああああああ!!!このっ!!カラクリ放水!!!!」
平賀の周りの炎が消える。
「これで終わり・・・」
「なっ!!!」
舞が背後に回りこむ。
「川澄流退魔抜刀、三日月・・・滅せよ、カラクリに憑く悪しき魔物・・・・・・」
肩口から腰にかけて三日月を描くように両断する。
その時、舞の後ろの燃え盛るカラクリロボの一体が舞に狙いを定める。
「舞っ!!!」
女の子が咄嗟に庇いながら銃を撃つ。
カラクリロボを破壊するが、肩に銃弾がめり込む。
「舞、大丈夫?」
「大丈夫・・・肩のほうは?」
「かすり傷だよ、でも・・・ちょっと先に行って、私も後で追いかけるから」
「でも・・・」
「お願い、舞・・・」
「わかった。先に天守閣に行く」
「絶対追いつくから!」
女の子と別れて平賀が出てきた壁を通り抜ける。
壁の周りに小判が沢山落ちていて、壁に細長い穴があいていた。
興味半分で小判を差し込む。
大きな音がして部屋が90度動く。
不審に思い、さっきの茶室に通じる壁を回す。
すると、さっきの茶室の面影も無く、何か人形みたいな物が置いてあった。
足に何かぶつかる。
拾うと細長い何かをまわす為の道具みたいだった。
人形を調べると、何かを差し込めそうなので、さっきの拾ったものを差し込み、回す。
「・・・にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃん!!!!!!!!!!!!!!!」
人形が一瞬で舞に化け、襲い掛かってくる。
それを刀の峰で打ちつけ、黙らせる。
すると起き上がり舞の後ろに立つ。
舞が動くとカラクリ人形も動く。
(ついてくる・・・)
部屋に戻って小判を差し込み、元の位置に戻す。
「おいで、マイ」
天守閣の王がいる部屋の近くに着く。
曲がり角から入り口を覗くと虚無僧(お坊さんみたいの)が三人立っていた。
そして手に持つ杖はおそらく仕込み杖。三対二といえど殺さずに戦うのは無理そうである。
そのとき・・・ねずみの鳴き声がした。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
同時にマイが叫びながら虚無僧達に突っ込み、
チュドーン!!・・・自爆した。
虚無僧達はのびていた。
障子を開けると今回の元凶、尾手院王がいた。
近づくと、周りから八人の剣士が出てきて囲まれた。
「ふっふっふっ・・・よくぞここまで来た。こうなると部下を責めるよりお主の健闘を称えるべきだろう?」
懐をまさぐりながら、
「だが、それもここまでだ。お主の周りには八剣士がいるし・・・」
懐から銃を取り出す。
「この短筒がお主を狙っているからな!!!!」
舞に狙いを定め、引き金を引こうとする・・・
ドキューン!!「うあっ!!何奴!!!」
尾手院王の銃が弾かれる。障子の前には先ほど分かれた女の子が立っていた。
「あははー、間に合いましたねー。さて、そこの周りにいる皆さんー、死にたくなかったらよいてくださいー」
天井に向かって銃を撃つ。一目散に逃げる剣士たち。侍のプライドはどうした・・・
上座を見ると、尾手院王がいない。部屋を見渡すと掛け軸をめくり、裏の穴から逃げようとしていた。
「ははは!!!やるのう!!!!だがこれならどうかな?出でよ!!!!!宮本武蔵!!!!!!!!」
宮本武蔵の霊が召喚される。
「さて、お主等に勝てるかな?はっはっはっはっ!!!」
尾手院王は逃げていった。
「お主、相当の強物と見た!いざ尋常に勝負!!!」
武蔵が刀を抜く。舞と女の子もそれぞれ構える。
「狼牙流射格戦段、閃光弾!」
「ぬうっ!!目がっ!!!」
先制攻撃と言わんばかりに辺りに閃光がほどばしる。
「歌音忍術、影一文字・・・」
舞が後ろに回りこみ、影の心臓に刀を刺す。
「ぐおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
その瞬間、霊が絶命した。
「お主、名は・・・」
「川澄舞・・・」
「地獄で待っているぞ・・・」
それだけを言い残してこの世から消えた。
掛け軸裏の穴から最上階を目指す。
階段の一歩手前に姫らしき人物がいた。
「きさま!よくもこの淀姫を無視したなぁ!!!!」
「寄る必要が無かったから」
「許さぬぞえ!!魂を食らい尽くしてくれるわ!!!!」
「川澄の名のおいて、滅する・・・」
「ヒステリーな人って見苦しいね、舞?」
「うん、見苦しい・・・」
「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
本気でこの敵がかわいそうである。
淀姫が殴りかかってきたので刀で受ける舞。とたんに体から力が抜ける。
「お主の生気、心地よいぞ」
「舞!危ない!!狼牙流射格戦段、爆裂弾!」
淀姫に当たると爆発を引き起こした。
「くぅ!小ざかしい!!」
舞が淀姫から離れ、霊力を刀にこめる。霊力が刀身を覆い、大きさが5M近い剣になっている。
「川澄流退魔抜刀、光剣両断撃・・・閻魔様がお待ちかね・・・・・・」
振り下ろす。淀姫が真っ二つに裂かれる。
屋上にたどり着くと上座に尾手院王がいた。
「ここまでたどり着くとは・・・ここでは狭すぎる・・・屋根に上がれ!最後の決戦じゃ!!!!!!」
尾手院王が屋根に飛ぶ。舞達も外に出て屋根に上る。
尾手院王が立っていた。舞達が武器を構える。
「見るがいい!このワシが日の本を支配するワシの姿を!!!!・・・げ!」
体が大きくなっていく。
「ゲコオ!ゲロゲロ!!!!ゲッコォ!!!!!!!!」
巨大な蝦蟇がえるに化けた。
「川澄の名において、滅する・・・相手のこの大きさは・・・・・・・」
「舞、どうする?私が時間稼ぐ?」
「いい、援護して。強い攻撃で・・・」
「わかった、舞!!」
「出てきて『まい』。あなたの力を借りたい・・・」
「やっと出番ね。ちょうどよかった、退屈しのぎになりそうね」
「『まい』・・・覚醒!」
舞の周りに力の渦が形成される、と同時に、
「狼牙流射格戦段、光波動弾!」
銃から光の波動が撃ち出される。
「げこぉ!!!!」
両腕でガードするも、勢いで少しづつ圧されていく。
「歌音忍法、風遁・・・カマイタチ!」
蝦蟇の両腕をカマイタチが切り落とす。
「川澄流退魔抜刀・・・・・・」
舞が飛び上がり蝦蟇の真上から刀を構え、落ちてくる。
「破邪月光刃!・・・月の光に堕ちて消えろ・・・・・・」
破邪月光刃とは、『まい』と融合し覚醒した状態で飛び上がり、10M近い光剣両断撃の篭った刀で一刀両断する、
初代川澄家家督、川澄優が編み出した必殺剣である。月夜の夜に編み出したことからこの名前がついた。
ちなみに『まい』は優の意思を持つ、初代から歴代家督の霊力集合体である。
「お疲れ様、『まい』」
「たいしたこと無かったね?」
「はちみつくまさん」
「あははー、みんなカタがつきましたねー♪」
その時、海のほうから砲撃の音が聞こえた。
「お父様ったら、黒船まで持ち出して・・・」
「あ、もう気づいていると思いますけど、倉田佐祐理です、絶対いないと思いますけどわからない人のためにね」
「佐祐理・・・」
「久しぶりだね・・・舞♪」
「『まい』ちゃんもいるよー♪」
「ねえ舞、忍をやめて、私達と来てくれない?お願い・・・」
「佐祐理・・・」
「佐祐理と舞と、久瀬さんと祐一くんとの誓いを破らないためにも・・・お願い!舞!一緒に来て!」
しばしの沈黙・・・、そして・・・
「佐祐理のことを守る、佐祐理には内緒の一説の誓いを守れる人は、もう私しかいない・・・」
「舞・・・・・・!」
「私は、佐祐理を守る・・・」
「ありがとう・・・舞」
幕末編 〜終〜
森部「いやほう!」
舞「・・・」
ぽかっ!
森「なにをするですか」
舞「メルアド・・・」
グサッ!
舞「説明不足・・・」
ザクッ!
舞「1.5章つめ忘れ・・・」
チュドーーーーーーーーーン!
舞「作者戦闘不能のため、私が解説・・・一人じゃつらい、かむひや・・・佐祐理・・・・・・」
佐祐理「解説ヒロインの佐祐理ですよー♪」
舞「よろしく・・・」
佐「ではまず、祐一さんについてですが、ほぼ、どのシナリオでもほぼ死んでいると思ってください・・・」
舞「ぐしゅぐしゅ・・・」
佐「そして、各シナリオを作者なりに解釈し、その上で改編し、捻じ曲げたりしています」
舞「私のシナリオの技の大半、真琴の位置づけ、坂本竜馬ではなく佐祐理、狼牙流射格戦段など」
佐「極めは香里編の削りですね」
舞「あれはひどい、L・A・Lファンが見たらとても・・・」
佐「ではこんなもので・・・」
舞&佐&森「次は西部編!ついに美汐編!美汐ファンのみなさん!お待たせします!!!」
佐「森部さんが復活してます!」
舞「どいて、川澄流退魔抜刀、光剣両断撃!」
プチ!←刀の平でつぶされる音