an epilogue
「かあさま、ほかのひととおはなしばっかりでつまんない」
そういう訳で子供の好奇心を遺憾なく発揮してリスティアは朝霧家を探検していた。
そして行き着いた先が……
「わぁ……ほんがいっぱい……」
書斎だった。
乱雑に散らかっている本の山はリスティアにとっては壮観以外のなにものでもなかった。
そして……
「あのっ! そんなところでこわくないのー?」
「…………」
窓枠に腰を下ろして静かに本を読む少年に興味が引かれるのはごく自然な事だったのだろう。
声をかけられた少年は少しだけ本から視線を逸らしてリスティアの方を見る。
そして、ああ、今日はお客が来るとか言ってたな……と思い出し、そのお客さんの一人だろうと納得して、また本に視線を戻す。
「ねぇねぇ、こわくないの?」
「…………」
「ねぇねぇ、こわくないの?」
「…………」
「ねぇねぇ……」
「…………慣れてる」
執拗に聞いてくるリスティアが煩かったのか、簡単に答えを返して本の世界に没頭する。
が、リスティアの好奇心はそんなことでは止まる筈も無く……
「どうしてそんなばしょで、ほんをよんでいるの?」
「…………」
「ねぇってば!」
「……ここはお日様が当たって気持ちいい」
「ふぅ〜ん」
リスティアはそれを聞いて、窓枠に登ろうとするがなかなか上手くいかない。
仕方なく、本を拾い、踏み台にしてその上に登って窓枠に手をかけた。
「…………」
一方、少年は銀髪の少女が本を踏み台にして登ってきているのを見て、心中穏やかじゃなかった。
今にも踏み台にしている本が崩れそうなのだ。
グラグラと揺れる本の塔の上をよろけながら登ろうとする少女をハラハラとしながら見ていた。
「よいしょ…………きゃっ!?」
「…………!?」
窓枠に手がかかった事で油断したのか、バランスを崩したリスティア。
思わずリスティアの手を取ってしまう少年だが、一緒になって落ちてしまう。
「いたたたた……」
「…………大丈夫?」
まるで猫のようにしなやかに着地した少年がつないだままの手を持ち上げ、立ち上がらせる。
そして、窓から射す太陽の光がよく当たっている床まで移動して、腰を下ろす。
「…………ここなら気持ちいい」
「うん、ぽかぽかー」
その場所の周りをごろごろと転げ回るリスティア。
少年も本を読むのをやめて、瞳を閉じて寝転んだ。
しばらくそうしていると、リスティアから声をかけられた。
「ねぇ、なまえはなんていうの?」
「…………名乗る時は自分から……って何処かの本に書いていた」
「じゃあ、わたしから。わたしは、りすてぃあ・ふぁむ・あーしゅらいと。あなたのなまえは?」
「…………僕の名前は」
「フィアッカ・朝霧…………よろしく、リスティア」
「ふぃあっか、ふぃあっか……うん、おぼえた」
『リスティアー? ご飯よー?』
「はぁ〜い!」
「行ってらっしゃい」
「ふぃあっかもいっしょにくるのー! ほらっ!」
「別に僕は……うわっ、は、放せ!」
「れっつごー!」
あとがき
さて、これだけの文章に約三ヶ月もかけた秋明さんですが、ようやくこのSSを完結させることが出来ました。
最初、勢いだけで書き始めたSSだけあって、進むにつれ書きづらくなって、根性でかいてました。
まぁ、その根性がもったのも、読者様皆さんの拍手や感想があったからなので、深くお礼申し上げます。
本当は年内に完結させるはずだったんんですが、ちょっと長引いてしまいましたが、第一目標の完結させるっていうことは達成できたので、まぁ、よしですw
さて『野良猫よりも気紛れな』どうだったでしょうか?
こんな程度でリースシナリオの補完が出来たとは思えませんが、もしかしたらこんな終わり方もあったのかも……とでも思っていただければ幸いです。
駄作だな、と思ったならそれは秋明さんの文章力不足です。精進します。
Web拍手のSSSの方も適当に完結させます、そのうち(ぇ
多分、明日か明後日くらいに更新しますんでよければ見てくださいw
では、今度は何書くか決めてませんが、とりあえず現在未完の連載書くと思います。
それでは、今まで読んでいただいてありがとうございました!