「ここか……」

その日『相沢祐一』はとある一軒の店の前に立っていた。




****    祐一 〜魅惑の体日〜          ****
****    青年が味わう年上美女のテクニック    ****




数日前……

その日は珍しい事にいつも俺の回りに集まってくる筈の女性陣の姿がなく、俺は唯一とも言える男友達の
北川と帰宅していた。

「む〜ん……」

「なんだ相沢、そんな顔して……ははぁん、さては……タマってんのか?」

俺の表情から何かを読み取ったのか、北川がニヤニヤしながら尋ねてくる。こいつとの付き合いは俺が転校してきて
以来だから数ヶ月とたっていない。だが妙にウマが合い、今や親友という間柄だった。それだけに俺の事も良く分かっている。

男同士こういう会話だってする。実際北川のいう事は当たっているので俺は正直に答えた。

「まぁ、そうだな……この所ヤッてないし……正直タマってるな」

「やっぱりそうか……でもよ、家ではヤッてないのか? 水瀬さんとかいるだろ」

確かに俺が現在世話になっている水瀬家には美少女達と美女がいる。だが……

「う〜ん、そうなんだけどな。あいつら余り上手くないんだよ」

「そうなのか? 水瀬さん辺りは上手そうな気がするんだが……」

「名雪は力の加減がまだまだだな……俺の方が上手って名雪に言われたぞ」

お互いにヤリあったときの事だ。俺のテクニックの前に名雪は殆ど骨抜き状態だっだ。
赤い顔をして「祐一って……スゴイよ……」なんて言われるし。
まぁ水瀬家には一人、凄まじいテクニックを持つであろう美女がいるが、流石にあの人にお願いするわけにはいかないよな。

「ふふふ……それならば相沢よ。この俺様がとっておきの情報を教えてやろうではないか!」

偉そうに北川が言った。

「情報って……流石は北川、そのアンテナは伊達じゃないな」

「アンテナじゃねぇ! もういい。お前には教えてやらん」

「……香里の写真」

「相沢様、お願いでございます。どうかこの北川めに教えさせてくださいませ」

途端に地面に這いつくばって懇願する北川。プライドのかけらも無いな。

「まぁいいか。情報が先な」

「実はだな……隣町にそのテの店があるんだ」

「なにっ?」

そうか、こんな田舎の街にもあったのか。何を隠そうこの俺は、転校してくる前はよくそのテの店に通っていた。流石に
近くの店を利用して知り合いに見つかるのはいろんな意味で恥ずかしかったので、少し遠出していたが。

「そうか、こんな街にもあったのか」

「あぁ、中々のテクニックだったぞ」

既に体験済みらしい。その時のことを思っているのか妙にスッキリした顔をしていた。

「ふむ……久々にプロのテクニックを味わうのも良いな……行ってみるか。で、詳しい場所は?」

「へっへっへ……旦那ぁ、これ以上の情報を聞きたいってんなら、出すモン出してもらわねぇと……」

三流悪役のような台詞と表情を浮かべる北川。まぁ、そんなことはどうでも良かったので俺は以前不意をついて撮影した
『物欲しげな表情でこちらを見つめる香里』の写真を奴に提供する。……実はこの写真を撮ったら香里に怒られたので
それから暫くは機嫌をとる為に随分と香里にシてやったものだ。
香里曰く「私だってタマってるのよ……それに、相沢君って上手だしね」との事。まぁ学年首席の優等生だからな、
普段の勉強やなんかで人一倍タマっているのかもな。

それはさておき、

「ほら、これだ」

なんですぐ出せたのかって? 男の子にだって秘密はあるものさ。

「おぉ、これは!」

香里の写真を手に取った北川の興奮する声。コイツが香里に惚れているのは周知の事だからな。もっとも香里には全く
相手にされてないが。
未だ興奮する北川から情報を引き出した俺は、早速今度の休みにでも行こうと計画を立てていた。


                         ★   ★   ★


てな訳で現在俺はその店へと向かうべく、駅から出ると駅前の大通りから外れた裏通りを、人目を避けるように歩いていた。
そこは夜になれば人のあらゆる欲を満たす場所になるが、昼間ではその雰囲気もなりを潜めている。閉まっている店も多い。
夜に来ても良かったが帰りが遅くなると名雪達に怪しまれるからな。おまけに『私達じゃ満足できないの!?』なんて
詰め寄られても厄介だ。さらに秋子さんに知られたら……
ま、まぁそれはともかくだ。いかになりを潜めているとはいえ、昼間から開いている店だってある。今日俺が行くのは
その一軒という訳だ。北川から引き出した情報と目に映る店の看板の名前を照らし合わせながら歩いていくと、
ついに一軒の雑居ビルを見つけた。

「ここか……」

『この店でアナタもスッキリ!』みたいな煽り文句の書かれた電飾のきらびやかな看板が見える。英語で言えば『ヘルス』なお店だ。
情報通り営業中のようだ。この看板によると店は3階にあるらしいので、俺は薄暗いビルの階段を上がり目的の階へと向かう。
そして俺は店の入り口の前に立つ。入り口横にはプレートが掛けられ、そこにはコース、時間、料金の説明が書かれている。
俺が以前利用していた店とそう変わらないサービス内容だったので安心して店内に入っていった。

「いらっしゃいませ」

店内は意外と明るかった。正面にはカウンターがあって、そこでは受付らしいイカツイ顔のおっさんが応対していた。
カウンター脇には奥への通路になっていたがカーテンで仕切られて先は見えない。さらにその横には小さな部屋になっていて
ここは客の待合室になっていた。
入り口に突っ立ているわけにも行かないのでさっさとカウンターに歩いていく。

「いらっしゃいませ。コースはいかがなさいますか?」

おっさんは余計な事は言わない。なにか問題でも起こさない限り客には不干渉、それが店のルールらしい。
俺はとりあえず一番安いコースを選択する……最近ちょっと懐事情が寂しくてな……

「指名はありますか?」

この店では無料で相手を選べるようだ。と言われてもこの店は初めての俺に、誰が良いか分かる筈もないので適当に指名する。
北川にでも聞いてくればよかったな。

「はい、では……」

前払いなので言われた料金を支払う。

「ポイントカードはお持ちですか?」

「いえ」

「お作りしますか? すぐ出来ますよ」

この店を利用することによってポイントがたまっていき、ある程度たまると割引サービスなどの特典があると説明を受けた。
詳しく住所等を記入する必要もなく、無料で作れるとの事なので俺はカードを作った。

「はい、では準備が出来ましたら御呼びいたしますのであちらでお待ち下さい」

受付をすませると、おっさんが丁寧な物言いで先ほど見た部屋を指す。そこには先客らしいサラリーマン風の
中年のオッサン(A)が一人座っていた。それには構わず、俺も空いているソファーに腰をおろす。

お互いに会話は無い。この店に来ている時点で既に心の通じ合った同士とも呼べる存在なのだ。お互いのちょっとした
動作で相手の言いたい事は分かる。

『オッサン……タマってんだな』

『おヌシこそ……若いのにな……否、若いからこそか……』

『あぁ……』

俺自身こういう店には何度も来ているが、やはり初めての店というものはそれなり緊張する。だがこれから待つ魅惑の
体験に興奮するのもたしかだ。緊張と興奮、その二つが織り交ぜになって俺の身体を駆け巡る。そうして時間が過ぎる中、
奥へ続くカーテンが開けられて、一人のこれまたオッサン(B)と店の女の子らしい女性が出てきた。

「いや〜、スッキリしたよ。気持ちよかったなぁ〜」

そういったオッサン(B)の顔は実に晴々とスッキリ爽快! な顔をしていた。

「ふふ、お客さんってば随分とタマってましたね〜。カチカチだったもん」

一緒に出てきた女の子が明るく笑う。

「また来るよ。今度も君を指名するからね」

「はい、ありがとうございます」

そう言ってからオッサン(B)は待合室にいる俺たちに向かって軽く笑い親指を立てた。その目が語っている……

『良かったぜ……』

と。その顔はまるで、全てをヤリ遂げた戦士のソレだった……

「ありがとうございました〜。またきてくださいね〜」

女の子に見送られながら、オッサン(B)は店を出て行く。それから程なくして受付のおっさんが待合室に入ってきた。

「お待たせしました、準備が出来ましたのでこちらへどうぞ。そちらのお客様もどうぞ」

どうやら二人共らしい。俺とオッサン(A)は案内されるままにカーテンをくぐる。
中は通路が続いていて、幾つかの部屋があった。部屋といっても天井から吊るされたカーテンで仕切られただけの簡素な
ものでそれぞれに1,2……と番号が割り振ってある。そして幾つかの部屋の中からは「あぁ……」とか
「ここ、どうですか?」といった声も聞こえてくる。
奥に入った俺達を二人の美女が迎えてくれた。受付のおっさんの説明によると俺は右の女の子らしい。
顔立ちはなかなか、プロポーションは……舞ほど大きくはないが、メリハリのきいたボディラインは充分男心をくすぐる。
うむ合格。あとはテクニックだがこればっかりは実際に体験してみないとわからないからな。
オッサン(A)の相手の女の子も似たようなタイプの娘だった。

「では、こちらへどうぞ」

そういって女の子が(先ほどから女の子と言ってるが、俺よりも年上だろう)俺を「3」と書かれたカーテンの奥へと案内する。
オッサン(A)は「2」の部屋へと。お互い通される際にアイコンタクトで会話する。

『オッサン……頑張れよ』

『若いの……おヌシもな』

『『グッドラック!』』

さっきのオッサン(B)のように「ビシッ!」と親指を立ててお互いの部屋、即ち戦場へと向かう。
部屋の中は実に簡素だった。薄暗い室内にはベッドが一つと持ち物等をいれておくかごが一つ……それぐらいか。
店によっては他にも色々と置いてあるものだが……

「はい、じゃあ脱いでからこちらのベッドに横になって下さいね」

女の子(いや、お姉さんというべきだな)、もといお姉さんにいわれるままに行動する俺。営業マニュアルにあるのか
純粋な興味からか、お姉さんは俺に話しかけてきた。

「このお店は初めて?」

「あぁ……」

「随分若いわね。学生さん?」

「そういう君だって随分若いみたいだけど?」

「ふふ、幾つに見える?」

逆に聞かれたので、お姉さんの顔をよく見る。秋子さんのような例もあるが、このお姉さんは化粧をしているものの
見た目通りの年齢だろう。

「20歳ってところかな」

「すご〜い、よくわかったね」

正解だったらしい。お姉さんは大きめの目をさらに見開いて驚いていた。その表情がまた男心を……コホン。
俺とそう変わらない年齢か……さてテクニックの方はどうかな? そんな俺の表情を読み取ったようにお姉さんが言ってきた。

「む、その顔は私のテクニックを疑ってるわね? これでもちゃんと研修受けてるんだから」

ふむ、研修があるのか……そうだよな、このテの店では重要な筈だ。

「よし、私のテクニックでアナタのタマったものを全部解消してア・ゲ・ル」

お姉さんは俺のモノを用意してあったオシボリで拭いてくれる。この店に来る前に一応は家でシャワーを浴びて清潔にしてあるがな。
そうして拭かれていると、次第に期待が高まってくる。一通り拭き終わるとお姉さんは「それじゃ始めるわね」と言って、
ローションを塗りつけ、俺のモノを掴んで刺激し始めた。

「凄いね、こんなに硬くして……随分タマってるのね……ふふふ」

「うっ……」

強弱、緩急をつけての刺激に俺は思わず声を出す。流石はプロ、あゆや真琴、栞などとは雲泥の差だ。
あいつらには時折タイヤキや肉まん、アイスを奢るかわりにヤラせているが所詮はお子チャマ、
なんというか……ツボを心得ていない。名雪と舞にいたっては力加減が宜しくない、全般的に強すぎるのだ。
俺の周りにいる女の子達の中で上手いと思えるのは、佐祐理さん、香里、天野だ。
佐祐理さんは「あはは〜、コツを掴みました〜」と言うだけのことはあって的確に刺激してくる。
香里と天野はどこから入手したのか様々な資料から知識を得て、俺で実践してくれる。
流石は各学年の成績優秀者であるな。何よりも一生懸命シてくれるその表情がたまらないのだよ。
因みに前にも言ったが秋子さんは試していない……なんかイロんな意味で怖いから……

「ここなんかどうかしら?」

「あぁ……凄く気持ちいいよ」

「ふふふ、ここが良いのね?」

そう考えている間にもお姉さんのテクニックは披露されている。流石は研修を受けただけの事はあるな。
耳を澄ませば仕切られたカーテンの向こうからオッサン(A)の声も聞こえるが、男のあえぎ声なんて聞いてもなぁ……

突然の事だった。俺のモノに痛みが走った!

「!? 痛でででっ!」

「あら、痛かった?」

涼しい顔で言うお姉さん。俺は痛みで涙が滲んでいるというのに……

「あぁ……」

「ふ〜ん。じゃ、ここを重点的にヤルわね」

「え?」

お姉さんは優しく笑うと俺の弱点を攻め始める。優しい微笑みだが俺には悪魔の笑いに見えた。

「えいっ!」

ぎゅっ

「痛でででっ! も、もっと優しく」

「駄目よ、これはどう?」

ぎゅ〜〜っ

「だぁ〜、ギ、ギブッ、ギブアップ! タップタップ!」

「だ〜め。それじゃ次はコッチね……えいっ」

ぐいっ、ぐいっ

「ろ、ロープロープッ! ロープブレイクッ!」

「あら、ロープを使ったプレイが好きなの? 縛られるのが好きとか?」

「いや、縛られるより縛るほうが……じゃなくって!」

「と・に・か・く。男でしょ、我慢しなさいって。そのうち気持ちよくなってくるから……ね」

「おぉおぉぉ〜〜〜」


そして……

PiPiPiPi…………

「あ、時間がきちゃったみたい。これで終りね」

「……」

お姉さんが終了を告げる。あれからは、お姉さんの言うとおり徐々に気持ちよくなってきてしまった。

「どう、スッキリしたでしょ?」

後始末を終えたお姉さんにそう言われてみれば、たしかにタマっていたものがスッキリ解消されたようだ。
火照った身体も軽く感じる。

「若いのにスゴイわね。いえ、若いからスゴイのかしらね」

先ほどのオッサン(A)と似たようなことを言うお姉さんに苦笑するしかなかった。終了との事なので脱いでいたものを
身に着けた俺はお姉さんと一緒に部屋を出て行く。隣の部屋ではコースが違っていたらしく未だオッサン(A)
がヤッている途中だった。カーテンをくぐり、最初の受付のある所へと戻ってきた。

今の俺の顔はオッサン(B)と同じ実に晴々とスッキリ爽快! な顔をしているに違いなかった。
ここ最近タマっていたものが解消されたからなぁ……

「ありがとうございました。また来てくださいね〜」

お姉さんと受付のおっさんに見送られて俺は店を出る。








はぁ……




気持ちよかった。やっぱりプロのテクニックは違うよなぁ……








また来よう…………

















足裏マッサージ


うん、実に気分爽快。タマっていた疲労も一気に解消された。実に「ヘルス=健康」になった気分だ。
最近マッサージしてなかったから筋肉がカチカチだ。今回は足裏コースだったが次に来るときは全身マッサージコースにするか。
全身コースは病院で着るような検査服みたいなのに着替えてからやる本格的なものらしい。足裏はただ靴下脱いで
ズボンを捲り上げただけだったがな。あ、一応上着も脱いだな、その方が楽だし。

でも、マッサージって気持ちいいよな〜。でも自分でやってもいまいち気持ちよくない、やはりしてもらってこそだよな。
ところで、マッサージというものは強くすれば良いというものでは無い。
強くしたほうが効くような気になるが強すぎるのは筋肉組織などを痛めてしまい、返って良くないのだそうだ。
要は血行を促進出来れば良いわけで、弱い刺激でも充分効果はあるのだ。その点プロは流石だったな、
あのツボを心得た力加減の絶妙な刺激がたまらん! 時折痛みが走ったがそれも仕方が無い。というのも足裏というのは
各内臓器官につながったツボがあって、どこかの調子が悪いとその内臓に対応したツボを刺激された際に痛むのだそうだ。
また、そのツボを刺激することによって調子を改善できるらしい。
それによるとどうやら俺は胃の調子が良くないようだ。まぁそうだろうな、昼は栞の超重量の弁当を食べる(食べさせられる)
事が多いし、最近はよく一緒になる佐祐理さんの特製弁当も結構な量がある。
更にはあいつらに振り回されてストレスだってタマっているだろうからなぁ……

と、店の前でボケッと突っ立っている訳にはいかない。さっさとこの場を離れなければ。こんなところを誰かに見られでも
したら「おっさんくさい」と言われてしまうかもしれん。天野をからかう事が出来なくなるではないか。
さらに昼間で閉まっているとは言ってもここには飲み屋もあれば、すでに開店中のHなお店だってある。
生活指導の見回りにでも見つかれば弁解が面倒だ、俺はさっさと駅前通りに向かって歩き出す。
この後はまっすぐ帰宅してぐっすり眠れば疲れも取れる筈だ。




明日からはまた、名雪を起こして学校までダッシュの日々が始まる。




それまではせめて平穏の時を…………




終わり








後日……
なぜか今回の一件は秋子さんに知られていた。そこで、仕事や家事で忙しいので悪いとは思いながらもお願いして
みたところ、快く了承してくれたので秋子さんのテクニックを味わってみることにした。




結果…………




息も絶え絶えの骨抜き状態にされました。秋子さん、あなたは一体…………




「企業秘密です♪」




本当に終わり




闘争、イヤ、逃走の準備をしつつの後書き(何

エ〜ト、マタシテモワタシハイッタイナニヲカイテイルンデショウカ?

こんにちは、うめたろです。前回の秋子さんの話に続いて、今回は主人公の祐一君のお話です。

このネタを女性キャラでやるのはちょっと……だったので祐一君に登場していただきました。

いかがだったでしょうか? 今度こそえちぃSSを期待していた方々(いるのか?)申し訳ないですm(_ _;)m

これ以上書くと、色々つっこまれそうなので今回はこの辺で^^;


最後に

このSSを掲載してくださった管理人様

このSSを読んでくださった皆様に感謝して後書きを終わります。


ありがとうございました。

では。                        うめたろ